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第9回目 どうなる?ニッポンの漢字
前回に見たように、日本の文章に含まれる漢字、ひらがな、カタカナ、そしてローマ字は、現代の形になるまでそれぞれの歴史を歩んできました。その中でも、漢字は未だに政治や社会の環境によって変化しています。例えば、戦後の国語改革では、使用漢字の制限や字形の簡略化が行われました。また、近年のDTPの普及も漢字のあり方に大きな影響を与えています。今回は、日本の漢字の歩みを見ることで、テクノロジーやメディアの変化と文字の密接な関係をひも解いていきたいと思います。
(テキスト:CINRA編集部) 連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第9回目 どうなる?ニッポンの漢字
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現在の漢字になるまで

もともと、中国では長い伝統の中で漢字の書体はさまざまに変化してきました。代表的なのは「篆書」「隷書」「行書」「草書」「楷書」の5つで、現代のデジタルフォントでもこれらの文字を参考にしたものが多く見られます。書体は時間をかけて徐々に形成されてきたのです。

象形文字の代表とされるエジプト文字(ヒエログリフ)は、初期メソポタミア文字からの刺激を受けて成立しました。古代地中海やヒッタイトのヒエログリフ風の文字は、エジプト文字の影響のもとに作られたそうです。
占いによって物事を判断するという宗教的色彩が濃い時代。その占いのために用意された青銅器に鋳込まれた文字です。甲骨文字よりシンメトリックな書風でした。
次第に文字が整理され、紀元頃には統一された形になったと考えられています。「正式な文字」として、石碑の題字や儀礼的な用途に用いられました。
篆書が簡略化されて使われ始め、紀元前1世紀頃には書き文字として定着しました。横長の字形と、左右の装飾的なはらいが特徴です。現代でもこの書体がデジタルフォントになって使用されています。
隷書が簡略化され、3〜4世紀に書かれるようになりました。2つの文字が繋がった「続け文字」の形は表現しにくいため、フォント化は難しいとされています。
4世紀に王義之によって草書とともに完成されたと言われています。現在、最も日常的に書かれる書体です。筆や紙が普及した3世紀頃から文字表現は飛躍的に発展していきます。
隷書が変化して4世紀頃から使われるようになりました。日本にも漢字が伝播し、洗練されながら長く正式な書体として今でも使われ続けています。15世紀頃にヨーロッパで金属活字と印刷機が発明され、やがて世界各地で普及した活字印刷。楷書は、印刷用の文字にも大きく影響を与えた書体です。
19世紀頃には日本でも本格的な活字鋳造が始まりました。後に作られたこの書体は、明治初期の手書きによる教科書書体を整理して作られました。楷書より右上がりを抑えてあり、子どもが習いやすいという特徴があります。特定の用途のために開発された活字書体の典型例です。
漢字の分類

このように今、たくさんの書体がデジタル化されてパソコンなどで使用出来るようになりました。その書体、すなわち日本語は、ひらなが、カタカナ、漢字、数字、記号類、アルファベットなどあり、その中でも漢字の数は大変多く、何字あれば良いのでしょうか? では、その漢字を整理してみましょう。この分類を知るだけで、文字がもっと扱いやすくなるはずです。

現存する漢字
戦後まもなく内閣から告示された、「当用漢字表」に定められた漢字。その後、「常用漢字表」が出され廃止されました。
当用漢字に代わり、社会生活に必要な「分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字」として、1981年に告示された「常用漢字表」にある漢字。
常用漢字の中でも特に使用頻度が高いとされる漢字。文部科学省によって定められており、小学校の6年間で教えられています。
子の名の届出に際して使用できる常用漢字以外の漢字をいいます。現在の法律で、子の名はひらがな、カタカナ、常用漢字、人名用漢字に限られます。
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常用漢字1945字以外の漢字で、正確には実際にいくつあるのかわかりません。
日本工業規格(JIS)が定める文字にコードが付けた規格の一つ。ワープロやパソコン、携帯電話で使われているデジタル文字で、現代では一番よく使われています。
分類混乱を避けるために検討された 「印刷標準字体」

私たちが普段、携帯電話やパソコン上で使用している漢字の一部は、「略字」だということをご存知でしょうか?
デジタル機器の変換機能のおかげで、若者でも難しい漢字を頻繁に使いますが、こうしてデジタルで使われている漢字は、パソコンの黎明期にモニター上やプリンタで文字が潰れるなどの問題回避の手段の一つとして、わざと画数を減らした略字になっているのです。このように、略字を使用する機会が増えたことで日本の若者が略字に慣れてしまいました。一方、書籍は略字を使わず、正字を使用しています。そのために、書籍と雑誌では使用されている漢字の字体が違ったりと、文字の使用において混乱を招くことになりました。

これを問題視した日本国は、国策として2000年に「印刷標準字体」を決めたのです。強制力はありませんが、今後リリースする電子機器、パソコンに搭載する漢字に適用することが推進されています。ただ、莫大な費用がかかるため、なかなかすぐに適用するのは難しいとされています。それを真っ先に行ったのが、マイクロソフト社でした。ちょうど新しいOS(Vista)を出すタイミングで、この国策を取り入れたのです。そのため、WindowsXPとVistaで一部の約130字の漢字の字体が異なります。

常用漢字には含まれないが、書籍やワープロなどで普及している「表外漢字」のうち、1022字の字体について文部科学省によって試案・公表されたもの。伝統的な字体と、ワープロなどで見られる略字が混在する問題を検討し、文字生活を混乱させないために検討されている。

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