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あの人の音楽が生まれる部屋

ポップなサウンドの中に耳に残るメロディーとヒネリの効いた歌詞、さらには目を引く印象的なアートワークによる独自の世界観で、リスナーの目と耳を楽しませてくれるたむらぱんさん。2012年に発売されたアルバム『wordwide』では、Shing02さんとともにヒップホップに挑戦するなど「たむらぱんワールド」の広がりはとどまるところを知りません。そんな彼女はどんな過程を経て、今の制作スタイルへと結びついたのでしょうか。制作拠点の1つでもある都内某所の歌録り用スタジオにお邪魔して、じっくりとお話を伺いました。

テキスト:伊藤大輔 撮影:豊島望

たむらぱん

たむらぱん

2007年頃よりMyspaceを通して楽曲の発表を開始すると、すぐさま話題を集め、2008年にメジャーデビューアルバム『ブタベスト』をリリース。作詞・作曲・アレンジからアートワークまでのすべてを自分で手掛け、ポップなサウンドにクセのある歌詞を載せた独自の世界観を展開する注目の女性クリエーター。現在ではたむらぱん以外に田村歩美名義で楽曲提供も行っており、豊崎愛生やアイドルユニットの私立恵比寿中学を始め、CM音楽など、活動のフィールドは多岐にわたる。最新作はシングルの『ココ』。

http://www.tamurapan.com/

何にでも飛び込んでいく好奇心旺盛な幼少期
歌詞に魅了されて踏み込んだ音楽の世界

たむらぱんさんの機材

岐阜県出身のたむらぱんさんは、幼い頃から活動的で、学生時代に経験したクラブ活動は、自転車、剣道、マンガ、アマチュア無線、長距離走、クロスカントリー、野球部のマネージャーと、アウトドア / インドアを問わず実に多彩。文武両道の学校生活を送る、好奇心旺盛かつマジメな少女だったようです。

たむら:昔からやったことがないものをやりたいっていう思いが強かったですね。学生の頃は朝から夕方まで授業やクラブ活動があって、とにかくやるべきことが多くて、そういった一つひとつの活動にちゃんと取り組んでいました。読書感想文のような作品コンクールがあったら「絶対に入賞する」って決めて努力していたし、そういう意味でも学生生活を満喫していたタイプだったと思います。

幼稚園の頃にはピアノも習っていましたが、「練習よりも本番が好き」な性格も手伝ってか、意外にものめり込むことはなく、少し習った程度だったそう。今となってはそのことをちょっと後悔しているようですが、音楽の楽しさについては小学生の頃に、テレビの歌番組やフォークソング世代だったお父さんの歌から汲み取っていました。そんな中たむらぱんさんが最初に音楽に惹かれたのは、音よりも歌詞でした。

たむら:歌詞の世界に浸るのが好きすぎて、例えば尾崎豊さんの“卒業”で、<この支配からの〜>って歌っているところを、<殺し合いからの〜>だと勝手に思いこんで感動したりもしてました(笑)。特に人の内面を描いているような歌詞が好きで、南こうせつさんがハレー彗星を少女に例えて歌う“少女の名前はハレー”とか、X JAPANの“紅”も好きでした。地元の岐阜県・高山はマニアックな音楽が手に入りにくかったので、テレビの影響が強かったですね。音楽番組のテロップで流れる歌詞を書き写すのに命をかけてみたり(笑)、『歌謡曲』のようにコード譜と歌詞がたくさん載っている雑誌を買って、ひたすら歌詞を読み漁っていました。

ストーリーを感じられる
音楽から生まれた、たむらぱんの個性

たむらぱん

そんな彼女があらためて音楽に興味を持ち始めるのは高校生の頃。歌詞だけではなく、音にも興味を持つようになると、ポップミュージックからハードロック、ブラックミュージックと、持ち前の好奇心をフル活用して、さまざまなジャンルへ食指を広げていきます。たむらぱんさんが好きになる音楽のポイントには共通する部分があるようで、その後、ミュージシャンとして活躍する彼女の個性を培う糧となりました。

たむら:一言でいうと、ロマンが感じられたり、景色が見える音が好きです。音を聴いているだけで楽しく感じられるものって、音色自体がストーリーになっているというか。曲自体はもちろん、ドラムの音や各楽器のフレーズなどでも、一貫して物語を感じるような音に反応することが多いですね。そういう意味ではアメリカのロックバンド・TOTOなんかも大好きでした。洋楽も聴き始めて、英詞にも触れるようになりましたが、言葉の意味が分からなくてもやっぱり「物語が見えるような感じ」が好きで、その感覚は今もずっとあります。だから、もし日本語が分からない人が私の曲を聴いたとしても、音だけでストーリーが見えるような曲にしたいと思っています。

大学卒業間近、幼少期の
思い出をきっかけに音楽の道を決意

たむらぱんさんの機材

歌詞を読むだけでなく読書も大好きなたむらぱんさんは、本を借りるたびに図書館の貸し出しカードがたまっていくことに喜びを感じていたそう。そんな読書好きが高じてか、4年制大学の文学部へと進学。学生時代にやりたいことは全部やり切りたかったと語る彼女が音楽制作の道を決意したのは、大学生活も後半に差し掛かった頃。少し遅めのタイミングでスタートを切りました。

たむら:皆に倣って就職活動を始めつつも、何かイメージと違っていたんですよね……。それもあって幼少期に感じていた、何かを作り上げて人前で発表することの楽しさを思い出し、あらためて音楽をやりたくなったことを覚えています。それで、音楽制作のためにシンセサイザー・YAMAHA QS300を秋葉原で買いました。でも、かなり高機能な機材で説明書を読んでもわからないことだらけだったので、その都度コールセンターに電話して、教えてもらいながら曲作りを始めました。

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