コラム

米大統領選直前。様々な立場からミュージシャンも投票呼びかけ

米大統領選直前。様々な立場からミュージシャンも投票呼びかけ

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辰巳JUNK
編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)

リゾが投票を呼びかけ、デミ・ロヴァートが「最高司令官」にメッセージを送った2020年の『ビルボード・ミュージック・アワード』

「抑圧される者には力がある。あなたの声には力がある。だから、どうか音楽やプロテスト、投票の権利を通して、その力を使い、声をあげてほしい」。「VOTE」とプリントされたドレスを纏うリゾが受賞スピーチで発信したように、今年10月に開催された2020年の『ビルボード・ミュージック・アワード』の一つのテーマは「投票」だった。ファンによるオンライン投票によって受賞者が決まる部門も併せ持つ賞だが、スターたちが対象としたのは、世界への影響も大きい政治イベント、11月3日に迫るアメリカ合衆国大統領選挙だ。授賞式中継では、ビリー・アイリッシュら受賞者が投票を呼びかけたほか、リリースしたばかりのプロテストソング“Commander In Chief”を歌唱することで同国の最高司令官(commander in chief)、つまりはドナルド・トランプ大統領にメッセージを送ったデミ・ロヴァートのようなパフォーマーもいた。

『ビルボード・ミュージック・アワード2020』でのリゾのスピーチ

デミ・ロヴァートが2020年10月に発表した“Commander In Chief”MV

「最大の政治グループは投票しない者たち」。高くないアメリカの投票率

大統領選挙シーズンに突入してから、アメリカではアクティビストやマスメディアのみならず、エンターテイナーたちも果敢に投票を呼びかけてきた。特に熱が入っているのは民主党支持のリベラル派だ。新型コロナウイルス危機やBlack Lives Matter拡大の時勢において打倒トランプ政権を掲げる彼らのキーワードは「一生涯でもっとも重要な選挙」。メッセージの発信方法もさまざまだ。

たとえばInstagramでは、ファッション・アイコンとしても知られるファレル・ウィリアムスが「USE YOUR VOTE」とプリントされたTシャツを纏う姿をアップし、7月に逝去した公民権運動の指導者ジョン・ルイス議員の言葉──「投票は我々が持つ最も力強い非暴力的なツール」──を引用している。マイケル・B・ジョーダンのように、セクシーな写真で注目を集めて投票を促し、複数の州で必要な有権者登録の方法を紹介するトレンドも発生した。賛否がわかれる試みだが、相応の効果もある。インフルエンサーのカイリー・ジェンナーが水着の写真を添えて有権者登録を勧めた際、紹介された登録プラットフォーム「Vote.org」のInstagram経由ユーザーは前日比1500%、登録確認ツール利用者は80%もの増加を記録したという

有権者登録を呼びかけたカイリー・ジェンナーのInstagram投稿

「アメリカ最大の政治グループは全体42%の投票しない者たち」。フランク・オーシャンによる投票キャンペーンが掲げるように、アメリカの投票率はあまり高くない。政治ニュースメディア「Politico」によると、1998年以降の大統領選挙の投票率はおおむね50%台であり、投票を行なわない有権者の割合はデンマークや韓国の約2倍となる40%程度をマークしている。特に投票率が低いのは若年層だ。それゆえ、選挙による社会変革を望む者は、熱心に行動しており、民主党の党大会に登場したビリー・アイリッシュのように「沈黙は選択肢にない」と呈する者も珍しくない。

8月の民主党の党大会で新曲“My Future”を初パフォーマンスしたビリー・アイリッシュ

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