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恐るべし、たむらぱんのアートワーク

恐るべし、たむらぱんのアートワーク

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:田中慎一郎
2012/05/15

CDを手にしたとき、そのアートワークから収録曲を想像してみたり、アーティストの人柄を垣間みることも多いのではないだろうか。飛び切りポップなサウンドのなかに、ひとクセもふたクセもある要素を混ぜ込み、一度ハマったら抜け出せない独創的な世界観を築き上げている「たむらぱん」は、アートワークにおいてもそのちょっぴり不思議な音楽性や人間性を反映する作品を発表しているアーティストだ。グロテスクにすら見えるブタの着ぐるみをかぶった『ブタベスト』、ケースの中に謎の綿棒が入った『ハレーション』、懐かしの赤青メガネが付属した3D仕様の『ナクナイ』など、なかには問題作と言っても過言でないジャケットも少なくない。ジャケット内の挿絵を自ら描くことも多いたむらぱんと、メジャーデビュー以降の彼女のジャケットほぼすべてを手掛けてきた本村耕平の2人に、これまでの作品について、そしてメジャーデビュー5周年を踏まえて作った豪華パッケージ仕様の新作『new world』について語ってもらった。一見、奇をてらったようにも見えるジャケットに込められた熱い想いとは?

ただ歌ってるだけというスタンスじゃなくて、歌詞を書くときも、曲を作るときも、ジャケットひとつ見るときも、基本的には同じ視点なんだろうなって。(本村)

―まずはおふたりが一緒にやることになったきっかけから聞かせてください。

たむらぱん:メジャーデビューのときからお世話になってるんですよね。だから、最初は5年前で。

本村:今デザインを一緒にやってるプロデューサーが、たむらぱんのマネージャーと昔からの付き合いで、そこから話が来たんです。実は、もともとと言うか、今もそうなんですけど、広告の仕事がメインだったので、CDジャケットを手掛けるのは初めてだったんですよね。だから、僕もたむらぱんと一緒にデビューしたような感じで。

―最初の作品は『ブタベスト』でしたけど、ジャケット的にもだいぶ強烈なデビュー作ですよね。

たむらぱん『ブタベスト』通常盤ジャケット
『ブタベスト』通常盤ジャケット

本村:これ、最初からだったもんね。「ブタがやりたい」って。

たむらぱん:最初に「ブタの着ぐるみ」って言ってたのかな。でも、その言葉だけでイメージするとギャグっぽくなるじゃないですか。こっちが言う「ブタの着ぐるみ」っていうのは、もっと本気だったんですよ。

本村:普通にかわいいものであれば問題なかったと思うんですけど、「グロくしたい」っていうオーダーだったんですよね(笑)。そこは丁寧に考えていかないと、危ない印象になってしまうじゃないですか。でも、間違いなくインパクトはあるので、うまく世界観を作っていければものすごく強いビジュアルになるんじゃないかなとは思ってたんです。

―実際、どういう感じでブタを作っていったんですか?

本村:ブタ自体は造形作家と一緒にミーティングしながら印象を決めていって。

たむらぱん:そうそう。「白目がいい」とか、こだわって(笑)。

本村:でも、やっぱり最初にあがってきたプロトタイプは、かわいい感じだったんですよ。それを「もっと妖怪っぽく」とか言って、どんどん崩して。

たむらぱん:結果、予想以上のものができあがりましたね。特に質感とか。ここまでできると思ってなかったので、アガりましたよね。

本村耕平
本村耕平

本村:実際のモノは、本当に気持ち悪かったよね(笑)。でも、この最初の作業で彼女の奥行きというか、何をどこまで考えているかをすごい知れたんですよね。あと、歌詞カードに彼女が描いた絵を使ってるんですけど、よく見るとけっこう危ないモチーフじゃないですか(笑)。そういう突いてくる所々が、ただ歌ってるだけというスタンスじゃなくて、全部一緒の視点なのかなと思ったんですよね。歌詞を書くときも、曲を作るときも、ジャケットひとつ見るときも、基本的には同じ視点なんだろうなって。


―その歌詞カードの絵は、前衛芸術家的な感じすらしますけど、影響を受けたアートとかあるんですか?

たむらぱん『ブタベスト』歌詞カード
『ブタベスト』歌詞カード

たむらぱん:アートかぁ…。私、トーベ・ヤンソン(「ムーミン」で知られるフィンランドの画家であり作家)が好きなんですよ。かわいいけど風刺画的なところがあって、登場人物に複雑な家庭環境があったりとか(笑)。実は大学でもそういうのをちょっと勉強してて。パッと見たときの印象があって、さらにもう一段階入ると違う印象があって、そういう出し方がいいなと自分のなかで確立したのは、トーベ・ヤンソンの影響かもしれないです。

―てっきり「すべて独学です」的な答えが返ってくると思ってたら、予想外のちゃんとした回答(笑)。

本村:僕もそうだと思ってました(笑)。

たむらぱん:はははは(笑)。でも、そうでしたね。こうやっていろいろ描くなかでも、やっぱり意味はちゃんとつけたいし、ノリだけで描くのは嫌だっていう。意外とマジメで(笑)。

2/4ページ:買ってくれた人も、ほとんど気付いてないと思うんですよ。でも、そこに気付いて「わっ!」って思ったら、その人はこの世界から逃れられなくなるというか。(本村)

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リリース情報

たむらぱん『new world』初回完全限定生産盤
たむらぱん
『new world』初回完全限定生産盤(CD+DVD)
メジャー活動5周年記念豪華パッケージ仕様

2012年5月23日発売
価格:3,150円
COZA-679〜80

1. new world
2. ヘニョリータ
3. とうまわりゃんせ
[DVD収録内容]
・tamurapan Special Program
・たむらぱんの活動の軌跡が凝縮された必見のドキュメント作品(約60分)
・Premium Acoustic Concert in HIDA TAKAYAMA
・2/25に行われた、地元飛騨高山での凱旋アコースティックコンサートの模様を11曲分収録(約55分)

リリース情報

たむらぱん<br>
『new world』通常盤
たむらぱん
『new world』通常盤

2012年5月23日発売
価格:1,260円(税込)
COCA-16587

1. new world
2. ヘニョリータ
3. とうまわりゃんせ

プロフィール

たむらぱん

田村歩美のソロプロジェクト。作詞・作曲・アレンジはもちろん、アートワークまで手掛けるマルチアーティスト。2007年メジャーデビュー。2008年4月にデビューアルバム『ブタベスト』をリリース。その後各地の大型フェスに出演、初のワンマンライブツアーも成功。2009年2ndAL『ノウニウノウン』、2010年3rdAL『ナクナイ』をリリース。最新アルバムは2012年『mitaina』。たむらぱんとしての活動と平行し、クリエイター田村歩美としても様々なジャンルやフィールドで活動。ロッテ「Fit's」のCMの歌唱、松平健の最新シングル「マツケンカレー」の作詞、アイドルグループbump.y、私立恵比寿中学への詞曲提供など、多岐にわたる活動で多才ぶりを発揮している。

プロフィール

本村耕平

1977年大阪府出身。オレゴン州立 CHEMEKETA COLLEGE, VISUAL COMMUNICATIONS 卒業。2010年、東京ブルーワーカーズを立ち上げる。企画、商品開発、デザインから店舗ディレクションまでを手がける。ADC賞、読売広告賞、日経広告賞、毎日広告デザイン賞、広告電通賞を受賞。

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