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あきらめなくていい理由 Buffalo Daughter インタビュー

あきらめなくていい理由 Buffalo Daughter インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2010/07/02

実に4年ぶりとなるバッファロー・ドーターの新作は、その名も『The Weapons Of Math Destruction』。「大量破壊兵器」を意味する「Weapons Of Mass Destruction」の「Mass」を「Math」に変えた、いかにもバッファローらしいユーモラスかつコンセプチュアルなタイトルだ。ジャーマン・ロックの流れを汲んだミニマルなアプローチはそのままに、前2作以上にロック的なエッジを強め、ZAZEN BOYSでもおなじみのドラマー、松下敦が強靭な黒いグルーヴをひねり出している本作は、閉塞感漂う現代社会への、アートという武器を用いた彼らからの宣戦布告に違いない。自主レーベル「Buffalo Ranch」を設立し、ニュー・モードに突入した3人に話を聞いた。

(インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作)

音楽業界の人って最近CDのことを「フィジカル」って言うんですよね。

―『The Weapons Of Math Destruction』は、前2作とは明らかにモードが変わった作品だと思うんですね。『Psychic』と『euphorica』はどこか日常的というか、肩の力が抜けているように感じられたのに対し、本作はサウンドもアートワークも重厚です。実に4年ぶりの新作でもあるわけですが、本作の構想はいつ頃からスタートしたのですか?

シュガー吉永:「来年アルバムを出せなかったら5年も空いちゃうね」って話を去年してて、それは空き過ぎだからもう作ろうよって感じで。その2年ぐらい前にもアルバムを作ろうとしたんですけど、そのときに契約してたV2レコードが(アルバムを)作ろうとした途端になくなっちゃって、そのゴタゴタもあって遅れちゃったんです。

あきらめなくていい理由 Buffalo Daughter インタビュー
シュガー吉永

―アルバムの方向性について話し合ったりとかはしましたか?

吉永:「絶対来年出さないと嫌だ」っていうのがまずあって、とにかく曲を作ろうって感じだったから、どんなアルバムを作ろうっていうより、今私たちが感じている音楽を作る感じでした。最初はだいぶぼんやりしてて、インストみたいな曲ばっかりで、「さて、このアルバムはどうなるんだろうねえ」って思ってたんですけど、タイトルが出たときにみんなの気持ちがひとつにまとまっていって。


―では、そのタイトル『The Weapons Of Math Destruction』はどのようにして生まれた言葉なのでしょう?

ムーグ山本:新しいCDを作るにあたっていろんな人と話をしたときに、音楽業界の人って最近CDのことを「フィジカル」って言うんですよね。以前はそんなことなかったんだけど。それって要は「データ」に対して「フィジカル」、「物」ってことですよね。なんか「あ、CDって物体なんだ」って思ったんですよ。そういうこともあって、なんとなく物理みたいなところが気になっていて。あと世の中って今エコとかそういう風潮があって、なんとなく自然に帰ろうみたいな、ヒッピーっぽい感じが大きいじゃないですか。だけどそうじゃない、もっと数学的で理知的な見方がないものかって探し求めてたら、新しい物理学者の人の仮説にぶち当たったりして。そういう意識でいたらシュガーからこのタイトルが出てきて、すごく共感して。

あきらめなくていい理由 Buffalo Daughter インタビュー
撮影:YANO BETTY

物理学的に今の世の中が悪くなる仕掛けがあるのかもっていう説に立ったときに、それはひとつの答えとして面白いなって思った。

―現在の風潮とか社会に対するネガティヴな気持ち、怒りのような気持ちがあったのでしょうか?

山本:世の中がどんどん悪くなっていくことの理由ってなんだろうと思ったときに、それはわからなかったんですよ。神秘主義みたいなところで、そういう考え方をしても余計わからなくなるっていうか、自分の中ではっきりした答えを見出せなかったんですけど、物理学的に今の世の中が悪くなる仕掛けがあるっていう説を知ったときに、それはひとつの答えとして面白いなって思ったんです。そんなにネガティヴな気持ちはなくて…

吉永:どっちかっていうとポジティヴだよね。白黒はっきりしたっていうか。

山本:物理学的にどうしようもなく悪くなってるんだけど、逆に答えを知ったときにすっきりして、そこに対して反抗するっていうか、力を向けていいよねって思えたんで。世の中が明るいとは言い切れないと思うし、一見暗いような質感はあるかもしれないけど、それは現実だから。それはそのままこのアルバムにも反映されてると思うんですけど、それに対する動きはわりとポジティヴだと思います。

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イベント情報

Buffalo Daughter presents
『WMD drop 1』

2010年7月29日(木)
会場:東京 新代田FEVER

『FUJI ROCK FESTIVAL '10』
2010年8月1日(日)
会場:新潟 苗場スキー場

2010年8月3日(火)
会場:東京 渋谷CLUB QUATTRO

『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010』
2010年8月13日(金)
会場:北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

Buffalo Daughter Japan Tour 2010
『WMD drop 2,3,4』

『WMD drop 2』
2010年11月15日(月)
会場:東京 恵比寿LIQUIDROOM

『WMD drop 3』
2010年11月16日(火)
会場:心斎橋 クラブクアトロ

『WMD drop4』
2010年11月17日(水)
会場:名古屋 クラブクアトロ

リリース情報

Buffalo Daughter<br>
『The Weapons Of Math Destruction』(Blu-Spec CD)
Buffalo Daughter
『The Weapons Of Math Destruction』(Blu-Spec CD)

2010年7月7日発売
価格:2,500円(税込)
Buffalo Ranch DDCB-12028

1. Gravity
2. All Power To The Imagination
3. Two Two
4. Rock'n'roll Anthem
5. A11 A10ne
6. The Battle Field In My Head
7. Down Beat
8. Five Thousand Years For D.E.A.T.H.
9. Six, Seven, Eight
10. Run
11. Unknown Forces
12. Extra Dimensions
13. New World: It Day

プロフィール

Buffalo Daughter

シュガー吉永 (g, vo, tb-303, tr-606)、大野由美子 (b, vo, electronics)、山本ムーグ (turntable, vo)。93年結成。96年にビースティ・ボーイズが主催するGrand Royalと契約。同年1stアルバム『Captain Vapour Athletes』(Grand Royal/東芝EMI)を発表。アメリカ主要都市のツアーも行い、活動の場は東京から世界へ。98年に発表した2ndアルバム『New Rock』(Grand Royal/東芝EMI)は、大きな反響を得て瞬く間に時代のマスターピースに。その後もアメリカ中を車で何周も回る長いツアー、そしてヨーロッパ各都市でのツアーも行い、ライブバンドとして大きな評価を得る。01年『I』(Emperor Norton Records/東芝EMI)を発売、03年『Pshychic』、06年『Euphorica』は共にV2 Recordsよりワールドワイド・ディールで発売される。今年の夏、自らのレーベル"Buffalo Ranch"を設立。4年振りとなるニューアルバム『The Weapons Of Math Destruction』がリリースされる。

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