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川内倫子×大森克己×松本弦人の「写真のハナシ」

川内倫子×大森克己×松本弦人の「写真のハナシ」

テキスト・構成
安野泰子
協力:BCCKS, リトル・モア, VACANT

「上手い」のに、厭らしくない。そこに「良い写真」のヒントが隠されているのかも(大森)

松本:では、その他の入賞作品についてもお話を伺いたいんですが、まずはこちらの写真集からいきましょうか。

sumao「LOVE and PEASE」表紙\

大森:意外に構成を作りこんでいますね。このかもめのカメラ目線はすごい。

川内:かもめと友達になっちゃってますね(笑)。sumaoさんの写真は、ハッとする発見があるんです。そして、どれも笑えて見飽きない。こういう写真はみんなで見ると楽しいですね。

大森:こういう写真を「上手い」っていうんじゃないのかな? 「上手い」写真ってちょっと厭らしいところがあるものだけど、これはそういった厭らしさがないんですよね。ここには、何か良い写真を撮る上でのヒントが隠されている気がしますね。大きい画面で見ると、写真の良さがより伝わってきます。

松本:続いて、審査員のノニータさんが「モデルの女の子が嫌がってないところがすごく良い」と言っていて、僕も共感したこの写真集です。

櫻井龍太「STOP」より

大森: モデルが一人じゃなくて、作品によってそれぞれ違う女の子で撮っているところが良いですね。あと、日本人がヌードを撮る時に、例えばリー・フリードランダーの作品のような造形美でもなく、なんとなく中途半端な作者の一方的な思い込みによる、写っている人との間の「関係性を表現したor記録した」風なものが多い中で、櫻井さんの作品は、そうではなくて上品なところがあって好きですね。

川内:写真としての強さもきちんとありますしね。

松本:それでは次にこちらの作品。作者の松井さんは、毎朝牛乳配達のお仕事をされているそうで、その途中で撮りためたものらしいです。そういう習慣に素直に乗っかって撮った写真だから、なんか良いんだよね。

matsui「MILD NATURE」より

大森:自分の趣味だけで撮っている感じがしないのは、そういう理由があるからかな。頭で考えることには限界がありますが、そうした習慣に従うことで偶然に出会える景色もあるし、かえって良いものが撮れることもよくありますよね。

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プロフィール

大森克己

1963年生まれ。写真家。第9回キャノン写真新世紀でロバート・フランク賞を受賞。主な写真集に『サルサ・ガムテープ―大森克己写真集』(1998年、リトル・モア)、『Encounter』(2005年、マッチアンドカンパニー)、『Cherryblossoms チェリーブロッサムズ』(2007年、リトル・モア)、『サナヨラ』(2006年、愛育社)など。また今年1月には、『incarnation』(2010年、マッチアンドカンパニー)が出版された。

川内倫子

1972年生まれ。写真家。2002年『うたたね』『花火』(ともに2001年、リトル・モア)で第27回木村伊兵衛賞受賞。2009年ICP主催の第25回Infinity Award・Art部門受賞。その他主な写真集に、『AILA』(2005年、フォイル)『Cui Cui』(2005年、フォイル)、『種を蒔く/Semear』(2007年、フォイル)などがある。

松本弦人

1961年生まれ。グラフィックデザイナー。NEW YORK DISK OF THE YEAR グランプリ、読売新聞社賞、1995年東京ADC賞、AMD Award '96 Best Visual Designer、2002年東京TDC賞など受賞多数。主なデジタルメディア作品に、フロッピーディスク『Pop up Computer』(1994年、アスク講談社)、CD-ROM『ジャングルパーク』(1997年、デジタローグ)、ゲームソフト『動物番長』(2002年、Nintendo キューブ)などがある。BCCKSのコンセプトデザインやアートディレクションなどを手がけるチーフ・クリエイティブ・オフィサー。

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