FAKYはフェイクじゃない。女性が彼女たちに憧れるヒミツに迫る

海外からの反響も大きいFAKYによる世界レベルの楽曲

若い女の子が「あの人みたいになりたい」と思えるロールモデルがいるのは素晴らしいことだ。2017年10月13日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われたガールズグループ、FAKYの初ワンマンで、10代前半と思しき女の子たちが客席から必死に声援を送る姿を見てそう強く感じた。

左から:Anna、Mikako、Lil'Fang、Akina
左から:Anna、Mikako、Lil'Fang、Akina

VMAJ 2016最優秀新人ビデオ賞にPVがノミネートした“Candy”

2017年6月にミニアルバム『Unwrapped』でメジャーデビューしたFAKYが、「海外に通用するガールズグループ」を掲げ、5人グループとして活動を開始したのは2013年。メンバーの交代、約1年間の活動休止期間を経て、2015年に現在の4人で再始動した。メンバーはニュージーランド生まれのAnna、Lizとのコラボ曲も発表しているLil'Fang、キュートなルックスからキレのあるダンスを繰り出すMikako、アメリカ人の父と日本人の母を持ち、FAKYに加入するためにカリフォルニアから東京に移ったという最年少17歳のAkina。髪型やファッションも四者四様の個性が光り、女性ファンが多いのも頷ける。

ニュージーランド生まれのAnna
ニュージーランド生まれのAnna

「海外に通用するガールズグループ」の名の通り、その楽曲からは同時代の欧米のポップシーンへの共鳴と、多様なジャンルにアクセスする柔軟さが見て取れる。ドラムンベースを取り入れた最新曲“SUGA SWEET”は、かつてBad Companyのメンバーとしてドラムンベースシーンで一世を風靡した重鎮・DJ FRESHと、ShiftK3Yの楽曲参加などで知られるイギリスのシンガー、BB Diamondを迎えて制作。DJ FRESHといえば、リタ・オラ(イギリスの歌手)やDiplo(アメリカのDJ)とのコラボなどドラムンベースシーンを超えて人気を誇る人物。レイドバックしたトロピカルなサウンドと、サビに向けて加速するリズムが溶け合う本作でもその手腕は発揮されている。

DJ FRESHとBB Diamondが制作に参加した最新曲“SUGA SWEET”

Lizとのコラボ曲も発表しているLil'Fang
Lizとのコラボ曲も発表しているLil'Fang

この“SUGA SWEET”のPVには、興味深い反応がある。それはコメント欄が英語ばかりということ。この現象は過去のPVでも同じで、「彼女たちはもっと評価されるべき!」という言葉が並ぶ点も目を引く。そんな海外からの関心を表すように、3月に発表された“Surrender”はSpotifyの「全米Viral Top 50チャート」で7位を記録。海外で人気のあるJ-POPのアーティストというと、BABYMETALやきゃりーぱみゅぱみゅなどキャラクター性の際立つアーティストが思い浮かぶが、Spotifyのバイラルチャートはリスナーが共感・シェアした曲のデータを示すことを考えると、この順位は純粋に楽曲でアメリカのリスナーの心を掴んだ結果と言えるだろう。

Spotifyの全米Viral Top 50チャートで7位を記録した“Surrender”

同性の心を掴んだ、四人が時折見せる「等身大の姿」

「欧米志向の楽曲」「同性からの支持」で連想されるのは、K-POPのガールズグループだろう。個性的で「強い女性」のイメージを持ったK-POPのガールズグループはしばしば「女の子が憧れる女の子」を表す「ガールクラッシュ」という言葉で表現されるが、FAKYもここ日本でそんなガールクラッシュのアイコンとなる可能性を感じさせる。ではFAKYと数多のガールズグループを分けるものはなにか。それは彼女たちがさらけ出す「等身大の姿」かもしれない。

キレのあるダンスを繰り出すMikako
キレのあるダンスを繰り出すMikako

初ワンマンは、ソロで魅せるダンスパートやギター1本で歌うアコースティックアレンジなどもあり、四人全員がボーカリストとしてもダンサーとしてもメインを張れる実力を備えていることを証明しているようだった。そんな一見クールな彼女たちの本音が垣間見えたのが、本編最後に歌われた未発表曲“Who We Are”だ。この日のために温めてきたという同曲は<私らしくないなら誰が私を生きるの>と力強く歌う。曲前のMCでは、四人が揃って「自分は普通の女の子」と話しながら、シンガーになる夢にかける強い意志と、共にその夢を追うメンバーへの信頼を口にした。

カルフォルニア出身のAkina
カルフォルニア出身のAkina

“Who We Are”に込められた、ありのままの自分を肯定しようというメッセージは彼女たち自身にも向けられているようだった。普通の女の子だけど、自分を信じて仲間と共に夢を追う彼女たちの姿は、憧れはもちろん、共感も呼ぶはずだ。「ああいう女性になりたい」と憧憬すると同時に、「彼女たちも私たちと変わらない」と思わせてくれるーーFAKYが体現するのはそんなグループ像なのかもしれない。

エアアジアCMソングにもなっている“Someday We'll Know”

新たなスタートを切ったばかりの彼女たちは、きっとまだ夢の途中。2018年にはフルアルバムのリリースも控えている。「FAKY」というグループ名には「フェイクなフリして、とことんリアルに」という思いが込められているという。強さも弱さも肯定して堂々とステージに立つ彼女たちに、作られたフェイクなど感じられない。その「リアル」な姿のまま、もっと大きなステージに立つところが見てみたいと思う。その日はきっとそう遠くないだろう。

FAKY

イベント情報
『FAKY FIRST LIVE 「Unwrapped」』

2017年10月13日(金)
会場:東京都 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE

リリース情報
FAKY
『Chase Me』

2017年10月17日(火)に配信リリース

FAKY
『Unwrapped』(CD)

2017年6月14日(水)発売
価格:2,160円(税込)
RZCD-86356

1. Keep Out
2. Candy
3. Are You OK?
4. Surrender
5. Bad Things
6. Someday We'll Know

プロフィール
FAKY
FAKY (ふぇいきー)

グループ名である「FAKY(フェイキー)」とは、自らを「FAKY=FAKEのよう」と名乗ることで、現在の音楽シーンの中で逆説的に「リアル」を体現するグループを目指すという意気込みを表現している。2013年の活動開始以来、「海外に通用するガールズグループ」を合言葉にしたアーティスト活動を展開。YouTubeで公開したMVが海外120ヶ国よりアクセスされ、同じくYouTube上でのMVの総再生回数が500万回を超える等国内外から注目を集めている。バラバラな環境で育ってきた彼女達の個性がここ東京に集結し、「J-POP」ではなく広い目で見た「POP」をベースにした音楽性で、現在の日本の主流ガールズグループとは違った存在を目指す、個性あふれるオルタナティブな四人組ダンス&ボーカル・ガールズグループ。



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