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万が一『OZZFEST』を知らないあなたへ

万が一『OZZFEST』を知らないあなたへ

武田砂鉄
2013/03/25

オジー・オズボーンが主催するヘヴィミュージック・フェスティバル『OZZFEST』が5月11日・12日、日本へ初上陸する。その報を聞いて早速拳を上げた人はこの原稿など読む必要はないだろうが、「万が一」このフェスの存在感と意義をイマイチ感じ取れていない人に、イヤというほど知らしめていくことにする。

グランジを踏んづけた『OZZFEST』

オジー・オズボーンの妻でありビジネス面を取り仕切るシャロン・オズボーンが1996年に立ち上げたヘヴィミュージックの祭典『OZZFEST』は、この15年間のヘヴィロックシーンを見事に活性化させてきた。立ち上がりのきっかけとなった皮肉めいたエピソードを持ち出せば、この15年間の強度がより高まるかもしれない。

96年、シャロンはJane's Addictionのペリー・ファレルが91年に始めたフェス『Lollapalooza』への出演を画策していた。このフェスは90年代前半に隆盛したグランジ / オルタナ系を結集させていたフェス。NINE INCH NAILS、Soundgarden、Alice in Chainsらが名を連ねてきたフェスは年々少しずつ隣り合うジャンルにも門戸を開きはじめ、96年にはMetallica、RANCID、Rage Against the Machineと、グランジに軸足を置きつつもそこから遠くない道を走ってきた大物へも声をかけ始めていた。今ならばとシャロンが持ちかけたオジー・オズボーンの出演を、『Lollapalooza』側は一蹴した。炎上型の妻・シャロンは、「ならば自分たちでやるわ」とヤケクソ気味にオジー主催でのヘヴィロックフェスを早速その年から始めたのだ。

やがてグランジブームの下火と共倒れするかのように『Lollapalooza』は97年で終了(2003年以降、形を変えて復活)。そこから『OZZFEST』の一人勝ちが続くことを考えると、「オジーが出演を断わられた」ことは、ヘヴィロックシーンの転換点となったと言える。ここから、シャロンとオジーによる選球眼がそのままフェスの出演に繋がり、そのままシーンでの認知に繋がる十数年が続いていく。今回の日本公演で初日のトリを務めるSlipknotは、デビュー前の99年に『OZZFEST』のセカンドステージに登場する恩恵を得たことが契機となり認知度を高めていったバンド。つまり、SlipknotからBlack Sabbathへとトリが引き継がれる今回は、『OZZFEST』15年間の成果をそのまま知らしめにくるかのようでもあるのだ。

Slipknot
Slipknot

オリジナルBLACK SABBATHの崇高さ

何よりも大トリのBlack Sabbathについて語らなければいけない。オジーを含むオリジナルラインナップで来日するのは結成40年以上の歴史において初めてのことである。残念ながらドラマーのビル・ワードは契約条件の問題で参加を見送ったが、オジー、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラーの三者が揃うのはこれ以降を考えても唯一の機会となるだろう。Black Sabbathとは、世の中の「ヘヴィ」と付く全ての音楽の「父」である。例え直流で繋がっていなくとも、辿れば必ず最終的にそびえている父性である。自分は違う、別の道を切り開いたと思っていても、辿ればやっぱりそこにはBlack Sabbathがいる。カテゴリー名だけが増え無駄に細分化してしまった感のあるヘヴィミュージックシーンだが、起源はちっともぐらつかない。それがBlack Sabbathである。

BLACK SABBATH
BLACK SABBATH

1970年2月13日「13日の金曜日」。バンド名を掲げたアルバム『Black Sabbath』を発表したこの日は、へヴィメタルの誕生日である。69年に行なわれたウッドストック、愛と平和をロックに委ねた祭典は俗世間へ抗っていくコミュニティーの現れであった。しかし、一方で、その抗い方に溢れる手放しの多幸感は、個々人の淀みを解消してはくれなかった。巨大ムーブメントと変容しつつあったロックに、よりピュアな負荷を加え、重く深く歪ませたのがBlack Sabbathの初期作品だ。黒魔術、アンチキリスト、世間への憎悪、生きる上での暗部を具象化した歌詞世界とトニー・アイオミによるリフが粘着質に絡み、暗く沈み奥底で蠢きながら怪しく運ばれていくこの音楽。

トニー・アイオミのリフは「ロックの発明品」の中でも最たる重要品だ。デビューアルバムのタイトル曲はたった3つの音で構成される。これ以降、いかなるテクノロジーを駆使しても、3つの音が反復されるだけのこの曲が放つ負のエナジーを超えることはない。あらゆるヘヴィネスはこのシンプルで恐ろしい諧調に挑み続けていると言える。オジーがBlack Sabbathに在籍したのは、デビューから10年にも満たない。その後のソロ活動中の、生きた鳩やコウモリを食いちぎるといったエピソードが伝えられては奇特なロックアイコンとして認識され、最近では私生活を赤裸々に公開した『ジ・オズボーンズ』で茶の間の「失笑」アイドルと化したオジーだが、半笑いで彼を見つめる現状はいただけない。

しかし結局、そんなものはサバスの畏敬が振り払うのだ。明らかにキャリアの後半にいるオジーが再度サバスの結集に参加する決断を下したのであるならば、この邪念に塗りたくられたサバスの魔法を、半笑いの口を閉じて味わなければいけない。昨今勘違いされがちだが、「重厚」や「過激」という概念は音の密度で語られるわけではない。正統的なブリティッシュハードロックの系譜にも位置するサバスが打ち出したエッセンスは、「ヘヴィ」の総量でいえば、現在の最前線からは劣るかもしれない。しかし、ヘヴィとはテクニックよりも思想とするのが正しいのであって、その思想体系の発案者は言わずもがなBlack Sabbathであり、ある段階からは『OZZFEST』がその思想を育成し、そして昨年から再び、本家本元が再度「宣教」に励んでいるのである。この有り難みに気付かなくてはいけない。

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イベント情報

『Ozzfest Japan 2013』

2013年5月11日(土)、5月12日(日)OPEN 10:00 / START 12:00
会場:千葉県 幕張メッセ国際展示場9〜11ホール

5月11日出演:
SLIPKNOT
SLASH
DEFTONES
マキシマム ザ ホルモン
MAN WITH A MISSION
Fear, and Loathing in Las Vegas
Crossfaith
and more

5月12日出演:
BLACK SABBATH
TOOL
STONE SOUR
DIR EN GREY
ANTHEM
coldrain
AA=
人間椅子
and more

料金:
前売 1日券14,000円 2日間通し券27,000円 Tシャツ付き2日間通し券30,000円
※当日券は1日券のみ販売予定
※リストバンド交換は9:00から開始予定
※Tシャツ付き2日通し券は完売

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