キュウソネコカミらしいラブソングとは? こだわりと挑戦に迫る

アニメ『メジャーセカンド』のオープニング曲となったシングル『越えていけ』を2018年4月にリリースして以降、地元・神戸では最大キャパとなる神戸ワールド記念ホールでのワンマンライブを実施、そして今夏の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』では、最も大きなステージである「GRASS STAGE」へ初出演を果たすなど、バンドとしてさらなるスケールアップを果たしたキュウソネコカミ。

その彼らが、怒濤の勢いで駆け抜けた2018年を締めくくるべく、実に364日ぶりとなるニューアルバム『ギリ平成』をリリースすることが決定した。大晦日の『COUNTDOWN JAPAN 18 / 19』への出演、2019年1月からは全国ツアーも予定するなど、そのアルバムタイトルのごとく、残り少ない「平成」の日々をギリギリまで駆け抜けようとしている彼らは、この機会にアーティストイメージも刷新。今回は、中央に位置するヤマサキセイヤ(Vo,Gt)が……あれ、いない? と思ったら、まさかの「米粒」へと変化しているのだった。

独特のアー写は、他のバンドより目立つため。新アルバムではキュウソでは珍しい「ラブソング」にも挑戦

ヤマサキ(Vo,Gt):僕らのアーティストイメージは、ずーっとイラストで、毎回俺だけが違うパターンなんですよ。今回は「米」がテーマの歌が入るから、「俺を米にしてくれ」ってお願いしたんです。

ヨコタ(Key,Vo):このアーティストイメージもキュウソ独特で、普通アーティスト写真って、暗いトーンでかっこつけているのが多いじゃないですか。それを真っ白の一枚画にすると、めちゃめちゃ目立つんです(笑)。

キュウソネコカミの新アー写。5人組なのに4人…と思いきや、ヤマサキセイヤ(Vo,Gt)は、中央の米粒に変身していた

ところで、「米がテーマの歌」ってなんだろう。どうやらそれは、ニューアルバムのリード曲でもある“米米米米”(読み:べいまいべいべー)のことであるようだ。ニューアルバムはもちろん、最新のアーティストイメージにまで大きな影響を与えたというその曲は、あるプロジェクトから生まれた曲だという。

農業機械メーカーであるクボタが、日本の農業を応援するために始めた「LOVE米プロジェクト」。その一環として生み出された特別映像の音楽担当に、キュウソネコカミが大抜擢されたのだ。「LOVE 米」=「ラブコメ」という発想から、人気ラブコメ5作品『アフロ田中』シリーズ、『うる星やつら』『からかい上手の高木さん』『ツルモク独身寮』『ハヤテのごとく!』の名シーンを米粒に描き出し、キャラクターたちがお米への愛を熱く語る「ラブ米」ストーリーとして再構成している。

キュウソネコカミはその内容に合わせて、彼らにとって新たな試みとなるラブソングに挑戦したという。今回の企画のオファーが届いたとき、彼らはどんなことを感じたのだろうか。

ヤマサキ:僕ら、基本的にラブソングを歌わないバンドなんですよね。歌えないって言ったほうがいいかもしれないけど(笑)。ただ、「ラブ」は歌えないけど、お米に愛を伝えたいっていう方向だったら書けると思って。普段は歌詞のなかで「愛してる」とか、恥ずかしくてなかなか使えないけど、その対象がお米だったらなんの照れもない(笑)。ラブソングを歌えて、僕らとしてもすごい嬉しかったし、いい経験になりました。

ヨコタ:キュウソネコカミというバンドと「ラブコメ」を結び付けてくれる人がいて、ありがたいと思いました。僕ら、与えられたことをまっすぐやれるバンドなのに、なかなか見出されてない感じがあって。

「ラブ」だけじゃなくて、「コメディ」っていうのがよかったですよね。コメディなので、僕らの明るさがすごい出せたかなって思います。

ヤマサキ:あと、僕は実際お米大好きで、居酒屋の締めでごはん食いたいって思うぐらいお米派なんですよね(笑)。

左から:ソゴウタイスケ(Dr)、オカザワカズマ(Gt)、ヤマサキセイヤ(Vo,Gt)、ヨコタシンノスケ(Key,Vo)、カワクボタクロウ(Ba)

コール&レスポンスは「『なんやねんこれ!』って思ってくれるようなことを言わせたい」。

かくして生み出された、キュウソネコカミの“米米米米”。レゲエ調のゆったりしたリズムの序盤から、キュウソらしいエモーショナルなサビへと展開していくこの曲。ヤマサキ曰く、「『米』という字を4つ並べたら『べいまいべいべー』って読めるじゃん! って気づいたときは、『よっしゃ!』ってなりました(笑)」という曲には、お米に対する愛だけではなく、実はこんな意外なメッセージが込められているという。

ヤマサキ:ちょっとだけ哀愁を込めたんですよね。お米が課題を抱えているという現状を、曲を作る前に聞いたので(本映像には「この50年でお米の消費量は半分に」「この50年で米農家は1 / 4に」など、米にまつわるトリビアが挿入されている)。だから、哀愁をちょっとだけ込めて、「それでもお米を愛してる!」みたいなのを、みんなでワーッとやれたらいいなって思いました。

映像では、米が直面する厳しい現状についても描かれている

ヨコタ:やっぱり、自分たちのライブで盛り上がれるような曲にしたいので、歌詞は(ヤマサキ)セイヤ、音楽的な部分はみんなで相談しながら作っていきました。サビの「米! 米!」って掛け合うところは、コール&レスポンスで一番大きな声で歌ってほしいところです。そのへんは僕らの得意技でもあるので、とにかくキャッチ―で、ライブでも歌ってもらえるようなものっていうのは、すごく意識しました。

これまでも、「ヤンキーこわい!」(“DQNなりたい、40代で死にたい”)、「スマホはもはや俺の臓器!」(“ファントムヴァイブレーション”)など、他のバンドとは一線を画するコール&レスポンスで、そのライブを盛り上げてきた彼ら。今回の“米米米米”は、そんな彼らのライブの新たなる定番ソングとなる可能性を秘めた曲となったようだ。

2018年7月NHKホールでのライブ。撮影:Viola Kam(V'z Twinkle Photography)
2018年7月NHKホールでのライブ。撮影:Viola Kam(V'z Twinkle Photography)

ヤマサキ:そこは意地がありましたね。誰も思いつかないことをやるっていうのがキュウソなんで。コール&レスポンスも、変なことを言わせて、オリジナリティを大事にしていきたいですよね。

ヨコタ:そうだね(笑)。僕らって、コール&レスポンスを「イエーイ!」とか「オーッ!」とかにしたくないんですよね。「なんやねんこれ!」って思ってくれるようなことを言わせたいというか(笑)。この曲の<炊きたてご飯思い出せ><米!米!米!米!>とか、そういう言葉をみんなで合唱してるところとか、すごくキュウソっぽいんじゃないかと思ってます。その違和感がすごいかっこいいというか。

カワクボ(Ba):僕は、その<炊きたてご飯思い出せ>っていうところが好きですね。ご飯って、すごいテンション上がるじゃないですか。白いご飯を目の前にすると「さあ、食うぞっ!」って、ポジティブな気持ちになるというか。だから、この曲には、「テンション上げてくれ!」っていうメッセージも込められているんです。

ヤマサキ:ホンマね、そういうときって、リアルにありますから。ちっちゃいライブハウスとかだと、お客さんの頭から湯気が出ていて、ご飯が炊きあがった感じになっているという(笑)。セットリストの順番によっては<炊きたてご飯思い出せ>って歌いながら、みんなの頭から湯気が出ているようなことになるかもしれない(笑)。

左から:カワクボタクマ、ヤマサキセイヤ

ヨコタ:あと、“米米米米”を作ったことで、新しいアルバムに入れる曲、もうひとつできたんですよね。“炊き上がれ召し上がれ”っていう曲なんですけど、勝手に連作にさせてもらいました(笑)。

ヤマサキ:“炊き上がれ召し上がれ”は、さっき言ったように、まさにお客さんを米に見立てて、炊き上げるっていう歌なんですよね。だから今度のライブでは、みんな白いTシャツと白い帽子をかぶってきてくれって言おうかと思っていて……その映像を撮ってみたいですよね(笑)。

ヨコタ:ライブと米の親和性というかね。これはいけるんじゃないかなと思っているんですけどね(笑)。

キュウソネコカミが感じる手応え「マンガも、俺たちの曲も面白いし、もう全部が楽しめるようになっている」

今回の映像では、各マンガからのシーンセレクト、米の品種の選定、さらには随所に挟み込まれる米知識など、わずか数分の映像のために、膨大な労力が費やされたという。その最後には、5作品のメインキャラクターである田中広、ラムちゃん、高木さん、宮川正太、綾崎ハヤテ……さらにはキュウソネコカミのマスコットキャラクターである「ネズミくん」、そしてクボタのトラクタなどが一堂に会したラストカットまで用意されている。

「微細切削加工技術」によって米粒に彫られた『うる星やつら』のひとコマ
映像のラストカット右下には「ネズミくん」の姿も

ニューアルバムと今後のライブに向けて、さらなるインスピレーションを獲得したというキュウソネコカミ。ちなみに、晴れて完成したこの特別映像を見て、どんな感想を持ったのだろうか。

オカザワ(Gt):ラブコメと絡むなんて、僕たちと一番遠そうなので、すごく嬉しかったですね。

ヨコタ:しかも、いいシーンが多いから、なにか幸せな気持ちになりますよね。普段はポジティブな曲が少なかったりするんですけど、こうして改めて映像と合わせて聴いてみたら、すごい前向きで……映像と一緒に聴くと、改めていい曲だなって思いました。

オカザワ:こういうきっかけがなかったら、多分作らなかった曲かもしれない。

ヨコタ:そうだね。僕らにとっても、米を作る人たちにとっても、マンガを描いている人たちにとっても、なんかワクワクするような映像になっていると思います。

マンガも全部面白いし、俺たちの曲も面白いし、もう全部が楽しめるようになっている不思議な映像作品だと思うんですよね。最初に話を聞いたときは、正直「どんなコラボやねん!」って思いましたけど(笑)、いまはすごい手応えを感じているので、是非多くの人に見ていただきたいです。

リリース情報
キュウソネコカミ
『ギリ平成』完全限定生産盤(CD + DVD)

2018年12月5日(水)発売
価格:4,104円(税込)
VIZL-1473

[CD]
1. 推しのいる生活
2. The band
3. ただしイケメンに限らない
4. 馬乗りマウンティング
5. 遊泳
6. 真面目に
7. KENKO不KENKO
8. ピクピク
9. 炊き上がれ召し上がれ
10. 米米米米
11. 越えていけ
12. ギリ昭和
[DVD]
『DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018(-Despair Makes Cowards Courageous)– 越えていけ 編 –ドキュメント』
『DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018(-Despair Makes Cowards Courageous)– The band 編 –ドキュメント』
『DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018(-Despair Makes Cowards Courageous)– The band 編 –ツアーファイナル・ライブ(at 新代田FEVER 2018.8.28)』

キュウソネコカミ
『ギリ平成』通常盤(CD)

2018年12月5日(水)発売
価格:2,808円(税込)
VICL-65077

1. 推しのいる生活
2. The band
3. ただしイケメンに限らない
4. 馬乗りマウンティング
5. 遊泳
6. 真面目に
7. KENKO不KENKO
8. ピクピク
9. 炊き上がれ召し上がれ
10. 米米米米
11. 越えていけ
12. ギリ昭和

プロフィール
キュウソネコカミ
キュウソネコカミ

2009年12月、大学の軽音楽部内で就職活動に敗れた者達を中心に兵庫県西宮で結成。ヤマサキセイヤ(Vo/Gt)、オカザワカズマ(Gt)、カワクボタクロウ(Ba)、ヨコタシンノスケ(Key/Vo)、ソゴウタイスケ(Dr)による5人組バンド。2012年3月に1stフルアルバム『10代で出したかった』、12月に2ndフルアルバム『大事なお知らせ』、2013年10月に1stミニアルバム『ウィーアーインディーズバンド!!』を発表する。そして、2014年4月1日、ビクターに入団。2014年に出演したフェスやイベントでは、入場規制がかかるなど注目度の高さを証明し、メジャーにフィールドを移したあとも精力的に活動している。



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