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『私は猫ストーカー』 鈴木卓爾監督×星野真里インタビュー

『私は猫ストーカー』 鈴木卓爾監督×星野真里インタビュー

インタビュー・テキスト
小林宏彰
撮影:安野泰子

男と女、夫婦、人間と犬だったりという関係性の役割が壊れたところからスタートする物語を描くのが好きなのかもしれない

―星野さんは猫を相手に演技をしている時に、例えば猫がなかなか出てこないだとか、大変なことってあったんですか?

星野:トラブルってそんなになかったんですよ。谷中には猫がたくさんいて、びっくりするようなタイミングで出てきてくれたり(笑)。カメラマンさんも、これじゃあ逆に仕込んだように見えちゃうから、もう一回やっとくかって(笑)。

鈴木:12月にしては暖かかったんですよ。そうすると猫も出てきてくれやすいんです。一度だけ時間がかかったのは、映画に登場する唯一の俳優猫、チビトム役のタラオちゃんに、カメラに向かって歩いてきてっていう指示を出した時ですかね。星野さんも、タラオちゃんを後ろからチョイっと押してくれたりして(笑)。

『私は猫ストーカー』 鈴木卓爾監督×星野真里インタビュー

―撮影をされてみて、猫のイメージって変わりましたか?

星野:私は動物全般が好きで、猫もかわいいなとは思っていたんですけど、飼っているのは犬なので、これまでそんなに接する機会がなかったんです。こんなにじーーっと見たのも初めてでしたが、犬とはまた違ったかわいさ、面白さがありました。犬って、常にかまってほしいっていうアピールをしてきて、いつも私と一緒に動き回りたいっていう感じなんです。でも猫ちゃんは、「わたしはここにいたいから今いるの、そっちはそっちで好きにしてればいいんじゃない?」っていう(笑)。お互いに自由なんだけど、でも興味がないわけではないっていう距離感がありましたね。

鈴木:あれ、プライドなんですかね?なんていうか、「私は用事があって忙しいのだ」みたいなフリをしますよね(笑)。

星野:しますよね(笑)。

―鈴木監督は猫を飼っているんですよね?

鈴木:そうですね。友人の矢口史靖監督が、『ウォーターボーイズ』を撮影した時に、ロケ地でスカウトした猫が何故か我が家に住むことになったんです。僕は特に犬派、猫派というのはなくて、この作品にしても派閥が壊れた映画にしたかった。世の中にあるいろんな垣根を気にしない、自由気ままな猫という存在を通して、男と女、夫婦、人間と犬だったりという関係性の役割が壊れたところからスタートする物語を描くのが好きなのかもしれないです。現実の世界ではなかなか難しいことですが。

―原作のエッセイの世界観とは、また違った映画になっている、ということでしょうか?

『私は猫ストーカー』 鈴木卓爾監督×星野真里インタビュー

鈴木:原作の浅生ハルミンさんに初めてお会いしたとき、「猫が人からやさしさを勝手に享受できて、また人も、猫からやさしさを素直に得られる町が、私の思う良い町です」と言ってくれたんですね。映画の作業で、一番ヒントになった言葉でした。それでいて、原作のエッセイは、日常生活の中に楽しさを見つけようっていうメッセージがあって、ハルミンさん独特のまなざしで、世界観察のしかたが愉快でもあって。しかも他者の領域にゾンザイに踏み込まないという、とても慎ましやかな手法で。それを映像に置き換えてみたかった。ハルミンさん独特のパース表現のようなこと、町の地形と気持ちがふいに重なる感じというか。本来なら人物の中に、そんなスピードでは生じ得ないような感情を、グイーンと捩じまげて生じさせてみたかったりとか。これまで劇場公開された映画ではわりと、視覚的なシュールさ、ギミックを凝らした表現をやってみてたんですけど。人形が空を飛んでパルコの看板にぶつかるとか(笑)。

星野:えっ(笑)

鈴木:そんなことやってました(笑)。今回はあまりないですけど。今回は、一人ひとりの俳優さんのメンタリティーを信頼し、ワンシーンワンカットにして、スタッフも含めて全員に自由にやってもらって編集で組み立てていくという方法に集中したんです。ずっとやってる、『ワンピース』という短編自主映画活動で、参加してもらってる人たちと一緒にやってる感じに近い気がします。その感じを長篇映画の撮影で進めてみた。この経験は、自分の中ですごく大きかったなと思います。

―星野さんも、これまでの関係性の役割が壊れる瞬間って好きですか?

星野:今まで思っていたこととは違う、新たな発見っていうことですよね? 好きっていうのもおかしいですけど、そう感じられた時はうれしいですね。とはいえ、今までのものが全くなくなるのかといえばそうではなくて、あ、そうも見れるんだとか、そうも考えられるんだっていう、目の前の世界が広がるという感じが好きです。

鈴木:毎日そんなことが起きたら困っちゃうけどね(笑)

星野:そうですね(笑)日常がつづいて、たまに新しい発見があるといいですね(笑)

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作品情報

『私は猫ストーカー』

2009年7月4日よりシネマート新宿にてロードショー、ほか全国順次公開

監督:鈴木卓爾
脚本:黒沢久子

キャスト:
星野真里
江口のりこ
宮崎将
徳井優
坂井真紀
ほか

配給:スローラーナー

初日舞台挨拶&タイムテーブル

2009年7月4日(土) 初日のみのタイムスケジュール
■12:00~ ■14:30~ ■17:00~ ■19:15~
1回目12:00の回終了後、舞台挨拶
2回目14:30の回上映前、舞台挨拶
舞台挨拶登壇者 
主演:星野真里さん、原作:浅生ハルミンさん、
監督:鈴木卓爾さん、スペシャルゲスト:タラオくん(猫)
※7月5日(日)からは下記の通り上映します。
■11:30~ ■13:45~ ■16:00~
■18:15~ ■20:30~

『私は猫ストーカー』イベント一覧

『写真コンテスト詳細』

テーマ:あなたが「猫ストーカー」して激写した写真
応募期間:2009年6月15日(月)~9月末日(予定)
締切:2009年9月末日投稿分まで(劇場展示分は6月30日締め切り)
選考:浅生ハルミン(原作)/『私は猫ストーカー』製作委員会
入賞発表:締切後、受賞者を選考します。発表は公式ホームページにて行います。
賞:
最優秀賞 3名 オリジナル『私は猫ストーカー』Tシャツ
優秀賞 10名 オリジナル『私は猫ストーカー』てぬぐい
佳作 100名 DVD(レンタル・セル)の特典として収録
問い合わせ:『私は猫ストーカー』製作委員会(株式会社マクザム)info@maxam.jp

三省堂書店神保町本店トークイベント
『猫と映画と古本と』

2009年7月1日(水)18:30スタート(開場18:00)
会場:三省堂書店神保町本店8階特設会場
ゲスト:浅生ハルミン、鈴木卓爾監督、越川道夫
トーク終了後、ご本にサインをしていただきます。

三省堂書店神保町本店
三省堂書店神保町本店4階レジ前のフェア台
2009年6月26日(金)~2009年7月25日(土)(予定)

実施内容(予定):
・浅生ハルミンさんが選ぶ「あなたも猫ストーカーになれる」30冊
・映画「私は猫ストーカー」がわかる20冊
・ 浅生ハルミンさんが出品するミニ「ハルミン古書センター」
・ 浅生ハルミンさんの「猫」イラストミニ展示会
・ 映画「私は猫ストーカー」名場面パネル展
・ 映画「私は猫ストーカー」グッズ販売

プロフィール

鈴木卓爾

1967年、静岡県生まれ。84年、高校美術部の8mmカメラを使い『街灯奇想の夜』を制作。88年の東京造形大学在学中に8mm長編『にじ』がぴあフィルムフェスティバルに入選。審査員特別賞を受賞。その後、東京造形大学の後輩である矢口史靖監督『裸足のピクニック』(92年/共同脚本+監督補)、『ひみつの花園』(97/共同脚本)、『アドレナリンドライブ』(99/出演)に参加。また矢口史靖と『ワンピース』(94~現在)『パルコ・フィクション』(02)を共同監督している。

星野真里

1981年7月27日、埼玉県生まれ。1995年NHK朝の連続ドラマ「春よ、来い」でデビュー。TBS「3年B組金八先生」の金八先生の長女・坂本乙女役をはじめ、「プラトニック・セックス」、「新・星の金貨」、「大奥」など数々のドラマで活躍する一方、05年の古厩智之監督『さよならみどりちゃん』では、ナント国際映画祭主演女優賞を受賞。またCM、舞台、写真集、バラエティにと幅広い分野でマルチな才能も発揮している。

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