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 第4回目 未来の匠に会いたい。-若きフォント職人を追う

連載第3回目で見たように、フォントが完成するまでには、並々ならぬ努力と根気が必要です。半端な気持ちではできません。どんな方たちがその世界の扉をたたくのでしょうか。 今回ご紹介するのは、モリサワ文研(株)の久々の新入社員となった大島紗織さん。大島さんは入社を機に、埼玉県から明石へ来て一人暮らしをしています。周囲の期待が高まるなか、「難しい仕事だけど、何より面白い」と話す大島さんに、フォント作りの魅力を語ってもらいました。

(テキスト:CINRA編集部) 連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第4回:未来の匠に会いたい。-若きフォント職人を追うをdel.icio.usに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第4回:未来の匠に会いたい。-若きフォント職人を追うをlivedoorクリップに追加 連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第4回:未来の匠に会いたい。-若きフォント職人を追うをlivedoorクリップに追加

 未来の匠に聞く、 フォントの世界の魅力とは?

モリサワ文研株式会社 代表取締役森澤典久社長 取締役三浦誠之氏

大島紗織さん

埼玉県出身。多摩美術大学卒業後、2008年にモリサワ文研株式会社に入社。持ち前のセンスと向上心に、未来を担うタイプフェイスデザイナーとしての期待が高まる。

Interview

3年間は研修期間。使われるフォントを作る。

C:フォント制作の世界に入っていかがですか?

今、一日があっという間です。残業できないのが辛いと感じるくらいです。今の環境にはとても感謝していて、例えば、レタリングのしやすさまで考えて、書きやすいシャープペンシルや、原図を描く紙の素材選びまで丁寧にされていて、デザインに集中出来る環境と時間を頂いています。ペースよく、着実に進歩しているのを感じています。

大島紗織さん

C:約3年間は研修期間だとお伺いしたのですが・・・。

そうなんです。私自身、まだまだ知らないことが多すぎるので、少しでも自分の技術を高めていかないといけません。入社して1年が経とうとしている今、この仕事が自分に合っていると感じていて、それが実感できてよかったと思っています。

C:それは素敵な実感ですね。しかし、実際に経験してみて、大変なこともあったのではないでしょうか。

大変だったことは・・・あえて言うなら、やっぱりレタリングでしょうか。入社当初は、同期の3人で机を並べてやっていると、他の2人のペースに合わせなければいけないのかなと思って、焦ってしまうことがありました。今は、自分のペースが掴めてきて、納得のいく線が描けるまで集中できています。ただ、レタリングは体を使うので、長時間作業していると疲れますね。指にマメができたり、手が痛くなったりします。ある時は、夕食のパスタを食べようとした時に、フォークを持つのが痛くて食べたくなくなったこともありました(笑)。

C:それは大変です!毎日どれくらいの時間、レタリングの練習をされるのですか?

フォント制作に必要なコンピュータソフトの勉強などもありますが、レタリングの練習は、1日の大半の時間を使います。体で覚える職人のような技術なので、毎日やり続けないといけません。人に使われるフォントを作るのには、やはり3年くらいの研修をかけて自分の技術を培わないと。そうして初めてモリサワフォントのクオリティに近づけるんだと思います。

その文字が表現する感情や、意味と役割。    それがちゃんと人に伝わるようにデザインする。

C:働き始めて、文字への見方も何か変わりましたか?

以前にも増して、文字に目がいくようになりました。街なかの広告や看板で面白いものがあったら、写真を撮ったりしています。自分が実際に文字に触れていると、身の回りにある文字にも自然と興味がいきますね。

C:確かに、気になりますよね。私でさえも今回の取材を通して、文字に目がいくようになりました。

長年モリサワフォントを手がけている先輩デザイナーの方々も、そういう意識を持ちながら世の中の文字に関わってきたんだと思います。先輩の審美眼はやっぱりレベルが違う。例えば、自分がよしと思ってレタリングした文字を先輩に見てもらっても修正が入ります。言われてみると確かにそうなんですよ。だけど、まだ自分の力では気づくことができないんです。

C:それはもう経験を積むしかなさそうですね。

そうですね。それでも、毎日文字を見ているので、見方が少しずつわかってきたような気がします。以前は、「文字の空間を見る」ということがよくわかりませんでした。普通のデッサンでは理解していたつもりなのに、その対象が文字になったときに、空間のバランスの取り方がわからなかったんです。見ればわかるけど、実際に自分がやるのはすごく難しい。その点、先輩デザイナーの描いた原図を見ると、さすがだと思います。

文字をチェックする

C:自分でオリジナルのフォントを考える機会もありますか?

入社して一ヶ月くらいのときに、私たち新入社員に対して、漫画用のフォントをデザインする、という課題が与えられました。「うるせー!」と怒る場面などに使用するフォント、と指定されて、怒鳴り声や怒った時の激しい感情はどういった形なら一番伝わるのか、かなり考えました。その文字が表現する感情や、意味、役割をしっかり考えつつ、それがちゃんと人に伝わるようにと思い、デザインしたんです。その結果、嬉しいことに私が提案したものが選ばれました。それを研修の一環として、同期の3人で制作しているところです。フォントのルールを踏まえてデザインしたつもりですが、感覚やイメージが先行した面もあって、複数人で一緒に作るということには、大変さを感じています。イメージした形をルールとしてきちんと決めて、私以外の人にも描けるように整理していかないといけません。今回の課題では、「怒る」「怒鳴る」というようなテーマだったということもあって、極端なデザインを提案してしまったので、後でフォントに振り回されてしまいました。

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