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早く人間になりたい Neat's(26歳女子)

第3話:大いなる「ごっこ」の勧め

初ワンマンライブでの少し滲んだ独白

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そんな風にNeat'sのことをポジティブに捉え始めている自分の変化に驚きつつ、私は初めて彼女のライブを観に、下北沢GARDENへ足を運んだ。その日はCD発売日当日に行われるワンマンイベントということで、今の彼女を応援している人がどれほどの数に及ぶのか、一目瞭然となる。正直なところ、恐らく現状ではまだ集客は厳しいのではないかと思いながら、恐る恐る会場の扉を開けると、600人を収容できるライブハウスはすでに満員になっていた。確かに1年前まで2000人以上を収容できるZEPP TOKYOをソールドアウトさせていたとはいえ、当時とは全く違う音楽性になり、プロモーション力にも天と地ほどの差があるなかで、Neat'sのためにこれほどの人が集まっているのは、嬉しい驚きだった。

Neat's

ライブ自体はまだ3回目ということもあって、曲毎に完成度のムラはあったものの、曲が終わる度に客席から暖かい拍手と歓声が送られ、終止和やかなムードだった。そしてMCで独白を始める。Neat'sを始めて、自分がからっぽだと気がついたこと。そんな人間が、みんなに何をあげられるんだろうかと悩んだこと。そして最後に少しだけ滲んだ声で「でも、そんな裸の私を見てほしい」と言い、より一層気持ちのこもった演奏を始めると、そんな彼女の気持ちに応えるように、より熱い声援が送られた。

平凡でつまらなくて、でも、希望に満ちたNeat'sの結論

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私は今でも、Neat'sのことをうまく理解できないでいる。取材をする度に、彼女の言うことが本心なのか、それとも鎧をまとった偽りの言葉なのか、なかなか判断もつかないままだ。それはきっと、本人が常に悩みながら、なんとか前に進もうとしているからなのだろうと思う。何か確固たる信念があったり、判断基準があるわけではないのだ。

それでもNeat'sは、この1年で、少なからず結果を出し始めている。たった1人で、ゼロからスタートしたことを考えれば、これが誰も真似のできない「小さな成功」であると言って、間違いではないだろう。範囲は狭いかもしれないが、手の届く範囲の人たちと、かなりの強度で繋がったのだ。Neat'sのごっこ遊びは間違いなく、実を結び始めている。それはもしかすると、本人自身も認められる「変化」かもしれない。彼女自身はどのように思っているのだろうか。

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――壁にぶつかりつつも、今のNeat'sはすごく前向きに物ごとに取り組めてるように思うんですが、それってつまりは「人間になれた」ってことなんでしょうか?

Neat's: 人間になれたかどうかは分からないけど、そもそも「人間になりたい」って、すごくおこがましかったなって今は思ってるんです。

――それはどういうこと?

Neat's: 例えば、私の欲求は「自分を曝け出したい」ってことだったけど、それと同じように、何かになりたいとか、こういう職業に就きたいとかっていう希望は、みんな抱えて生きてると思ったんです。当たり前のことなんですけど、その事に気づくまでに随分時間がかかっちゃいました(笑)。だから言い方を変えてしまえば、誰しも「人間になりたい」って思っていて、わざわざそんなことを言うこと自体が格好つけてるように思えてしまったんです。

ここまでじっくりドキュメントをしてきた身からすれば、彼女の出したこの結論は、平凡でつまらない。当たり前のことを当たり前に悩み抜いて、ようやくひとつトンネルを抜けた、誰しもが経験をしている普通の話だからだ。

でも、それで良かったのかもしれないと私は思っている。もともと異次元の存在くらいに思っていたNeat'sが、この1年で劇的な変化と成長を遂げたりしたら、私はこの物語を「才気あふれる女の子の躍進劇」として、テンション低めに遠くから眺めていただろう。それよりも今、あんなに青く見えた隣の芝生が、自分と同じように悩んだり苦しんだりしながらもちゃんと前に進んでいっている様が、何だか自分のことのように嬉しかったりする。それはきっと、全てを曝け出す道を選んだ彼女が、図らずも生み出した新しい魅力に魅せられたからだろうと思うのだ。

Neat'sはこれから、3月に『Wonders』のリリースを記念した初のツアーを行い、バンドと共に東京・大阪・名古屋の3都市をまわる予定だ。先日のワンマンライブでは、「(2011年はネットを舞台に活動していたので)これからは地上に出ます!」と宣言をしていた。変わり続けていくNeat'sと、その度に彼女がどんな「ごっこ遊び」を生み出すのか。今年は、もっと色んな場所で奮闘して、より多くの人をその範疇に捉えそうだ。連載はひとまずここで一旦終了になるが、彼女の猪突猛進ぶりがこれからどれだけの人を巻き込んでいくのか、私も引き続き楽しみながら見守っていこうと思う。

INFORMATION

Wonders

Neat's
『Wonders』(CD+DVD)

2012年1月28日 オフィシャルサイト+ライブ会場限定発売
価格:3,000円(税込)
dada-1

  1. 1. BBB
  2. 2. ナイト・イン・サイダー
  3. 3. スロウモーション・ファンタジーズ
  4. 4. ロンリーズ
  5. 5. 首飾り
  6. 6. Command Z
  7. 7. ミス・クラウディの場合
  8. 8. 0
  9. 9. 苦いコーヒーに溶けないでシュガーキューブ
  10. 10. MW〜melancholic wonders
  11. 11. wonders

[DVD収録内容]

  1. 1. BBB
  2. 2. 苦いコーヒーに溶けないでシュガーキューブ
  3. 3. スロウモーション・ファンタジーズ
  4. 4. ロンリーズ
  5. 5. Command Z
  6. 6. ナイト・イン・サイダー
  7. 7. wonders
  8. 8. LIVE documentary
  9. 9. Offshot movies

Wonders - Neat's SHOP

『Neat's 1st tour 〜virgin show〜』

2012年3月10日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:大阪府 心斎橋 Pangea
料金:3,000円(ドリンク代別)

2012年3月11日(日)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
料金:3,000円(ドリンク代別)

2012年4月8日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 下北沢 GARDEN
料金:3,000円(ドリンク代別)

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