自己表現としてのビジネスの極意 入江悠×家入一真対談

自社株の上場をきっかけに手に入れた莫大なお金を元に、数多くのウェブサービスやレストラン経営などに携わるだけでなく、新たに既存の会社組織とは異なるプロジェクト集団「Liverty」を発足させるなど、その動向が常に注目される実業家・家入一真。その自由なモノ作りの発想は、インディペンデント映画を軸に活動し、映画界の常識に風穴を空けながらあの手この手で『SRサイタマノラッパー』シリーズをヒットに導いた入江悠にとっても刺激的なものだという。TOKYO-FMのラジオ番組『入江悠の追い越し車線で失礼します』のホストを務める入江が、第4回目のゲストとして登場した家入に、アイデアの扱い方、ハリウッド映画界でも導入され話題のクラウドファンディングの実態、いますぐに夢を叶える方法など映画監督の立場から本音で迫る。

会社に依存しなくても生きていける方法を探して

入江:家入さんは僕より年が1つ上なんですよね。初めてお会いしたとき、その自由すぎる発言や経歴がとても印象的で、同世代でこんな面白い人がいたのか! と衝撃だったんです。肩書きには、起業家、投資家、クリエイターなどと書かれていて、ホント色々されていますけど、もともとはウェブデザインのお仕事をされていたとか?

家入:きっかけはそうです。で、そのまま起業しちゃったって感じですね。いまでも何でもやりますよ。経営もするし、デザインもするし、プログラムも書く。いまはちょうどiPhoneアプリでクソゲーをいっぱい作ろうと思ってるんですよ(笑)。

入江:それは自分でプログラムを書いて?

家入:はい。ただ、そういうときはクセで、僕はとりあえず会社を作っちゃうんです。だから「株式会社クソゲー」って名前で。

入江:(笑)。それ、もう作っちゃったんですか?

家入:もうすぐ出来ます。ずっとそんな感じでやっているので、どんどん肩書きが増えていくんですよ。

入江:僕は会社とか株とか、そういう話がすごく苦手で……。逆に今日は色々聞きたいなと思ってるんですけど、最近は「Liverty(リバティ)」という組織を始めて、力を入れられているそうですが、これはどういうものなんですか?

左から:入江悠、家入一真
左から:入江悠、家入一真

家入:Livertyは会社ではないチームというか、集まりなんです。バラバラな肩書きの若い子たちを集めて、野武士集団みたいなものを作りたかったんですよ。大学生もいればニートもいる、経営者もいるし、フリーランスでデザインをやっているような子もいる。そういった子たちと一緒にモノ作りとかビジネスを始めてみようと。

入江:なぜ会社にしなかったんですか?

家入:これまでさんざん会社を立ち上げてきておきながら、僕が言うのもなんですけど、実はいまでも会社というものがよく理解できていないんですよ。社員を雇って、給与を払って働いてもらうじゃないですか。その関係からして、そもそも間違っているんじゃないかと思えてしまうんです。

入江:……と言いいますと?

家入:きっかけは大震災で、大きい建物も壊れるし、何もかもいきなり無くなる可能性があるってことがわかりました。会社だって「明日からありません」ってことは全然あり得る。だったら会社に依存せずに、自分で仕事を作っていける場所も必要なんじゃないかと。それで、まずはプロジェクト単位で、1つのビジネスとかウェブサービスを立ち上げて、そこで収益が生まれたら関わった人たち全員で分配しましょう、という集まりとして作ってみたんです。そしたら行き場をなくした若い子たちがワラワラ集まってきて……(笑)。

入江:なるほど(笑)。

家入:僕も、その子たちに給料を払ったり、外注費を払ったりという関係ではなく、あくまで一緒にモノを作る立場で関わっています。

入江:参加するのに審査はあるんですか?

家入一真

家入:ないです。よく例えで使うんですけど、Twitterって興味を持てばフォローするし、面白くないなと思えばフォローを外すじゃないですか? あれぐらいの距離感で、組織に加わったり、外れたりという感覚でもいいんじゃないかと思ったんです。いまメンバー自体は70〜80人いますけど、実際にメインで動いているのは10〜20名ぐらい。それでいいかなって思ってて。残りの子たちもどこかでまたひっかかるかもしれないし、ひっかからないかもしれない。その判断はあなたたち自身に任せますよ、と。


入江:僕はずっとフリーで活動してますけど、プロジェクトごとに呼ばれて、1本の映画を作ったりドラマを作ったりするわけで、かなり近いかもしれないです。

家入:そうですよね。だから結局、目新しいことをやっているつもりはないんです。ただ、ずっと会社経営に関わっていると、雇用関係がベースにあって、でもそれは結局、会社依存者を増やしているだけにすぎない気がしてきちゃったんです。会社に雇用されるということは、これから先の人生をその会社に依存するということで、もし会社が理不尽なことを言ってきても逃げられなくなってしまう。会社を作るということは、同時にそういう人たちを作ることでもあるんじゃないかと……。それってある意味奴隷じゃないですか。それで、ちょっと違う場所も必要だなと感じて、Livertyを始めたんです。

入江:著書の『こんな僕でも社長になれた』を読むと、家入さん自身が受験だったり学校だったり、ずっと組織やシステムから逃げ続けてきた人生ですよね。

家入:逃げてますねぇ〜(笑)。

入江:そのこととLivertyが、いま僕の中で繋がりました。しかも普通は逃げ続けると、ひとりの世界に引きこもっていきそうなものなんですけど、家入さんの場合、起業とか、社長とか、新しい場を作るほうに行くのが面白いなと。

家入:居場所がないので、自分で作るしかなかったという感じなんですよね。しかも新しい居場所ができると、やがてそこも居心地が悪くなって、また逃げてしまう……(笑)。ずっとそれの繰り返しなんですね。

アイデアは実際に実行するかどうかが分かれ目

入江:Liverty以外にも、同時多発的に様々なプロジェクトに取り組まれてますけど、そういったアイデアってどこから生まれるんでしょう?

家入:僕自身は特にアイデアがポンポン浮かぶ人間ではないんです。ただ、いまもそうですけど、飲み会とかで色んな人と話す中で、こんなのがあったら面白くない? みたいな話が出ますよね。普通は、わりとその場のノリだけで話が終わることも多いと思うんですけど、僕の場合どんなにくだらないアイデアでも覚えていて、カタチにしちゃうんです。たとえば最近の話でいうと、石を販売するECサイトを立ち上げたんですよ。最終的に石を売って生きていけたら最強だなと思ってて。

入江:そうですね(笑)。

家入:僕、人生は実験だとよく言ってるんですけど。絶対に何でもやってみたほうがいいと思うし、そのほうが失敗ですらも楽しいじゃないですか。

入江:普通は思いついたところで、「いやちょっと待てよ、石はさすがに売れないだろう……」ってなるところを(笑)。

家入:それがないんですよね、僕は。

入江:以前に一緒に飲ませて頂いたときに、家入さんが口グセのように「それ面白いっスね」って連発していたのが印象的だったんです。この人はアイデアを面白がるレンジが人よりも広いんじゃないかって。ご自分でも、アイデアが浮かんだら自分で抱え込まずにどんどん話しちゃうって言ってましたよね。

家入:思いついたアイデアはTwitterでもFacebookでもどんどん書いちゃいますね。よく「パクられたりしませんか?」って言われるんですけど、パクられるくらいなら所詮その程度のアイデアでしかないというか。

入江:面白いですね。最近だとアイデアが一番大事で、それを売ってお金にする、みたいな流れのほうが主流じゃないですか?

家入:僕はアイデアなんて使い捨てだと思っています。どんどん話すし、書いて、実際にやってみる。たいしたアイデアじゃないものほど人は大事に抱え込んでいるような気がするんです。売れるものって身近にも結構あると思うんですよ。僕のアシスタントで「顔面広告」とか言って、顔面に広告を貼って、横浜と六本木を電車で往復するっていうことをやってるヤツがいるんですね。1日1万円で顔に広告を出稿できるっていう仕組みなんですけど、でもそれと似たようなアイデアは昔からあったと思うんです。

家入一真

入江:そういえば、僕も『SR サイタマノラッパー』の宣伝で、スタッフとキャストが大きなポスターを持って電車を乗り換えていくっていうのをやりました(笑)。

家入:やっぱりそういうことって考えますよね。

入江:それで、大きな駅だとたまに怒られたりもして(笑)。

家入:確かに大きなポスターだと怒られるかも(笑)。で、実際にやってみると、顔の広告枠は1か月間全部埋まったんですよ。顔面を広告にするだけで月収30万円稼ぐことを実現してしまったんです。これだったら何のスキルがなくても、就職せずに食っていけるかもしれないじゃないですか。つまりは会社に依存せずに生きていける。ようはアイデアって実際に実行するかどうかだけなんですよ。

入江:とはいえ、家入さんがアイデアを面白がるポイントもあるわけですよね?

家入:やっぱり時代性は意識しますね。顔面広告にある、持っているものを切り売りして生きていくという手法は、何でもサバイブを要求されるいまのご時世に対する問題提起でもあるんです。だからちょっとしたアートプロジェクトみたいなところもありますね。

入江:たしかにビジネスだけで考えたら、月30万円で成功と言えるのかは微妙ですもんね。

家入:そうなんです。だからこういう生き方だってあり得るんだよっていう、1つのカタチをまず見せたいんです。それによって多くの人々の心をザワつかせたいというか。これはアリなの? ナシなの? っていう。例えば、顔面に広告を貼るなんて人権侵害じゃないかという意見だってあっていいと思うんです。人の価値観を良くも悪くも揺るがすようなものを作りたいんですよ。それもビジネスというフォーマットを通じて。

入江:面白いですねぇ〜。

家入:そういう意味では、ビジネスを通じて自己表現をしてると言えるかもしれませんね。

手に入れた数十億円という大金を使い切るまで……

入江:著書によると、家入さんって受験に失敗しまくってますよね?

家入:そうなんですよ。そもそも失敗だったのかすらよくわからないというか……。

入江:試験を受けてもいないっていう(笑)。

家入:もともと高校は入学したけど、すぐに辞めて。その後、画家になりたくて一応大検を受けるために、美大の予備校に通ったんですね。そこまでやったんですけど、いざ試験のために福岡から東京に上京したときに、ホテルの近くのジーンズメイトに一晩入り浸っちゃって……。

入江:意味がわからないですよ(笑)。

家入:いや、24時間やってるジーンズショップがまだ福岡にはなくて、珍しかったんです。それでずっとジーンズを見て、結局何も買わないんですけど(笑)、朝ホテルに戻って寝たら、起きたときには試験が終わってたんです。そんなことを3回ぐらい繰り返しちゃって。

入江:その日のために1年間、予備校に通って勉強してきたのに……(笑)。

家入:相当ダメ人間ですよね(笑)。失敗というか、結局逃げたんですよ、試験からも。そんなでたらめな人間なので20代後半で、会社を上場させて数十億円というお金が入ってきたときに、「成功しましたね」って言われても、全然しっくりこないんです。福岡にいた頃も、絵を勉強しながら、駅前でオカリナを吹いてお金を稼いでましたし、バイトもクビになってばっかりだったし。

左から:入江悠、家入一真

入江:そんな感じできたところに、大金を手にしたわけですよね。何か変わりましたか?

家入:やっぱりトチ狂いましたね……。まずそんなにお金があったら、なくなることはないだろうって思うじゃないですか。それがなくなるんですよ。本当にないんですよ、いま(笑)。

入江:何に使ったんですか!?

家入:飲食店をオープンしたり、いろんなベンチャーの会社に出資したり、騙されたり……。あとはお酒です(笑)。ひどいときには、月2,000万円分くらい飲んでましたから。毎月クレジットカードの限度額を目一杯に使うので、カード会社の人から怒られました。

入江:……僕、クレジットカードを初めてつくったの30歳ですよ(笑)。

家入:僕もいまないんですよ。最終的にカードを止められて……(笑)。よくITバブル世代の先輩に「酒でお金なくなるからね、気をつけろ」って言われて、「そんなわけねーだろ」と思ってましたけど、ホントなくなるんですよ。

入江:僕、お金の話がホント苦手で、普通に生活していても、しょっちゅう携帯が止まったりするんですよ。

家入:僕も携帯は毎月止まります。水と電気とガスも。水が止まると精神的にきますよね。

入江:でも家入さんの場合、僕と違って、出入りがダイナミックじゃないですか。僕の場合、仕事でお金が入ってくると、それを自分のつくりたい映画につぎ込むんですけど、家入さんの場合はどうですか? 酒以外で(笑)。

家入:いや、いまはお酒は懲りたので、それほどでもないですよ(笑)。ただ、基本的に物欲がないんです。土地や時計やクルマにも興味ないし。だからいまはできるだけ若い人に投資しようと思っています。いろんな世界を見てみたいんだけど、時間的にもすべて僕が関わるわけにはいかないじゃないですか? だから若い人に投資して、面白い話の一つでも聞かせてもらえたらそれでいいかなって。

出資でも募金でもない、支援という名のクラウドファンディング

入江:僕は同世代の映画人が既存の業界に吸収されていくのを見ながら、自分はどうするべきなのかを考えていたので、家入さんのお話を聞くと、すごく刺激になります。大きなシステムに全てを頼らなくても、モノを作ることができるよっていう。

家入:そういうことを色々試せる場所や仕組みを作るのが僕の仕事でもありますからね。こういう場所を用意したので、能力を持ってる人たちは自由に使ってみてくださいねっていう。

入江:『SR サイタマノラッパー』を撮るにあたってお金集めはどうしようか? というときに、色んな人からクラウドファンディングのことを言われたんです。中でも国内最大のクラウドファンディングは家入さんが経営されている「CAMPFIRE」だってことを聞いて。

入江悠

家入:ありがとうございます。僕と石田光平の二人で代表をやっています。

入江:「CAMPFIRE」はいまどんな段階なんですか?

家入:少しずつ定着してきたかなぁ、という感じですね。集まってくるお金も、右肩上がりで増えています。

入江:この仕組みは「出資」と考えていいんでしょうか。

家入:僕らは「募金」と「出資」の間ぐらいの意味で、「支援」と呼んでます。昔はパトロンみたい人がいて、アーティストにボンって大口でお金を出すことがありましたけど、いまだったらネットの力を使って、大勢の人が小口のお金でアーティストやプロジェクトの支援をすることができる。そういう仕組みがCAMPFIREです。

入江:例えば僕が映画を撮るとして、支援してくれた人にはどんな見返りがあるんですか?

家入:基本的にはプロジェクトごとにリターンを自由に設定してもらっています。例えば、500円だったら御礼のメール、1,000円だったら特製ステッカーが届きますよと。さらに1万円だとエンドクレジットに名前が載って、10万円だったらエキストラとして映画に登場できます、みたいな。

入江:なるほど、お金のリターンではないんですね。

家入:お金のリターンだと、結局お金だけの関係性になってしまうかもしれないですよね。でもCAMPFIREの場合、特別な体験だったり、特別なグッズをリターンとして設定してもらうことで、お金を出す人は純粋にファンというか、プロジェクトに自分もちょこっと参加するぐらいのノリで支援することが出来るんじゃないかと。

家入一真

入江:クラウドファンディング自体は、世界的にかなりメジャーなものになってきていますよね。

家入:そうです。アメリカの「Kickstarter」というサービスでは、映画製作の資金として1億円とか2億円を集める例も出てきていますね。

入江:先日、『アイアン・スカイ』という、アメリカ映画を見たんですけど、やっぱりクラウドファンディングで1億円以上集めたっていう触れ込みでした。映画自体はナチスがずっと月の裏側に潜んでいて、2018年に地球を攻めてくるっていうムチャな設定なんですけど、その映画を観てみたいっていうことで、結構なお金が集まって。

家入:大口のスポンサーをいくつか集めるって発想よりも、その「ちょっと観てみたいかも……」っていう人を大勢集めて、中には1万円ぐらいなら出してもいいよっていう人もいたりして、そういう人が1万人集まったら1億円ですからね。ネットだったら1万人はそんなに多い人数じゃないですし、全然実現性ありますよね。

入江:それはすごく未来のある話だし、僕も自分の映画作りに活かせたらなと思っているんですよ。

家入:Kickstarterの1億、2億というのには及ばないですけど、CAMPFIREでも最近は500〜600万円を集めたプロジェクトも出てきています。あと、映画のプロジェクトの応募って多いんですよ。

入江:そうなんですか?

家入:残念ながら目標の支援金に達しないこともあるんですけど。そこは本当にどれだけ応援したいという人を巻き込めるかっていうところにかかってますからね。

夢に縛られて不自由になってしまうくらいなら、夢なんか持たなくてもいいという考え方

入江:家入さん自身は、この先こうなっていきたいっていう将来像はあるんですか?

家入:僕は長期的な目標とか夢を設定するのがホント苦手で……。インタビューとかでも「夢はなんですか?」って聞かれると、「ありません」って答えてます(笑)。とりあえず目の前の興味あることや、半径数メートル内の問題に取り組んできた結果としていまここにいると思うので、それをずっとやり続けられればいいなって。

入江:なるほど。

家入:大きな夢を持っちゃったがゆえに、逆に夢に縛られて不自由になってしまう人もいると思うんですよね。夢を持つことは素晴らしいと思うんですけど、でもそうなってしまうぐらいだったら、夢なんか持たなくてもいいと思うんですよ。

入江:僕は逆に映画以外のことが全くできなくて、通勤電車とか、毎日同じところに行くというのが本当に嫌だったから、「映画監督になる」という目標を設定して、いつか『ターミネーター』みたいな映画を撮ることを夢にしちゃってるんです。その結果、夢といまの自分とのギャップに毎日苦しんでいるんですけど……(笑)。

入江悠

家入:そういうこともありますよね(笑)。僕はよく人に「お前はブレてる」って言われるんです。たしかに色んなことにすぐ飛びつくし、興味もとっ散らかってるし。でも自分では、それでいいかなって思っています。

入江:そのほうが結果的に道がひらけてたり、広くなってるってこともありますからね。

家入:だから、何をしていいのかわからなくて辛くなっちゃっている若い子を見ると、とりあえず「ダッシュで逃げろ!」って思うんです。明日から会社に行かなくてもいいし、学校を辞めちゃってもいい。もし辛いなら逃げちゃえって。その上で、自分のやるべきことを一回見直すのも全然アリなんじゃないかと。

入江:家入さんが言うと説得力がありますね(笑)。

家入:あと、よく「会社に入ったら3年間我慢しなさい」とか、「3年経ったら起業する」って言う人がいますけど、僕はその「3年間」がすごくムダに思えてしまうんです。もしやりたいことがあるなら、とりあえず名乗ってしまうのもアリじゃないかなって。デザイナーになりたかったら肩書きに「デザイナー」と入れたり、映画監督だったら「映画監督」と入れてしまう。そのことで、まず先に夢を叶えてしまう。

入江:なるほど!

家入:それから出来ることを考えればいいんじゃないかなぁ。もちろん腕が追いついてなくて怒られることも多々あるでしょうけど、3年後に新しくデザイナーを始めるのと、いますぐに「デザイナー」と名乗って3年間色々やってみるのでは、後者のほうが可能性が広がると思うんですよね。

入江:名乗っちゃえば夢との距離も明確になるし、あとはその距離を埋める作業になりますからね。

家入:ですよね。僕の友達で、アイスマンってヤツがいるんです。彼はもともと会社経営をしていたんですけどあまり上手くいっていなくて、ある日、急に「コンビニアイスの評論家になる!」って言い出したんですよ。

入江:……ん!? いま、何て?

家入:そうなりますよね(笑)。僕も最初は「なーに言ってんだよ」と思ってて。しかもアイスはたまに食べる程度だって言うんですよ。でもそれから「アイス評論家」の名刺を作って、急にコンビニアイスを毎日食べ始めて、1か月後には、テレビでマツコ・デラックスさんとコンビニアイスについて語っていたんです(笑)。何でもそう上手くはいくわけではないでしょうけど、こういうケースもあるんですよね。

入江:言葉にしちゃうっていうのは強いですよね。名乗ったモン勝ちというか。

家入:ま、それで怒られることもいっぱいあると思うんですけど(笑)、そこは各自トライしてみてください!

番組情報
『入江悠の追い越し車線で失礼します Driven by 三井ダイレクト損保』

毎週日曜日20:30〜21:00からTOKYO-FMで放送

リリース情報
『もっと自由に働きたい (U25サバイバル・マニュアル)』

2012年8月26日発売
著者:家入一真
価格:1,260円(税込)
ページ数:176頁
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン

『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(DVD)

2012年11月21日発売予定
価格:3,990円(税込)
発売元:アミューズソフト/メモリーテック

監督・脚本・編集:入江悠
出演:
奥野瑛太
駒木根隆介
水澤紳吾
斉藤めぐみ
北村昭博
永澤俊矢
ガンビーノ小林
美保純
橘輝
板橋駿谷
中村織央
配島徹也
中村隆太郎
HI-KING
回鍋肉
smallest
倉田大輔

プロフィール
入江悠

1979年、神奈川県生まれ。監督作『SRサイタマノラッパー』(2009)が『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』でグランプリ、『富山国際ファンタスティック映画祭』で最優秀アジア映画賞を受賞。同シリーズ3作目『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(2012)では野外フェスシーンに延べ2000人のエキストラを集め、インディペンデント映画として破格の撮影規模が話題となる。

家入一真

1978年、福岡県生まれ。起業家、クリエイター。Liverty代表。リアルやネットを問わずカフェやウェブサービスなど遊び場を生み出す。JASDAQ最年少上場社長。40社程のベンチャー投資も。paperboy&co.創業者、CAMPFIRE創業者、partycompany Inc.代表、partyfactory Inc.代表。著書に『新装版 こんな僕でも社長になれた』『もっと自由に働きたい』など。



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