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できないことを、必死にやり続けたい 曽我部恵一インタビュー

できないことを、必死にやり続けたい 曽我部恵一インタビュー

テキスト
金子厚武
撮影:田中一人

(メジャーでも)何のしがらみもなく、レコーディングにもレコード会社の人は1人もおらず、すごく自由にやらせてもらってました。

―ソロになって最初の2枚のアルバム(2002年9月発表の『曽我部恵一』、2003年6月発表の『瞬間と永遠』)はメジャー(ユニバーサル)から発表されていましたが、メジャーを選んだことには何か理由がありましたか?

曽我部:「ここでいいんじゃないの?」って感じだったかな。最初のシングルは小西(康陽)さんのレーベル(READYMADE)でやらせてもらって、僕も自分のレーベルを立ち上げたいっていうのはあったんだけど、「それはまだ早いんじゃない?」ってまわりにも言われて。

―どうしてダメだったんですか?

曽我部:その頃はまだ、男性ソロシンガーとかでインディーで活動している人はほとんどいなかったんだよね。インディーっていうと、パンクとかダンスミュージックとか、わりとレフトフィールドな人たちのイメージで、「ソロシンガーがインディーでやるっていうと、ホントに自主制作みたいなイメージになっちゃう」って雰囲気だった。

曽我部恵一

―確かに、当時はハイスタの影響が大きくて、パンクのイメージが強かったかもしれないですね。

曽我部:それにまあ、サニーデイが所属していたMIDIも小さなレコード会社だったんで、「大メジャーってどんなもんだろう?」っていうのもあった。

―実際、メジャーはどんなもんでしたか?

曽我部:僕の場合は、特にメジャーだからどうってことがなかったですね。すごくプッシュしてくれて、コマーシャルとか、ドラマの主題歌とかになって、「ひょっとしてめちゃくちゃ売れちゃうんじゃない?」みたいなことも思ってたけど、別に何も変わんなくて(笑)、「これだったら自分でやっても変わんないんじゃないの?」っていうのが感想っちゃ感想かなあ。だから、メジャーですごく動きづらくて嫌だったっていうのも全然なくて、何のしがらみもなく、レコーディングにもレコード会社の人は1人もおらず、すごく自由にやらせてもらってました。

―それって、そこまでのサニーデイのキャリアがあったから可能だったわけですよね?

曽我部:うん、僕だから気を使ってくれたっていうのもあると思う。まあ、システムとしては適材適所で、すごくいい環境だって思いました。今も、例えば鈴木慶一さんと一緒にやるとソニーの人たちが関わってくれて、自分たちの規模ではできないことを、メジャーのレコード会社はできるんだなってつくづく思う。それと日本はまだまだテレビの影響も大きいから、それによって広がっていくことももちろんあると思います。

“浜辺”はライブでもずっとやってる曲ですけど、何かあるんでしょうね、ずっとやる理由が。強いっていうか、耐久性があるっていうかね、何度歌っても解決しないものがあるんですよね。

―2枚のアルバム自体は今振り返ってどう評価されていますか?

曽我部:「そのときの自分」って感じです。全部そうかなあ……そのときの自分しか出ないっていうか、どれもそう、「そのときの自分」っていうだけですね。

―どれがいい悪いとかはない?

曽我部:ないない。いまいちだったとしたら、そのときの自分が今から見ると気に入らないっていうだけの話です。どのアルバムにも今でも歌う曲が何曲かあるっていうのはいいなと思うし、こういう機会に聴き返してみると、「この曲次のライブで歌おう」とか思ったりもします。

―“浜辺”とか、やっぱりすごくいい曲だなって改めて思いました。

曽我部:“浜辺”はライブでもずっとやってる曲ですけど、何かあるんでしょうね、ずっとやる理由が。強いっていうか、耐久性があるっていうかね、何度歌っても解決しないものがあるんですよね。

―他の曲とは違う?

曽我部:「この曲すっげえいいな」と思っても、ある程度歌うと納得いく曲もあるんですよ。「もういいか」って。“浜辺”とかはちょっと手強いというか、結果として何回もやってますね。

―今でも歌う度に発見がありますか?

曽我部:どうかな? まあヒット曲とかがあったら、「この曲はみんな聴きたいだろうから絶対やらなきゃいけない」ってなるんだろうけど、僕の場合その日に歌いたい曲っていう感じで歌ってますからね。

とにかく「力ねえな」って感じでしたね。

―メジャーから2枚のアルバムを発表後、2004年にROSE RECORDSを設立されていますが、ここまでの話を聞くと、自然な流れだったようですね。

曽我部:メジャーで出すことって、お金かけてもらって、宣伝してもらうわけで、「Mステに出て、ひいては紅白出ましょう」みたいなことだと思うのね。自分もそうなりたいと思ったりもしたんだけど、たった2枚だけどメジャーでやって、「俺もうちょっといろんなこと頑張んないと、そういうのないんじゃないの?」っていうのはあったかな。パッとCD出して、「はい、Mステ」って話じゃなくて、実力ありきの話だから、まずは自分でいろんなことをやってみないとダメかなって。

―当時ってCCCD(コピーコントロールCD)のことが話題になっていた時期で、そういうものに対する違和感みたいなこともあったんでしょうか?

曽我部:そういうのは特にないですね。「アンチメジャー」だから自分でレーベルをやり始めたわけじゃなくて、自分で何かをやってみたかった。自分の力を知りたかった。とにかく「力ねえな」って感じでしたね。

―出直しというか、そういうタイミングだったんですね。

曽我部:そう、それで「これからどうしようかな?」なんて下北をフラッとしてたときに、「事務所とかこの辺で借りたらどれくらいになるんだろう?」と思って、パッと不動産屋に入ったら、前に事務所作ってたところを紹介されたんだよね。「ここだったら、自分が小っちゃなレーベルみたいのやってるイメージができるな」と思って、その日に「じゃあ、ここ借ります」って。

―その日に決めたんですか?

曽我部:うん、その日に「独立しよう」って感じでしたね。「ヨーロッパとかに、こんなレーベルありそうじゃん」とか思って(笑)。別にすごく大きな決意とかではなく、「じゃあ、ここ借ります」って、ホントにそんな感じでしたね。縁っていうか、その日の天気とかね、いい天気の日で、のんびりした午後だったかな。

―今日みたいな小雨の日だったら、借りてなかったかもしれない。

曽我部:そうそう、そういうことだろうね、何事も。今はもうその不動産屋はなくなっちゃったけど、そこのお姉さんもすごく気さくな人だったから、そういうのもよかったのかも(笑)。

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リリース情報

曽我部恵一<br>
『曽我部恵一 BEST 2001-2013』(CD)
曽我部恵一
『曽我部恵一 BEST 2001-2013』(CD)

2013年6月26日発売
価格:3,000円(税込)
ROSE RECORDS / ROSE-155

[DISC1]
1. ギター
2. 瞬間と永遠
3. 恋人たちのロック
4. おとなになんかならないで
5. 女たち
6. キラキラ!
7. 抱きしめられたい
8. 浜辺
9. シモーヌ
10. 満員電車は走る
11. 魔法のバスに乗って
12. 東京 2006 冬
13. 春の嵐
14. LOVE-SICK
15. おかえり
[DISC2]
1. サマー・シンフォニー Ver.2 feat. PSG
2. テレフォン・ラブ Single version
3. ほし TRAKS BOYS remix
4. ロックンロール TOFUBEATS remix
5. 世界のニュース -Light of the world!!-
6. カフェインの女王(TSUCHIE feat. 曽我部恵一)
7. イパネマの娘
8. ぼくたちの夏休み
9. スウィング時代 DJ YOGURT & KOYAS remix
10. White Tipi SUGIURUMN house mission mix
11. クリスマスにほしいもの
12. トーキョー・コーリング Studio live version
13. STARS Studio recoding
14. ジムノペディ
15. サマー・シンフォニー

サニーデイ・サービス<br>
『サニーデイ・サービス BEST 1995-2000』(CD)
サニーデイ・サービス
『サニーデイ・サービス BEST 1995-2000』(CD)

2013年6月26日発売
価格:3,500円(税込)
MIDI / MDCL-1538/39

[DISC1]
1. 恋におちたら
2. 雨の土曜日
3. 恋はいつも
4. スロウライダー
5. あじさい
6. 青春狂走曲
7. いつもだれかに
8. シルバー・スター
9. baby blue
10. さよなら!街の恋人たち
11. サマー・ソルジャー
12. 白い恋人
13. 夜のメロディ
14. NOW
15. 若者たち
[DISC2]
1. サマー・ソルジャー(2000.12.14 @新宿リキッドルーム 解散ライブ)
2. 花咲くころ
3. 恋人の部屋
4. あの花と太陽と
5. 魔法(Carnival mix)
6. 真昼のできごと(Unreleased version)
7. 96粒の涙(Alt. version)
8. 何処へ?
9. Somebody's watching you
10. ここで逢いましょう
11. 成長するってこと
12. からっぽの朝のブルース
13. 土曜日と日曜日
14. 恋におちたら(AG version)
15. いつもだれかに(1996.4.24 @渋谷クラブクアトロ 公式デビューライブ)

プロフィール

曽我部恵一(そかべ けいいち)

1971年生まれ、香川県出身。ミュージシャン。ROSE RECORDS主宰。ソロだけでなく、曽我部恵一BAND、再結成を果たしたサニーデイ・サービスなどで活動を展開し、歌うことへの飽くなき追求はとどまることを知らない。プロデュースワーク、執筆、CM・映画音楽制作、DJなど、その表現範囲は実に多彩。下北沢のカフェ兼レコード店CITY COUNTRY CITYのオーナーでもある。

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