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『YEN TOWN BANDは、なぜ20年ぶりに本格的に復活するのか?』 Vol.1 小林武史インタビュー このバンドについて今話しておくべきこと

『YEN TOWN BANDは、なぜ20年ぶりに本格的に復活するのか?』 Vol.1 小林武史インタビュー このバンドについて今話しておくべきこと

柴那典
撮影:永峰拓也

単純でわかりやすくて強いものに導かれる方向に、どうしても行きがちではありますよね。

―ゼロ年代に入り、小林さんは環境保護や自然エネルギー促進事業などをバックアップする非営利団体「ap bank」を立ち上げます。その活動が、今回のYEN TOWN BANDの復活とつながっているという考えもお持ちでしょうか。

小林:それはありますね。YEN TOWN BANDが『大地の芸術祭』で復活することとも全部つながっている。というのも、新潟県の越後妻有地域で3年ごとに開催される『大地の芸術祭』は過疎をテーマにしているところもあります。里山に世界中からアーティストを呼んで、地元の人たちとの不思議なつながりを作ることで、命がもう一度響きあうようなことをやってきた。ap bankとして東日本大震災の復興に関するプロジェクトもやってきたけど、過疎や人口流出の問題って、ずっと以前から続いているわけですよね。で、そういうテーマと『スワロウテイル』でのYEN TOWN BANDの在り方もつながっている。

岩井俊二がデザインした新しいYEN TOWN BANDのロゴ
岩井俊二がデザインした新しいYEN TOWN BANDのロゴ

―YEN TOWN BANDと過疎の問題はどうつながっているのでしょう。

小林:そもそも「円都」という場所が、大都市のど真ん中なのか外れなのかもわからないし、いずれにしても取り残されている場所なんですよ。そういう、取り残されていったものの中にも命は宿っているし、むしろそこに本質が隠れていたりする。『MONTAGE』を作っていたときにも、同じような思いを感じたんです。ニューヨークのウォーターフロントスタジオだって、廃墟ビルの中にミュージシャンが集まって、自分たちで勝手にスタジオを作っていたのが格好良かった。レニー・クラヴィッツも普通に遊びに来ていたからね。

―取り残されたものに本質が宿るというのが大事なポイントなんですね。そして、それは20年経った2015年の今にも有効な価値観である。

小林:この不穏な時代だからこそ、より大事な考え方になっていると思います。1つの強いものにみんなが従っていくのは合理的な考え方だけれど、そうじゃない。むしろ取り残されていくものの中に大切な何かを見出す。そこに、ロックの持つ自由な魂みたいなものも存在しうると思いますね。

―今は特に、ポップミュージックにしても、社会の潮流にしても、一体感というものが大きな力を持っていると思います。そういう時代であるからこそ、パーソナルな「個」の力が重要になってくる。

小林:単純でわかりやすくて強いものに導かれる方向に、どうしても行きがちではありますよね。でも、「みんなでわかりあえる」ことよりも、むしろ、「わかりあえなくても支えあえる関係性」というものがあると思う。個々の間でそういうものが生まれたらいいと思う。

―そういった今の時代の空気を感じられたからこそ、YEN TOWN BANDという入れ物の有効性を、再び見直してみるきっかけになったと。

小林:そうですね。岩井くんと僕の中でずっと感じてはいたんだけど、なかなか開けるタイミングがピンとこなかった。今、世の中にリバイバルはいっぱいあるけど、そういうつもりでは全くなかったから。

―単なる復活ではないわけですね。

小林:ないですね。懐かしむためにやっているわけではない。今の時代に意味があると思って始めたことだし、すごく楽しくやれている。新しい曲もできているからね。

小林武史

―先ほど、新曲“アイノネ”のデモ音源を聴かせていただき、人と人とがつながっていくような、大きな包容力のある曲だと感じました。『大地の芸術祭』の復活ライブでもこの曲を披露する予定はありますか?

小林:もちろん。波紋のような、共振のような感覚になったらいいなと思っています。

―『大地の芸術祭』での復活ライブは、どういうものにしようというイメージがありますか?

小林:やっぱり、全てのきっかけは『大地の芸術祭』だったので、始まりになるようなものにしたいですね。YEN TOWN BANDをやることは、僕らが生きている社会や、ap bankで今までやってきた東北の支援や復興と向き合うことにもつながっている。大きな強い力やシステムに依存するのではない、オルタナティブな在り方を探るためにYEN TOWN BANDという入れ物のフタを開けた。そうした以上は、『大地の芸術祭』のみで終わるつもりはないということです。だから、あらためて若い人たちにも『MONTAGE』を聴いてほしい。『MONTAGE』を超えるアルバムを作ることはなかなか難しいけれど、今の時代のYEN TOWN BANDがやるべき役割もあると思っていますからね。

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イベント情報

『大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi』

2015年9月12日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:新潟県 まつだい「農舞台」
料金:前売5,000円(全自由・入場整理号付)
※『大地の芸術祭』作品鑑賞パスポートチケット付
※『大地の芸術祭』作品鑑賞パスポートをお持ちの方は別途ライブチケット(2,000円)の購入が必要

イベント情報

『JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM』

2015年10月17日(土)
会場:北海道 札幌 Zepp Sapporo
出演:
YEN TOWN BAND
ACIDMAN
Lily Chou-Chou

2015年10月22日(木)
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo
出演:
YEN TOWN BAND
amazarashi
Lily Chou-Chou

2015年10月25日(日)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka
出演:
YEN TOWN BAND
クリープハイプ
Lily Chou-Chou

2015年10月26日(月)
会場:愛知県 名古屋 Zepp Nagoya
出演:
YEN TOWN BAND
miwa
藤巻亮太

2015年10月28日(水)
会場:大阪府 Zepp Namba
出演:
YEN TOWN BAND
スキマスイッチ

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プロフィール

小林武史(こばやし たけし)

音楽家、音楽プロデューサー。1980年代からサザンオールスターズやMr.Childrenなどのプロデュースを手掛ける。1990年代以降、映画と音楽の独創的コラボレーションで知られる『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』など、ジャンルを越えた活動を展開。2003年に「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギーや食の循環、東日本大震災の復興支援等、様々な活動を行っている。

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