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人生との楽しい付き合い方 宮内優里×Ametsub対談

人生との楽しい付き合い方 宮内優里×Ametsub対談

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:木下夕希

テレビとかラジオから流れてきたときに、「あ、これ優里くんでしょ?」ってわかるのがすごいなって。(Ametsub)

―宮内さんから見てのAmetsubさんの魅力はどういった部分ですか?

宮内:今は「エレクトロニカ」と名のつく中にも、細分化されて色んなジャンルがあるけど、Ametsubくんの音楽ってすごい本物感があるんですよ。ホントに丁寧に作ってあるし、アーティスティックなこだわりをすごく感じるんですよね。

―前に宮内さんに取材をさせていただいたときにそういう話をしましたよね。アートかエンターテイメントかっていうと、宮内さんは自分のやってることをエンターテイメントだと認識してるっていう。Ametsubさんはその点どうお考えですか?

Ametsub:うーんと……難しいですね(笑)。僕は音楽を作るのももちろん好きなんですけど、旅が好きで、アイスランドにバックパックで2ヶ月ぐらい行ったりするんです。フェスも、タイコ、フジ、ラビリンス、サマソニ、メタモ、朝霧は毎年欠かさず行くので、そういう経験を踏まえた上で、音楽を作ってるだけみたいな。だから、エンターテイメントかアートかって言ったら、その認識はもう任せるだけですね。

Ametsub
Ametsub

宮内:アートっぽく思われる音楽ってたくさんあると思うんですけど、Ametsubくんってアートをしようとしてるわけじゃないんですよね。すごくピュアに作り込んだものが、結果的にアートになってるっていう、一番かっこいいタイプだと思うんです。

―じゃあ、Ametsubさんから見た宮内さんの魅力というと?

Ametsub:テレビとかラジオから流れてきたときに、「あ、これ優里くんでしょ?」ってわかるのがすごいなって。僕の中で自分の音を持ってる人って、レイハラカミさんとか、AOKI takamasaさんとか。特にボーカルなしの音楽で聴いてすぐにわかる人っていうのは少ないですね。

宮内:嬉しいです。でも、逆もそうですけどね。Ametsubくんのリズムとかフレーズ、聴くとすぐわかるんで。

Ametsub:でも、僕はいろんな曲を作っちゃうんで、その辺は不安ですね。

宮内:僕の中ではどの曲にも独特のイメージがあるけど。あと、Ametsubくんっぽい若手がたくさんいる気がするんですよ(笑)。「あれ? これAmetsubくん?」って。細かく聴けばわかるんですけど、パッと聴いたときに迷うのは、Ametsubくんフォロワーがたくさんいるからっていう。先駆者的なところがあると思います。

昔だったら「こういう音楽で来るなら、僕はこういう音楽で」って周りを気にしてたけど、今はとにかく作りたいものを作るっていう。(Ametsub)

―前に宮内さんは「J-POPとかバンドを聴いてきたから、エレクトロニカ界隈の人と話が合わないことが多い」っておっしゃってましたけど、Ametsubさんはどんな音楽的なバックグラウンドを経て、今のスタイルを作り上げていったのでしょう?

Ametsub:子供の頃は父親がクラシックとかジャズを爆音で聴いてて、それが常に流れてたので、必然的にそういうのが好きになって。そこから、まだそういう名前もない頃だったと思うんですけど、アンビエントテクノとかを聴くようになって。

宮内:それっていつ頃なの?

Ametsub:中学とか…

宮内:すっごい! やっぱり早熟だわ。

Ametsub:これ昔別のインタビューでも言ったことがあるんだけど、中学のとき同級生に「SPEEDとMAXどっちが好き?」って聞かれて、僕どっちも知らなくて、「何それ?」って言ったら、すっごいひかれて(笑)。

宮内:僕は中学のときミスチルしか聴いてないからなあ。すごい憧れましたけどね。中学生とかで、自分が知らない音楽聴いてる人って。

―やっぱり、基本的にお2人はかなり違ったタイプですよね。ただ、それでも近いところにいるっていうのは、何か共有してる部分があるからだと思うんですけど、いかがですか?

Ametsub:共有というか、僕は昔は結構ライバル視してて…。「こいつには負けないぞ!」というわけではないけど、やっぱり意識はしてて、活動もチェックしてるし。

―よき競争相手というか。

宮内:それは僕もそうですね。坂本龍一さんの年間ベストディスクに選ばれたのを見て、「すごいなぁ」とか思いながらも、「でも、頑張ろう」って。

Ametsub:ただ、前はそういう気持ちが強かったんですけど、今はいい意味でリラックスできてる感じはありますね。昔だったら「こういう音楽で来るなら、僕はこういう音楽で」って周りを気にしてたけど、今はとにかく作りたいものを作るっていう。

宮内:確かに、僕も昔は見え方とかを意識して格好つけてたけど、どんどん他が気にならなくなってきて。そうやって緩くなることで、いい意味で周りからはみ出たんですよね。

―宮内さんが前作から「宮内優里」名義になって、ジャケットにも本人が出ちゃうっていうのはそういう変化の表れですよね。一方で、Ametsubさんはアー写で顔を出さないわけですが、そこはこだわりがあるんですか?

宮内:Ametsubくんは自分の顔とか考え方とかが伝わることで、音楽の聴こえ方が変わるのをよくないと思ってるんじゃない? なんとなく。

―聴き手のイマジネーションを狭めることはできるだけ避けると。

Ametsub:そうですね。顔写真に関しては、単純に自分の顔が嫌いってだけですけど(笑)。

宮内:そうなの? エレクトロニカやるのにすごくいい顔だと思うけど。

Ametsub:どういうこと!?

宮内:職人っぽい顔してません? 刀とか作ってそうじゃないですか? シュッとしてて、僕はこういう顔がエレクトロニカには向いてると思うんですよね(笑)。

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リリース情報

宮内優里<br>
『トーンアフタートーン』
宮内優里
『トーンアフタートーン』

2012年6月6日発売
価格:2,100円(税込)
RYECD-130

1. toaf_
2. digo_
3. fida_
4. yef_
5. kano_
6. ceof_
7. reioa_
8. wiove_

Ametsub<br>
『All is Silence』
Ametsub
『All is Silence』

2012年6月6日発売
価格:2,310円(税込)
N66CD003

1. Utmost Point
2. Rufouslow
3. Blotted Out
4. Precipice Drive
5. Lucent
6. Vestige For Wind Day
7. Key
8. Dimmur
9. Sun Of Madrid
10. Over 6633
11. Muffled Blue
12. Cloudsfall

CINRA.STOREで取扱中の商品

宮内優里<br>
『トーンアフタートーン』[MP3]
宮内優里
『トーンアフタートーン』[MP3]

価格:1,200円(税込)
小山田圭吾も参加、きめ細やかなポップ・トロニカ!

プロフィール

宮内優里

音楽家。1983年生まれ。これまでに5作品のアルバムをRallye Labelよりリリース。今年6月発売の最新作『トーンアフタートーン』ではゲストプレイヤーにCorneliusこと小山田圭吾が全面参加。エンジニアには神田朋樹を迎えている。ライブではアコースティックギターや打楽器を中心に様々な楽器の音をその場でサンプリングし、たった一人で演奏する”音の実験室”ともいうべき空間を表現する。

Ametsub

2009年にリリースした作品は幅広いリスナーから大きな評価を得て、坂本龍一「2009年のベストディスク」にも選ばれるなど、現在のシーンに揺るぎない独特の地位を決定付けた。SonarSoundなどの大型フェスにも出演し、アイスランドではYagyaやRuxpinと共演。Clammbonのリミックスも手掛け、昨年春にはスペインのLEV Festivalに招聘され、Apparat、Johann Johannson、SBTRKTらと共演。後日、ベストアクトと称され、大きな衝撃を残す。

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