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今日本に必要とされている音楽フェス『Sound Live Tokyo』

今日本に必要とされている音楽フェス『Sound Live Tokyo』

インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:高見知香

東京都と東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)が主催する「東京クリエイティブ・ウィークス」の一環として今秋開催される『Sound Live Tokyo』は、音と音楽に関わる表現の可能性を探究するフェスティバル。コンサートホール、野外会場でのライブパフォーマンスに留まらず、図書館を舞台にした体験型作品やサウンドインスタレーション作品を通して、未だ見たことも、聴いたこともない音の世界を私たちに提供してくれる。音楽に限らず多様な表現が次々と現れる東京において、今あらためて音のポテンシャルを問い直す意味とは何か。同フェスティバルのディレクターを務める丸岡ひろみ、東京文化発信プロジェクト室・企画担当ディレクターの山口真樹子から今回の見どころ、『Sound Live Tokyo』が目指す未来のビジョンを聞いた。

音楽は芸術の曖昧さや抽象性を保ったまま、ストレートでいられる。(丸岡)

―9月21日から始まる『Sound Live Tokyo』(以下『SLT』)は、音楽の枠に留まらず、広義の「音」に対するさまざまなアプローチを行うイベントです。そもそも『SLT』を始めた理由はなんだったのでしょうか?

『Sound Live Tokyo』ロゴ
『Sound Live Tokyo』ロゴ

丸岡:私は演劇、ダンスを中心とした仕事を25年ぐらいやっていて、現在は横浜を主会場にした舞台芸術の国際プラットフォーム『TPAM』の運営に関わっています。その他に、実験的なパフォーマンスを行うアーティストたちを紹介する『PPAF(ポストメインストリーム・パフォーミング・アーツ・フェスティバル)』というフェスティバルも2010年までやっていたのですが、アメリカ同時多発テロ以降、ピナ・バウシュやウィリアム・フォーサイスの次の世代の舞台芸術を積極的に紹介しよう、という動きが国境を超えて感じられたんですね。

―はい。

丸岡:クロアチアのあるフェスティバルディレクターは「ポストメインストリーム」と言っていましたが、それまでの「舞台芸術=音楽、舞踊、芝居などの要素をまとめて、1つの世界観を提示する総合芸術」という考え方から、あえて世界の断片を扱うことで、思想や価値観の多様性を表現するアーティストがどんどん現れるようになってきたんです。

―「9.11」テロが1つの分岐点だったんですか?

丸岡:今思うとどっちが先だったか分からないですが、「9.11」以降の世界を生きるという認識の仕方がなされていったのは確かでしょう。そういう作品を見る機会が増える中で、自分自身も「音」の可能性に気づいていった。音楽って抽象的な表現だし、複雑で言語化できないものを表現しうる。もちろん音とパフォーマンスとの親和性は高いですから、いつしか音にフォーカスした企画をやりたいと思うようになったんです。

―10年以上前から『SLT』のアイデアのきっかけがあったんですね。

丸岡:個人的には2003年から1年間、仕事でニューヨークに滞在した経験も大きかったです。当時のニューヨークって私自身が好むような演劇やコンテンポラリーダンスがあまり盛んではなく、むしろフリージャズとか音楽が面白かったと感じていました。

丸岡ひろみ
丸岡ひろみ

―その頃のニューヨークの音楽が面白かった理由はなぜでしょうか?

丸岡:訴えているメッセージのストレートさと、ジャンルの境界の曖昧さですね。2004年はちょうど大統領選でブッシュJr.が2期目の当選を狙っていた時期。当然、イラク戦争に対する批判が渦巻いていて、音楽家たちも表現として自分の意見を率直に伝えるわけですよ。前衛やエンターテイメントといったジャンルを問わず、年齢も関係なく、それぞれが自分たちの意見を主張しようとしている。サックス奏者のスティーヴ・レイシーが亡くなる直前のライブを観ることができたんですけど、そのエネルギーには本当に感銘を受けました。

―音楽シーン全体に同時代性を感じたんですね。

丸岡:そうです。ブッシュや共和党に関わるイデオロギーは置いておくとしても、音楽は芸術の曖昧さや抽象性を保ったまま、ストレートでいられるという感じなんですね。

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イベント情報

『サウンド・ライブ・トーキョー』

2013年9月21日(土)〜10月6日(日)
会場:東京都(以下同)
上野 東京文化会館、上野恩賜公園野外ステージ(水上音楽堂)、鶯谷 東京キネマ倶楽部、南麻布 東京都立中央図書館、六本木 スーパーデラックス、原宿 VACANT
参加アーティスト:
アント・ハンプトン&ティム・エッチェルス
倉地久美夫
マヘル・シャラル・ハシュ・バズ
クリスティン・スン・キム
飴屋法水×工藤冬里
大工哲弘
アヤルハーン
[サウンド・ライブ・トーキョー・フリンジ]
松崎順一、小林ラヂオ、堀尾寛太、嶺川貴子、鈴木昭男、灰野敬二、モノlith、イチオン、A.N.R.i.、電子海面
※各プログラムの詳細はオフィシャルサイト参照

『Tokyo Creative Weeks 2013』

2013年10月1日(火)〜11月4日(月・祝)

プロフィール

丸岡ひろみ(まるおか ひろみ)

国際舞台芸術交流センター(PARC)理事長。海外からのダンス・演劇の招聘公演に関わる。2005年より『TPAM』(11年より『国際舞台芸術ミーティング in 横浜』)ディレクター。2003年『ポストメインストリーム・パフォーミング・アーツ・フェスティバル(『PPAF』)』を創設。ダンス・演劇を中心に国内外のアーティストを紹介。2008年・2011年『TPAM』にて「IETMサテライト・ミーティング」開催。2012年、サウンドに焦点を当てたフェスティバル『Sound Live Tokyo』を開催、ディレクターを務める。

山口真樹子(やまぐち まきこ)

東京文化発信プロジェクト室・企画担当ディレクター。主に海外発信・ネットワーキング事業を担当。2007年まで東京ドイツ文化センター文化部にて、音楽・演劇・ダンス・写真等の分野における日独間の文化交流に従事。特に舞台芸術分野で両国間の人的交流の促進を手掛けた。2008年からはドイツ・ケルン日本文化会館(国際交流基金)に勤務、ドイツ語圏を対象に舞台芸術、日本文化紹介、情報交流他の企画を担当した。

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