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何かを探して流転する音楽家 波多野敦子(triola)インタビュー

何かを探して流転する音楽家 波多野敦子(triola)インタビュー

インタビュー
柏井万作
テキスト:柴那典, 撮影:木下夕希
2012/06/01

異才の持ち主と言っていいだろう。石橋英子やジム・オルークのバンドメンバーとしても注目を集めるバイオリニスト、波多野敦子。これまでEGO-WRAPPIN’やmama!milkなどの作品にも参加する一方、ピアノやチェロなども演奏し前衛的な音楽家としても活躍してきた彼女が、弦楽歌モノユニットtriolaとして『Unstring, string』を完成。wondergroundと益子樹(ROVO、Dub Squad)が設立した新レーベル「Bright Yellow Bright Orange」からリリースされる。

バイオリン、ビオラ、ピアノなどアコースティック楽器の優しい響きと柔らかな歌声からなるジェントルなポップソングを収録した本作。一方、昨年12月にリリースしたソロアルバム『MARIA』ではニューエイジや現代音楽のフィールドに近い緊迫感ある音楽を繰り広げている。さらに、ライブではお客さん1人に深く話を訊きながら即興で「その人をスケッチした曲」を譜面に書き演奏する「サウンド・ポートレイト」というパフォーマンスも披露している。

多彩な才能を持つ波多野敦子という人は、どうやって形作られてきたのか。数奇な出会いと縁に導かれてきたそのライフストーリーを紐解いてゆく。

一度は辞めてしまったバイオリンを再び手にした意外な理由

バイオリンという楽器に「英才教育」のイメージを抱く人は多いのではないだろうか。ギターやベースなどポピュラーミュージックの楽器と違い、バイオリン奏者はきっと幼い頃からレッスンを受け、クラシックの素養を身につけてきた人なのだろう、と。しかし、波多野敦子という音楽家は、そんなイメージを覆す奔放な経歴の持ち主。バイオリンのレッスンを始めたのは3歳の頃。英才教育は、思春期を前に、早々に挫折した。楽器をベッドの下に仕舞い込み、高校の頃はドラマーとしてバンド活動をしていたという。型にハマらない波多野敦子の音楽人生は、そんな風にスタートしている。

波多野:2歳半の頃、自分から母親にバイオリンをやりたいって言ったらしいんです。何の記憶もないですけれどね。親にはよくクラシックのコンサートに連れていってもらってました。で、3歳で習い始めてからは、やればやるほど上達していった。それで、親が期待してしまったんでしょうね。どんどんスパルタになっていって、それが嫌で嫌で仕方なかったんです。ピアノも習っていたんですけど、それも含めて、結局小学校6年生の時に習い事は全部辞めちゃいました。期待されるのがプレッシャーだったんです。

波多野敦子
波多野敦子

―ずっとバイオリンを引き続けてきたわけではないんですね。

波多野:それから大学に入るまで、バイオリンは一切触ってないんですよ。中学では吹奏楽部でパーカッションをやっていたんで、高校に入ったらドラムを叩くようになって。コピーバンドをやるようになりました。Van Halenとか、王道のロックをやってましたね(笑)。高3の頃はモッズ好きの先輩とバンドをやっていたので、Small FacesとかThe Zombiesの曲をやってました。

クラシックの英才教育を受けたはずの彼女は、あっという間にクラブやライブハウスのシーンにのめり込んでいく。再びバイオリンを手にとるようになったのも、実は「遊びすぎた」のが理由だったようだ。

波多野:15〜16歳の頃は毎週クラブに通ってました。スカとレゲエが好きだったんですよ。いろんなライブを観にいくようになって。そこから学校以外の友達も増えたし、年上の人たちと遊ぶようにもなった。家にこもって音楽を聴くより、現場で楽しんだり踊ったりするほうが大好きでした。情報をインプットするよりも、とにかく身体を動かすのが楽しいという。現場ばっかりでしたね。で、そんなことばっかりやっていたので当然成績が落ちて、行こうと思っていた学部に推薦してもらえなくなったんですよ。それで「どうしよう…」って困っていたんですけど、もしかしたらバイオリンでなら音楽科に入れるかもと思って、3ヶ月慌ててレッスンして、なんとか大学に入れることになって。

―じゃあバイオリンを再び弾き出したのは、進学するためだったんですね(笑)

波多野:はい、むちゃくちゃな理由でした(笑)。実は、今のバイオリンの技術は3歳から12歳までに身についたものなんです。それだけなんですよ。母親に感謝ですね(笑)。

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イベント情報

ライブ情報

2012年6月9日(土)
会場:東京都 吉祥寺 Foxhole
出演:倉地久美夫+triola(波多野敦子[Vl]、手島絵里子[Vla])

『渋谷UPLINK亭 vol.3』

2012年6月15日(金)
会場:東京都 渋谷 UPLINK FACTORY
出演:桂春蝶 音楽ゲスト:triola

ワンマンライブ『Resonant#8』

2012年6月28日(木)
会場:東京都 下北沢lete
出演:triola(波多野敦子[Vl,Vo]、手島絵里子[Vla])

『円盤夏祭り』

2012年7月14日(土)
会場:東京都 渋谷O-nest
出演:
倉地久美夫+triola
and more

『Unstring,string』リリースライブ京都

2012年8月10日(金)
会場:京都府 flowing KARASUMA
出演:
triola
mama!milk

『Unstring,string』リリースライブ東京

2012年9月16日(日)
会場:東京都 原宿VACANT
出演:
triola
キセル
倉地久美夫

リリース情報

triola<br>
『Unstring, string』
triola
『Unstring, string』

2012年5月30日発売
価格:2,625円(税込)

1. Seahorse
2. Dogu
3. Close to you
4. 交わらない線
5. 青いトカゲ
6. ねじれる少女
7. 夏のコメット
8. 新世界のタンゴ
9. Parade II

プロフィール

波多野敦子

音楽家、作曲家、ヴァイオリニスト。幼少よりヴァイオリンとピアノを始める。ドラム、エレキヴァイオリン、チェロ、鍵盤等で関西を中心にバンド活動 (トウヤマタケオ・トリオ/楽団、デグルチーニ等)を経て2009年より弦楽プロジェクト《triola》を始動。現在東京を中心にライブパフォーマンス、アルバム制作を行うほか、オーダーメイドミュージック、広告や映像の音楽制作、ストリングスアレンジメント等を手がける。現在は大島輝之(弧回)や石橋英子のバンドにも参加中。

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