特集 PR

ヤンキーもロックもアートに変える。キュレーションって一体何?

ヤンキーもロックもアートに変える。キュレーションって一体何?

インタビュー・テキスト
CINRA.NET編集部
撮影:田中慎一郎

「今でも機会があればやりたい企画の1つは、日本のヤンキー文化をテーマにした展覧会です」(保坂)

―お二人はそれぞれ、今後どんな展覧会を手がけてみたいですか?

保坂:極端な話、キュレーターって何かすごく好きなものがあれば、ジャンルを超えて展覧会を作り得る面白さはあります。例えばロックの展覧会なども実際にありますし、僕は以前、好きな「造船」にまつわる展覧会をしたいと思ったこともあります。今でも機会があればやりたい企画の1つは、日本のヤンキー文化をテーマにした展覧会です。

―保坂さんならではのヤンキー展、ぜひ見てみたいですね(笑)。

保坂:周りにそういう人が少なかったこともあり、常に何か憧れもあって。一方で、精神科医の斎藤環さんが「自民党はヤンキー化しているのでは」と評していたりと、ヤンキーが日本の文化の精神性に何か深く関わっているとすれば展覧会にする意義もあると思う。それと広告の展覧会にも興味があります。日本の広告には非常にレベルの高いものが多くて、汐留のアド・ミュージアム東京とか行くと出られないんですよね、楽しくて(笑)。

―願わくは5年くらい後にウェブでこの記事を誰かが見つけて「これがあの展覧会になったか!」となりますよう……。ロジャーさんはいかがですか?

マクドナルド:今僕は東京から長野に移り住み、最近亡くなった父が残してくれた家で暮らしています。同地の民家を「フェンバーガー・ハウス」という個人美術館にして、新しい展覧会を作っているところ。それは自分の個人史と、現代アートを組み合わせたものです。父は戦後日本に移住したイギリス人で、当時の記録が色々残っていました。1950年代に相撲の横綱と一緒に撮った記念写真とかね(笑)。そこで僕にとって興味深いこうした歴史を、現代のアーティストの作品と一緒に展示することにしました。

―つまり、そこを訪れ、展示を体験する人にも何かが見出せる展示になる?

マクドナルド:はい。パーソナルな家族史が、展覧会を通して皆さんと共有できるストーリーになっていけば、キュレーションとして成立すると思っています。これは理性を使ってカッコいい企画書を書くようなキュレーションとは違い、僕は勝手に「キュレーティング・アフター・ザ・ファクト」と呼んでいるんだけど。多くの展覧会は実現の前に企画書がまずあるのだけれど、今回は実際に作品を並べてその位置を変えたりしながら、日々作り、考えています。

―自分の中で、両者の間に色々なつながりを見出していくわけですね。

マクドナルド:例えば、父の遺品にはある辞典シリーズと、金のフクロウのオブジェ、そして彫り細工のマグカップがありました。僕はフランシス・F・コッポラ監督の『地獄の黙示録』が大好きで何度も観ているのですが、ある日、いま挙げた3つのオブジェとまったく同じものが映画のワンシーンに登場していたんです! 映画が撮影されたフィリピンは父も同時代に仕事で訪れていたから、同じようなお土産を買ったのでしょう。そういう不思議なシンクロニシティーや、モノと作品の間に見えてきた新たな風景は、展覧会を作り始めてから得られた体験です。

―今のお話は、多くの人にとって何かのヒントになりそうですね。

マクドナルド:今まで僕には、個人的な背景とキュレーションを混同させまいという意識もありました。でも、これも展覧会を作る1つの種としてはあり得るなと。極端に言えば、毎日キッチンにあるモノをなぜこのように置き、使っているのか。それにもう少し意識的になることが、最も身近なキュレーションの始まりと言えるのかもしれません。

―奇しくも最初のキュレーションの起源で保坂さんが話して下さったことともつながりましたね。情報同様、表現と呼ばれるものが圧倒的なボリュームで出現し続けている今だからこそ、キュレーターたちの存在やそのキュレーションの内容が注目されるのかもしれません。そこに少し意識を向けると、アートや展覧会の見方もまた広がりそうです。今日はありがとうございました!

information

5コマから学べる現代アートの学校「MAD」

2013年度4月開講のご案内
オンラインで学べる無料レクチャー「FREE MAD」

MADオープンデー 無料体験レクチャーシリーズ
『キュレーションってどこにむかっているの?』

2013年3月18日(月)
会場:東京都 代官山 AITルーム
時間:19:00〜20:30(要予約、定員40名、詳細はウェブサイトを確認)
料金:参加無料

相談会
会場:東京都 代官山 AITルーム
時間:19:00〜20:30(要予約、定員40名)
料金:参加無料
※詳細はウェブサイトを確認

『フランシス・ベーコン展』

2013年3月8日(金)〜5月26日(日)
会場:東京都 竹橋 東京国立近代美術館
時間:10:00〜17:00、金曜日は20:00まで(入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし3月25日、4月1日、4月8日、4月29日、5月6日は開館)、5月7日
料金:
当日 一般1,500円 大学生1,100円 高校生700円
前売 一般1,300円 大学生900円 高校生500円
※中学生以下無料

Page 4
前へ

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

岩井勇気(ハライチ)『ひねくれとか言われても俺はただ自分が進みたい道を選んでるだけ』

ドリームマッチでの『醤油の魔人 塩の魔人』、ラジオで突如披露した推しキャラケロッピをテーマにしたEDM調楽曲『ダメダメケロッピ』など、音楽的な才能に注目が集まる岩井勇気。今回はミツカン「こなべっち」とタッグを組み、自らがマイクを取ってラップに挑戦。しかもこの動画、岩井がこれまでラジオや書籍の中で言及してきた、珪藻土のバスマットや、海苔、メゾネットタイプの部屋、クラウス・ノミなどのネタが詰まっていて、まさか岩井さんの自宅なのでは……? と隅々まで見てしまう。つぎはぜひ、自作のトラックとリリックによる曲が披露されることを待っています。(川浦)

  1. テイラー・スウィフトと因縁のインディロック 田中宗一郎らが語る 1

    テイラー・スウィフトと因縁のインディロック 田中宗一郎らが語る

  2. 川井憲次に聞く押井守との共同制作。説明不可能な音楽探求の日々 2

    川井憲次に聞く押井守との共同制作。説明不可能な音楽探求の日々

  3. 三浦春馬主演『天外者』ウェブ限定動画「約束編」「決意編」「友情編」公開 3

    三浦春馬主演『天外者』ウェブ限定動画「約束編」「決意編」「友情編」公開

  4. 平手友梨奈が表紙を飾る『装苑』詳細発表 「クラシカルかつ幻想的ムード」 4

    平手友梨奈が表紙を飾る『装苑』詳細発表 「クラシカルかつ幻想的ムード」

  5. 菅田将暉“虹”PVで古川琴音と夫婦役、監督は呉美保 5

    菅田将暉“虹”PVで古川琴音と夫婦役、監督は呉美保

  6. 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』論評 自立と解放への戦い描く 6

    『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』論評 自立と解放への戦い描く

  7. のんがブルーハーツをカバー マルコメ×『私をくいとめて』コラボ企画始動 7

    のんがブルーハーツをカバー マルコメ×『私をくいとめて』コラボ企画始動

  8. 石崎ひゅーい×森山未來対談 本当の戦いは勝ち負けの物差しの先で 8

    石崎ひゅーい×森山未來対談 本当の戦いは勝ち負けの物差しの先で

  9. 高橋一生が今年のグラコロソングを歌う、マクドナルド新テレビCM 9

    高橋一生が今年のグラコロソングを歌う、マクドナルド新テレビCM

  10. PUNPEEが2つの配信ライブで提示したもの、メール取材も実施 10

    PUNPEEが2つの配信ライブで提示したもの、メール取材も実施