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自己表現としてのビジネスの極意 入江悠×家入一真対談

自己表現としてのビジネスの極意 入江悠×家入一真対談

インタビュー・テキスト
九龍ジョー
撮影:越間有紀子
2012/12/26
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自社株の上場をきっかけに手に入れた莫大なお金を元に、数多くのウェブサービスやレストラン経営などに携わるだけでなく、新たに既存の会社組織とは異なるプロジェクト集団「Liverty」を発足させるなど、その動向が常に注目される実業家・家入一真。その自由なモノ作りの発想は、インディペンデント映画を軸に活動し、映画界の常識に風穴を空けながらあの手この手で『SRサイタマノラッパー』シリーズをヒットに導いた入江悠にとっても刺激的なものだという。TOKYO-FMのラジオ番組『入江悠の追い越し車線で失礼します』のホストを務める入江が、第4回目のゲストとして登場した家入に、アイデアの扱い方、ハリウッド映画界でも導入され話題のクラウドファンディングの実態、いますぐに夢を叶える方法など映画監督の立場から本音で迫る。

会社に依存しなくても生きていける方法を探して

入江:家入さんは僕より年が1つ上なんですよね。初めてお会いしたとき、その自由すぎる発言や経歴がとても印象的で、同世代でこんな面白い人がいたのか! と衝撃だったんです。肩書きには、起業家、投資家、クリエイターなどと書かれていて、ホント色々されていますけど、もともとはウェブデザインのお仕事をされていたとか?

家入:きっかけはそうです。で、そのまま起業しちゃったって感じですね。いまでも何でもやりますよ。経営もするし、デザインもするし、プログラムも書く。いまはちょうどiPhoneアプリでクソゲーをいっぱい作ろうと思ってるんですよ(笑)。

入江:それは自分でプログラムを書いて?

家入:はい。ただ、そういうときはクセで、僕はとりあえず会社を作っちゃうんです。だから「株式会社クソゲー」って名前で。

入江:(笑)。それ、もう作っちゃったんですか?

家入:もうすぐ出来ます。ずっとそんな感じでやっているので、どんどん肩書きが増えていくんですよ。

入江:僕は会社とか株とか、そういう話がすごく苦手で……。逆に今日は色々聞きたいなと思ってるんですけど、最近は「Liverty(リバティ)」という組織を始めて、力を入れられているそうですが、これはどういうものなんですか?

左から:入江悠、家入一真
左から:入江悠、家入一真

家入:Livertyは会社ではないチームというか、集まりなんです。バラバラな肩書きの若い子たちを集めて、野武士集団みたいなものを作りたかったんですよ。大学生もいればニートもいる、経営者もいるし、フリーランスでデザインをやっているような子もいる。そういった子たちと一緒にモノ作りとかビジネスを始めてみようと。

入江:なぜ会社にしなかったんですか?

家入:これまでさんざん会社を立ち上げてきておきながら、僕が言うのもなんですけど、実はいまでも会社というものがよく理解できていないんですよ。社員を雇って、給与を払って働いてもらうじゃないですか。その関係からして、そもそも間違っているんじゃないかと思えてしまうんです。

入江:……と言いいますと?

家入:きっかけは大震災で、大きい建物も壊れるし、何もかもいきなり無くなる可能性があるってことがわかりました。会社だって「明日からありません」ってことは全然あり得る。だったら会社に依存せずに、自分で仕事を作っていける場所も必要なんじゃないかと。それで、まずはプロジェクト単位で、1つのビジネスとかウェブサービスを立ち上げて、そこで収益が生まれたら関わった人たち全員で分配しましょう、という集まりとして作ってみたんです。そしたら行き場をなくした若い子たちがワラワラ集まってきて……(笑)。

入江:なるほど(笑)。

家入:僕も、その子たちに給料を払ったり、外注費を払ったりという関係ではなく、あくまで一緒にモノを作る立場で関わっています。

入江:参加するのに審査はあるんですか?

家入一真

家入:ないです。よく例えで使うんですけど、Twitterって興味を持てばフォローするし、面白くないなと思えばフォローを外すじゃないですか? あれぐらいの距離感で、組織に加わったり、外れたりという感覚でもいいんじゃないかと思ったんです。いまメンバー自体は70〜80人いますけど、実際にメインで動いているのは10〜20名ぐらい。それでいいかなって思ってて。残りの子たちもどこかでまたひっかかるかもしれないし、ひっかからないかもしれない。その判断はあなたたち自身に任せますよ、と。


入江:僕はずっとフリーで活動してますけど、プロジェクトごとに呼ばれて、1本の映画を作ったりドラマを作ったりするわけで、かなり近いかもしれないです。

家入:そうですよね。だから結局、目新しいことをやっているつもりはないんです。ただ、ずっと会社経営に関わっていると、雇用関係がベースにあって、でもそれは結局、会社依存者を増やしているだけにすぎない気がしてきちゃったんです。会社に雇用されるということは、これから先の人生をその会社に依存するということで、もし会社が理不尽なことを言ってきても逃げられなくなってしまう。会社を作るということは、同時にそういう人たちを作ることでもあるんじゃないかと……。それってある意味奴隷じゃないですか。それで、ちょっと違う場所も必要だなと感じて、Livertyを始めたんです。

入江:著書の『こんな僕でも社長になれた』を読むと、家入さん自身が受験だったり学校だったり、ずっと組織やシステムから逃げ続けてきた人生ですよね。

家入:逃げてますねぇ〜(笑)。

入江:そのこととLivertyが、いま僕の中で繋がりました。しかも普通は逃げ続けると、ひとりの世界に引きこもっていきそうなものなんですけど、家入さんの場合、起業とか、社長とか、新しい場を作るほうに行くのが面白いなと。

家入:居場所がないので、自分で作るしかなかったという感じなんですよね。しかも新しい居場所ができると、やがてそこも居心地が悪くなって、また逃げてしまう……(笑)。ずっとそれの繰り返しなんですね。

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番組情報

『入江悠の追い越し車線で失礼します Driven by 三井ダイレクト損保』

毎週日曜日20:30〜21:00からTOKYO-FMで放送

リリース情報

『もっと自由に働きたい (U25サバイバル・マニュアル)』
『もっと自由に働きたい (U25サバイバル・マニュアル)』

2012年8月26日発売
著者:家入一真
価格:1,260円(税込)
ページ数:176頁
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン

『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(DVD)
『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(DVD)

2012年11月21日発売予定
価格:3,990円(税込)
発売元:アミューズソフト/メモリーテック

監督・脚本・編集:入江悠
出演:
奥野瑛太
駒木根隆介
水澤紳吾
斉藤めぐみ
北村昭博
永澤俊矢
ガンビーノ小林
美保純
橘輝
板橋駿谷
中村織央
配島徹也
中村隆太郎
HI-KING
回鍋肉
smallest
倉田大輔

プロフィール

入江悠

1979年、神奈川県生まれ。監督作『SRサイタマノラッパー』(2009)が『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』でグランプリ、『富山国際ファンタスティック映画祭』で最優秀アジア映画賞を受賞。同シリーズ3作目『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(2012)では野外フェスシーンに延べ2000人のエキストラを集め、インディペンデント映画として破格の撮影規模が話題となる。

家入一真

1978年、福岡県生まれ。起業家、クリエイター。Liverty代表。リアルやネットを問わずカフェやウェブサービスなど遊び場を生み出す。JASDAQ最年少上場社長。40社程のベンチャー投資も。paperboy&co.創業者、CAMPFIRE創業者、partycompany Inc.代表、partyfactory Inc.代表。著書に『新装版 こんな僕でも社長になれた』『もっと自由に働きたい』など。

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