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いつかのあの日をプレイバック かせきさいだぁインタビュー

いつかのあの日をプレイバック かせきさいだぁインタビュー

インタビュー・テキスト
小宮川りょう
撮影:木下夕希
2011/06/22

アマチュア丸出しの草バンド感覚で作業してました(笑)。

―作品自体はいつ頃から作りはじめたんですか?

かせき:昨年の秋くらいからかな? バンド(ハグトーンズ)のメンバーが他に仕事もしているので、1週間に1回集まって1日かけて作業してました。

―ご自身が書いたバイオグラフィの中で「ハグトーンズは部活ならぬ、草バンド」と仰っていましたが。

かせき:草野球やってる人ってほんとうに楽しそうにやるじゃないですか。毎週、薄暗い地下に男だけで集まってるのに、なんでこんなに楽しいんだっていうね(笑)。だって1週間のうちの貴重な休みの1日を音楽に使っているわけですよ?

―プロのミュージシャンだから、音楽=仕事ですよね。なのに、完全にエンジョイしてるっていう(笑)。

かせき:そうなんです(笑)。レコーデイングに、ボーちゃん(スチャダラパーのBOSE)とか川辺くん(Tokyo No.1 Soul Setの川辺ヒロシ)とかが来ると「プロが混ざったわぁ」って感じがするんですけど、それ以外はアマチュア丸出しの草バンド感覚で作業してました(笑)。

―ハグトーンズの曲はメロディが美しくてポップで甘くて、ラバーズロック的ですね。音楽それ自体が持つ楽しさみたいなものが、ひしひしと伝わってきます。

いつかのあの日をプレイバック かせきさいだぁインタビュー

かせき:ハグトーンズは、いとうせいこうさんやDubMasterXさんとやっていたダブバンド、THE DUB FLOWERのメンバーで構成されているので、もともとレゲエのエッセンスが入っているんですよ。レゲエっぽいアプローチをしたいなぁっていう僕の希望を彼らはあっさり叶えてくれたんですけど、普通のバンドだったらなかなかできないサウンドだと思います。本当に助かりました。


ラップの歌詞を書くってことは絵を完成させるだけ。それだったらできるぞって。

―アルバムに付属するDVDには、PVやライブ風景に加えて「ハグトンムービー」なる映像も収録されていますね。

かせき:「ハグトンムービー」はボクが監督しました。京都の劇団「ヨーロッパ企画」が年に1回開催している『ショートショートムービーフェスティバル』というイベントがあって、毎回お題として出されるタイトルと、5分以内という規定を守れば、あとは好きな映像を作ってOKという映像祭なんですが、これはそこに出展した3作目ですね。ハグトンがギターを弾いたら、あまりの下手っぷりに騒音でゴキブリが死んじゃう。それで、バンドじゃなくて「害虫駆除、始めました」って方向転換するっていう4コマがあって、それをちょっと長くして実写化したバージョンです。

―本当に色々なチャンネルを持ってますね(笑)。

かせき:色々やってみるのが好きみたいです。子供の時からそうなんですけど、色々やってみて、誉められたことを続けようっていうね。周りに反対されつつ「俺はこれでやってくぞ!」って意気込んでも、しょうがないっていう気持ちがあるんです。みんなが「えー」っていうものってダメだろうし、それよりも「アンタのコレ、すごくいいね!」っていうものを伸ばした方がいいでしょ? しかも、それをやってるうちに「誉められることをやると、お金が入ってきて、食っていける」ってことに気付いたんですよね。ハグトンを描くと本を買ってもらえるけど、(趣味の)釣りやプラモではお金が入ってこないんですもん(笑)。

―映像を作ったりイラストを描いたりする活動が、音楽活動にフィードバックする部分はありますか?

かせき:もちろん絵と音楽は全く別のものなんですけど、自分の中での脳味噌の使い方が似ているのかも。もともと日本語ラップには、メッセージ性がなきゃいけないっていう風潮があったと思うんです。ラップのルーツは迫害を受けているマイノリティの想いを歌うって部分にあるけど、それって日本人の僕たちにはリアリティがない。「じゃあ、何を歌うか?」っていう問題がずっと自分の中にあったんです。それが最終的に、言葉を使って絵を描けばいいんだって所にたどり着いたんですよ。ラップの歌詞を書くってことは絵を完成させるだけ。それだったらできるぞって。

―だから、かせきさんのリリックには情景描写が多いんですね。きっとそれが誰にも出せない、濃厚な「味」になっているように思います。

かせき:本人はそんなつもりじゃないんですけど、どうも癖が強いみたいですね(笑)。ラップが絵と違うのは、受け手によって見え方が変わること。同じ夏の情景を描いても聴いた人によって浮かぶ情景が違うみたいで、そこがまたおもしろいんですよね。

―普遍性がある言葉によって想起されるイメージは、受け手によってそれぞれビジョンが異なるってことですね。

かせき:思い浮かぶ絵が違うってことは、それだけ色々な人が楽しめるってこと。未だにそのおもしろさにとりつかれていますね。どの曲も頭の中に、もやーっとイメージがあるんですよ。それをメロや歌詞、音楽という形で人に提出できるっていうのが楽しい。もやもや考えてることって、なかなか伝わらないことが多いけど、音楽という形で人に渡せるのがいいですね。たった3~4分の曲で「俺もこんなことあったわぁ」とか、しみじみと思ってもらえるなら嬉しいです。

2/3ページ:気持ちや記憶が呼び起こされるような情景描写を心がけているし、そういうポップスに挑戦してるつもりです。

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リリース情報

かせきさいだぁ『SOUND BURGER PLANET』
かせきさいだぁ
『SOUND BURGER PLANET』(CD+DVD)

2011年6月29日発売
価格:3,150円(税込)
AWDR/LR2 / DDCB-12039

1. Intro
2. サウンドバーガープラネット
3. CIDERが止まらない
4. 夏をプレイバック
5. 明日ライドオンタイム
6. ときめきトゥナイト
7. 恋のANYTHING GO !
8. ネェ What do you want?
9. STAYTUNE
10. 雨のびいと
11. GO ! GO ! ハグトーンズ
12. 夏をプレイバック(Dub's DUB)
[DVD収録内容]
・“CIDERが止まらない”PV
・“GO!GO!ハグトーンズ”PV
・ハグトンムービー「ロックの巻」
・まるでさいだぁVTR .001
・恋の赤ペン先生の「かせきさいだぁ白書」

プロフィール

かせきさいだぁ

1996年、「かせきさいだぁ≡」でメジャーデビューし、1998年に2ndアルバム「SKYNUTS」を発表。他にも「Baby&CIDER」、「トーテムロック」、「The Dub Flower」など、さまざまなユニットでライブ活動中。'09年からは「かせきさいだぁ&ハグトーンズ」を結成し、かせきさいだぁの音楽活動を再開している。2011年6月29日には、13年ぶりとなる待望の3rdアルバム『SOUND BURGER PLANET』を発表。また4コマ漫画「ハグトン」を2001年から描き続けており、近年では、個展も年に数回開催されている。CIDER inc.所属。

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