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決して安住しないダンスの求道者 北村明子インタビュー

決して安住しないダンスの求道者 北村明子インタビュー

インタビュー・テキスト
乗越たかお
撮影:西田香織
2012/09/10
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ダンスの求道者、という言葉がまさに似合う方だと思った。常に現状に満足せず、受け入れず、リスクを負ってでも絶えず新しい試みに挑戦していく。バレエとストリートダンスをルーツに持ち、90年代からコンテンポラリーダンスカンパニー「レニ・バッソ」を主宰。知性的な舞台とエッジの効いたダンスで日本のコンテンポラリーダンスシーンを牽引してきた北村明子。レニ・バッソを解散後、かねてから研究していたインドネシアのアーティスト達と深く交流し生まれた、3年ぶりの新作が9月に上演される『To Belong – dialogue -』だ。長く深い伝統芸能を持つインドネシアのアーティストとともに、北村が何を考え、何を受け入れ、何と戦っているのか。彼女の原初のダンス体験にまで遡って聞いてみた。

お互いの違いを認識し合うのが本当のコラボレーション

―3月に東京で行われた、本作のワークインプログレス(制作過程を試験的に公開し、観客の意見を取り入れながら、作品を練り上げていく手法のこと)を拝見しましたが、非常に面白かったですね。

北村:ありがとうございます。ステージ上でダンサーと意見が衝突したり、ある意味破綻していたかもしれませんが(笑)。

―普通はいくつか出来上がっているシークエンスを見せて、「続きは本番で」となることが多いと思うのですが、出演者同士が椅子に座ったまま「どうしようか」とマジ相談をしたり、ダンサーのミロトが「私はやりたくない」と言い出したり、かなりカオスな状況でした(笑)。

北村明子
北村明子

北村:まあ、出来上がっている部分だけをそつなく見せることもできたんですが(笑)。私は無意識で何となく分かり合うだけじゃなくて、お互いの違いを認識し合うのが本当のコラボレーションだと思っているので、先に進んで行くために、あえてぶつけてみたんです。

―いいことだと思います。分かりあえる部分だけだと最小公倍数的な作品になってしまいますからね。アーティストがどんなことに悩み、そして立ち向かっていくのか、その一端がリアルに垣間見られた、貴重な体験でした。

北村:私はインドネシアのダンサーがルーツとして持っている伝統舞踊などの、歴史に根付いた確固たるものに対しては憧れがあります。興味があるし、聞いてみたいし、イジワルしたくなっちゃうんですよね(笑)。

―日本人として生まれた北村さんと、インドネシアで育ったダンサーとは、どのような違いがありましたか?

北村:私は良くも悪くも、効率を優先する西洋的な考え方に慣れてしまっています。たとえばリハーサルの時には「ダンサーのためにも、限られた時間を効率的に使おう」と考えて動くわけですが、インドネシアのダンサーは「いやいや、そんな早く簡単にはいかないよ」という感じなんです(笑)。インドネシアの人って、基本的にイエス・ノーをはっきり言わず、それとなく態度で表したり、一見関係ない話を始めたりするんですね。

―「日本人の良くないところ」としてもさんざん言われてきたことですね。

北村:練習を進めたい時に、関係ない話を始められると、何で今こんな話をするんだろう? とその時はイライラしたりもしたんですが、それが後々考え直すと、意外に核心を突いている話だったりするんですね。大変なこともありますけど、そういう発見があるのは、ぶつかることを恐れないコラボレーションならではの収穫でした。

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イベント情報

インドネシア×日本 国際共同制作公演
『To Belong ―dialogue―』

2012年9月21日(金)〜9月23日(日)
会場:東京都 三軒茶屋 シアタートラム
料金:一般3,500円 当日3,800円

2012年9月25日(火)OPEN 19:40 / START 20:00(受付開始19:15)
会場:兵庫県 新長田 Art Theater dB Kobe
料金:一般 2,500円 当日 2,800円 学生 2,000円

構成・振付・演出:北村明子
ドラマトゥルク:石川慶
音楽・音楽監修:森永泰弘
音楽提供:スラマット・グンドノ
出演:
北村明子
マルチナス・ミロト
今津雅晴
三東瑠璃
リアント
西山友貴

プロフィール

{アーティスト名など}

振付家・ダンサー、信州大学人文学部准教授。早稲田大学入学後、ダンスカンパニー「レニ・バッソ」を結成。95年文化庁派遣在外研修員としてベルリンに留学。2003年『Enact Oneself』が、『The Independent Weekly』紙、ダンス・オブ・ザ・イヤーに選ばれたほか、代表作『finks』が、モントリオール『HOUR』紙、05年ベストダンス作品賞を受賞。海外のダンスカンパニーへの振付も意欲的に行うほか、演劇、映画、オペラなど他ジャンルへの振付も行っている。2010年からソロ活動を開始。11月Artzoyd企画、マルチメディアコンサート『The Black Particles』(CENTRE D'ENGHEIN LES BAINSにて世界初演)への振付・出演し、ダンサー、振付家として高い評価を得ている。

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