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あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.2:たむらぱん

苦労を重ねた下積み〜インディーズ時代
Myspaceでの成功でメジャーの世界へ

たむらぱん

独学で音楽制作を学び始めた、たむらぱんさん。最初に作ったデモテープがいきなりレコード会社の目にとまりつつも、まずはインディーズで地道な活動を続けます。その活動もトントン拍子というわけではなく、苦労の日々を重ねました。そんなときに1つの転機が訪れます。インターネット上で音楽を公開できるサービス「Myspace を通して楽曲を発表。彼女の音楽は、リスナーと密なコミュニケーションを築きながら、ネットを介して徐々に広がっていきました。2007年には念願のメジャーデビュー。その翌年にはファーストアルバムの『ブタベスト』、2009年には『ノウニウノウン』と順調にリリースを重ね、徐々に知名度を上げながら、音楽性もアルバムを重ねるごとに成長を遂げていきます。

たむら:メジャーで活動するようになって私の経験値も増えた分、いい意味でも悪い意味でも応用が利くようになりました。最近いろんな方とコラボレートをさせていただいたりしていますが、もともと私は、誰かと一緒にモノ作りをしていくことが苦手な性格で、「自分で何とかしないと」「全部やらなきゃ」っていう意識がとても強かったんです。だから、今の自分の姿は昔の私から見れば、ちょっと意外だったりします(笑)。もし、もっと早くから周りの人と一緒にやることを覚えていたら、どうなっていたんだろうなって。

がむしゃらにやっているうちに
自分の変わらない部分を再発見できた

たむらぱんさんの機材

その後も順調に、『ナクナイ』『mitaina』『wordwide』と3枚のアルバムをリリース。最近では作曲家・田村歩美としての活動も開始し、松平健や私立恵比寿中学、豊崎愛生などのアーティストへ楽曲を提供しています。音楽制作を始めた頃から楽曲提供に憧れを持っていた彼女ですが、その自信がついたのはつい最近のことのようです。

たむら:楽曲提供のお仕事はしたかったけど、その前にまず自分の世界観を確立する必要があると思っていました。そして、がむしゃらにやっているうちに、いつの間にか一回りして自分の変わらない部分を再発見できた気がしたんです。曲の提供もできると思えたのはそれからですね。たむらぱんと田村歩美では主役が違うぶん、遊ばせてもらえる部分も多いし、どれだけ普段の自分から離れられるかってチャレンジできるのも楽しいです。良い刺激をたくさんもらっています。

作品にヒネリを加えることにこだわってきたこれまで
これからは培ってきたものを壊していきたい

KORG

たむらぱんといえばデビュー当時から変わらない、ヒネリのある曲タイトルやアートワークも醍醐味の一つ。見る人に何かしらのとっかかりを与える、遊び心を常に感じさせる世界観は、最新シングル『ココ』でも健在。制作においてタイトル決めは、毎回彼女の頭を悩ます種のようですが、その考え方も少しずつ変わってきたようです。

たむら:曲のタイトルやジャケットにヒネリを加えることで、「作品を作ることは単純なことじゃないんだ」っていう意図を伝えたかったんです。『ココ』は曲の展開もそうですし、歌詞やタイトルをダブルミーニングにしていて、ある意味でこれまでの集大成かもしれません。でも、最近は培ってきたものを壊したいモードなんですよね。タイトルやアートワークにしても、これまでのように考えさせるものとして捉えてもらうんじゃなくて、もっとストレートに伝わりやすくしたい。だから、今は自分の中で大きな転機にさしかかっているんだと思います。

インディーズとしての下積み期間が長かったからこそ、今の自分の音楽スタイルがあると話すたむらぱんさん。学生時代に得意だった長距離走のように時間をかけて自身の音楽を追究していった彼女に、音楽を制作するようになってから、自分のどんなところが変わったと思うか、質問してみました。

たむら:昔の自分と比べると……、独りよがりになりました(笑)。小さい頃はいろんな分野をこなして結果を出す、つまり周囲の期待に応える器用な子供だったと思うんです。でも、ミュージシャンという道を選択して社会に出て、器用なだけでは通用しないことも分かったし、自分の世界観を築く上で譲りたくないこともたくさん出てきた。独りよがりになったのはそれらの結果だと思っています。でもそのおかげで、今はもっと知らない人と一緒にいろんな音楽を作ってみたいと思うようにもなりました。

取材中、言葉の端々から常に好奇心旺盛なキャラクターを感じさせてくれた、たむらぱんさん。これからはどんなことにチャレンジしたいかと最後に聞いたところ、イギリスのインストバンド・Penguin Cafe Orchestraにボーカルとして加入したい、弦楽器主体のバンド・Mother Falconでギターを弾いてみたい……と、やりたいことはたくさんある様子。次の作品でもきっとリスナーをびっくりさせるようなサウンドを、このスタジオから届けてくれることでしょう。

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