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「ワルい」だけがHIP HOPじゃない! 環ROYインタビュー

「ワルい」だけがHIP HOPじゃない! 環ROYインタビュー

インタビュー・テキスト
柏井万作(CINRA.NET編集長)
2009/09/09

不良だったり麻薬やったり喧嘩したり。それがHIP HOP?

―それで音源を作りまくっているわけですが(この1年ちょっとでコラボレーションアルバムを5枚リリース)、一人でフットワーク軽く動き回っているのがすごいなぁって。

環ROY:活動の初期はDMRでまとまっていたけど、やってるうちにそれぞれ個性が確立していくじゃないですか。そうすると、周りのみんなとビジョンが違ってきちゃって。そしたらもう、自分一人で頑張るしかないなって。

―ROYくんのビジョンって、どういうものだったんですか?

環ROY:日本のHIP HOPって、広がりがないなぁと思ってる。外に向かってないんですよ。色んな音楽を聴いていると、色んな人を好きになるし、色んなことを試してみたくなる。

―それっていうのは、既存のHIP HOP・シーンに対する憤りみたいなもの?

環ROY:いわゆる「HIP HOP・シーン」みたいなところでやってても、正統に評価される気はしなかったですね。不良だったり麻薬やったり喧嘩したり、あるいは極端にアンダーグラウンドな表現だったり、そういうのが「HIP HOPであるべき」みたいな雰囲気がある。音楽表現というよりも、文脈として保守的だったり、黒人と張り合う行為になっている傾向が強いと思う。

―形だけを追いかけても仕方ないと。

環ROY:そうですね。たとえば、ZAZEN BOYSなんて完全に「日本人の音」じゃないですか。あの異様なテクニックと整理整頓されたグルーヴって、白人にも黒人にも作れない。そういうサウンドを確立しているのって、日本人のミュージシャンとして1つのあるべき姿だなと思うんですよね。ゆらゆら帝国もそうですけど。

―では、「日本人らしいHIP HOP」ってたとえばどういうものでしょう?

環ROY:言葉で答えるのは難しいけど、「完全に新しいもの」なんて無いと思うから、「ハイブリッドなもの」だと思う。その掛け合わせ具合の面白さなのかなって。

環ROYインタビュー

コラボアルバム5作品で表現された、環ROY流の「ハイブリッド」

―なるほど。それでROYくんは、これまでいくつもコラボレーション作をリリースしながら色んな形のHIP HOPにチャレンジしてたんですね。

環ROY:そうですね。色んなジャンルの人とやったけど、俺がラップすれば絶対にHIP HOPの要素が入ってくるじゃないですか。そういうハイブリッド感って、俺の考える日本人のあるべき姿かもしれないです。たらこパスタとか、タコライスみたいな。「おいしーね」みたいな。

―ミックスして、新しいものが出来るっていうね。一番最初のコラボ作、「環ROY × fragment」はどんなコンセプトだったんですか?

環ROY:fragmentとは、王道のHIP HOPをやろうと思ったら「ミュータントHIP HOP」になっちゃった。けどそれが面白くて。今の活動のきっかけになりました。その次にEccyと作ったのは、「イノセントなもの」をテーマに据えて、深いわけじゃないけど、分かりやすくて純粋な感じに取り組みました。HIP HOPの保守的な層には、「中身ねー」みたいな感じで反応薄かったみたいですけど。

―そうなんですか(笑)。「環ROY × Eccy」は、聴きやすさだけじゃなくて、クオリティーもすごい高くて大好きな作品でしたけど。

環ROY:その後DJ YUIと作ったのは、アメリカのサウス・HIP HOPとかM.I.Aなんかに代表される世界各地のヘンテコなダンスミュージックを、日本人が拡大解釈してやってみたらどうなのか? みたいな感じ。すげぇ変なHIP HOPを作りたくて。これは意外だったんですけどロック聴くような人から「凄くいいね」ってよく言われた。で、8月にリリースしたOlive Oilとやったやつは、完璧ノープラン。

環ROYインタビュー
環ROY×Olive Oil

―ノープラン!?(笑)

環ROY:正月の朝8時30分から1週間ずっとOlive Oilの家に泊まり込んで作ったんだけど、ビートニクみたいな本当に狂った暮らしをしてて。ほとんど何も決めないで、その場でセッッションしていくような感じで作った。彼と生活を共にしてラップもほとんどフリースタイル(即興ラップ)。俺の作品の中でも1番生々しいですね。

―その後に、先日リリースされたNEWDEALとのアルバムですね。

環ROY:ちょうど「テクノ作りてぇな」と思ってた時にNEWDEALと出会って。だからこのアルバムは、クラブでかかっても踊れるよう、機能的な音楽になってます。もちろんラップはしてるけど、直接的なメッセージはたいしてなくて、ただ「踊れ!」って煽ってるだけ。テクノでメッセージを言われてもウザもん。「踊らせてよ」って俺は思うし。で、HIP HOPの保守的な層には「中身がねぇ」とか言われるんでしょうけど、「あえて中身がないようにしてんだよ馬鹿」って感じ。

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リリース情報

環ROY×NEWDEAL『the klash』
環ROY×NEWDEAL
『the klash』

2009年9月2日発売
価格:2,100円(税込)
THCR-001

1.check/check
2.hello!!
3.wowwow
4.keep it
5.C'mon C'mon
6.drive
7.フリーケンシー
8.プライマルスクリーム
9.bank.
10.drive (agraph Remix)
11.フリーケンシー (MYSS Remix)
12.hello!! (fragment Remix)

{作品名など}
環ROY×OLIVE OIL
『weekly session』

2009年8月8日発売
価格:2,800円(税込)
OILRECCD-001
文庫本型デジトレイ仕様

01.Enjoy Pretty Bomb
02.Fine Musician
03.Loft Power
04.Extra Po
05.Ore No Gengo
06.830Morning 
07.Go Tenjin
08.Rei Volution
09.Roy feat.DJ SHOE
10.Run A Way
11.Def Na Story
12.Blue Lights Tenjin
13.E Star
14.Elegance
15.Last Gimmick
16.Weather Sensei
17.Roy Outro
18.Weekly Session

プロフィール

環ROY

環ROY(タマキロイ)/音楽家/ラッパー/MC。2006年、1stアルバム「少年モンスター」でソロデビュー後、鎮座DOPENESSやOLIVE OIL、□□□、fragment、Eccy、NEWDEAL、DJ YUIなどのアーティストとコラボレートした作品を発表。Fuji Rock Festival'09をはじめ、様々な大型音楽フェスティバルに出演するほか、曽我部恵一が主宰するRose Recordsのコンピレーションアルバム「Perfect!」に参加するなど、ジャンルを限定しないユニークな活動が大きな注目を集めている。ポップな声質や日本人離れしたタイム感、型に捉われない自由な感性で国産ヒップホップのあり方を提示している。

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