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磯部正文(HUSKING BEE)×大橋賢(『tieemo』主催)対談

磯部正文(HUSKING BEE)×大橋賢(『tieemo』主催)対談

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2013/10/07
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今はやっぱり、ちゃんと音楽をやりたい人しか残ってないんですよね。(磯部)

―大橋さんが以前のバンドLet your spirit soar(以下、レトスピ)を始められたのはいつ頃だったんですか?

大橋:ちょうど2000年ぐらいですね。

―その頃ってもう周りにエモ系のバンドっていました?

大橋:いや、先駆けみたいな感覚はあったかも。日本のエモだとbluebeardがすごく早くて、あとはメロコアからエモに変わっていったバンドがいたんですけど、たくさんいたかっていうと、まだあんまりいませんでしたね。

磯部:bluebeardはよく対バンしてて、僕もすごく好きでしたね。彼らが好きなバンドとかも知ってて、「そりゃあ泣けるわな」って思ったりして。あとやっぱり昔からeastern youthが好きで、あれこそ哀愁じゃないですか? ただ、イースタンの吉野さんは「哀」の歌が多いなと思う中で、自分は「喜怒哀楽」を歌いたいと思ったんです。それっていうのはつまり、ポップパンクは「喜」だったり、ハードコアは「怒」だったりっていう感覚が自分の中にあって、「ハスキン=エモ」だけではないなって、そういうのもだんだんわかってきましたね。

磯部正文(HUSKING BEE)

―レトスピは「哀」なバンドでした?

大橋:今やってるバンドは結構ハッピーな感じなんですけど、そのときはすごい泣きのバンドで、むしろ「ツライ」みたいな感じでした。

―ツライっていうのは?

大橋:月に4、5本ライブをやってて、ノルマがあるからすぐお金なくなっちゃうんですよ。だから生活がツライっていう(笑)。

磯部:それは泣きますよね(笑)。

大橋:ホントに、そのまま出てたかもしれないです(笑)。

―エモ系のバンドが一気に増えたのはいつ頃でしたか?

大橋:僕は2002年にそのバンドが解散になっちゃって、その後にポストロックみたいなバンドを組んだんですけど、当時は外人ばっかり聴いてたんで、日本のシーンのことはそんなに覚えてなくて。ただ、2010年に今のバンドを組んだときに日本のバンドを見直したら、すげえかっこいいバンドばっかりで、今は日本にもめちゃくちゃいいバンドいるなって思います。

磯部:その気持ちすごくわかる。今はやっぱり、ちゃんと音楽をやりたい人しか残ってないんですよね。「どうしたいんだろう?」みたいなバンドは、もう残ってない。「そうなっていくだろう」というか、「そうなってほしい」とは何となく思ってましたね。

―2000年代の中ごろっていうのは、良くも悪くもエモやポストロックがブームになっていて、玉石混交でしたもんね。

大橋:その頃は海外も似たような感じだったと思います。1999年ごろは、CD6枚買ったら5枚はすげえいいみたいな感じだったんですけど、その後はバンドの数は増えたけど、いいのは逆に集まらなくなっちゃったんで。

左から:磯部正文(HUSKING BEE)、(Choir touched teras chord、『tieemo』主催)

みんな「エモい」とか言ってるのに、The Get Up Kidsは知らないって、自分の中では奇跡的な展開ですよ(笑)。(大橋)

―2000年代の中ごろは、よく言えばエモがオーバーグラウンド化した時代で、悪く言えばその分中身が薄まった時代だったと思うんですね。そのオーバーグラウンド化の象徴だと思うのが、今って「エモい」って言葉をわりと普通に使うじゃないですか? あれってやっぱり音楽ジャンルのエモが発祥だと思うんですけど、どう思われますか?

大橋:ああ、そうですね。めちゃくちゃみんな言いますよね、「エモい」って。

磯部:僕はあんまりリアルに使ってるの聞いたことないですね。「キモい」とは言われるんで、それには慣れてるけど(笑)。

―(笑)。今は特別音楽ファンじゃない人とかも、「エモい」って使ってると思うんですよね。

大橋:「女に振られてエモい(泣ける)」とか友達が使ってて、「上手い使い方だな」とか言ってたことがありますね。それこそ今「エモ」ってTwitter検索すると、腐るほど出てきますしね(笑)。

―それだけ「エモ」っていう言葉が一般化したってことですよね。

磯部:そんな現実を知った今、俺はエモいわ。

―(笑)。

磯部:使い方あってる? 一応言っといた方がいいかなと思って(笑)。

大橋:あってますよ(笑)。

―だから、良くも悪くも「エモ」って言葉が広がり過ぎちゃって、あんまりいいイメージじゃない時代もあったと思うんですよね。もともと「エモーショナル」って、暑苦しい言葉でもあるわけですし。

磯部正文(HUSKING BEE)

磯部:そういうカテゴライズ自体、難しいですよね。僕はバンドを始めた当初はUSコアって呼ばれるような音楽をやってて、その後にメロコアっていう言葉が出てくるんだけど、やっぱり当時は「メロコアって呼ばれたくねえ」って思いましたね。その後にエモが出てくるわけですけど、まあだんだんとそういうのにも慣れてきて。人がわかりやすくコーナーとかにカテゴライズするのを、それを否定してもしょうがないなって。「決めてもらえるならそれはそれでいいじゃん」っていう。

―徐々に変わってきたと。

磯部:まあ、最初は区分けされるのは嫌だったし、「じゃあ、はみ出しちゃう?」みたいな思考は強かったと思うんですけど(笑)。俺toeとは仲良くて、あのバンドって、DAMAGEとかpopcatcherとかSmelling Cuntsとか、いろんなバンドのメンバーの融合じゃないですか? 俺はtoeの前のバンド時代からみんな知ってたから、初めてtoeを見たとき、「何やってんの?」と思ったわけさ。「ボーカルは?」っていう。でも、toeがどんどんすごくなっていって、ポストロックって呼ばれるじゃない? 俺ポストロックって言葉を知らなくて、「ボーカルレス」って呼んでたからね(笑)。

大橋:「インスト」でもないんですね(笑)。

磯部:「ボーカルレスで、でもメロディーは聴こえて、すごいことをやってるバンド」って説明してた。やっぱりtoeの美濃くんとかも、最初は「ポストロックとか言われたくない」って言ってて、みんな同じだなって思いましたね。枠にはめられて、「こうである」って言われるのは居心地が悪いし、そこを目指してたわけでもないっていうかね。「俺たちは俺たちになりたい」っていうのがみんなあると思うからさ。

―確かに。そういう意味では、カテゴライズされることを喜ぶバンドマンは少ないですよね。

大橋:だから、今回『tieemo』って、「emo」っていう言葉を使うのは怖いなっていうのは思ってました。「カテゴライズして怒られそうだな」って(笑)。

―でも、それでもあえて使ったわけですよね?

大橋:何か言われたりした方が面白いかなって思ったんです。あとは、The Get Up Kidsとかを紹介するのに、「エモ」って言葉を外しちゃうと、今の子たちにはわかんないじゃないですか? みんな「エモい」とか言ってるのに、The Get Up Kidsは知らないって、自分の中では奇跡的な展開ですよ(笑)。「そんなことありえないっしょ!? The Get Up KidsとJIMMY EAT WORLDって、世界中の人が知ってるんじゃないの?」っていう感じが、自分の中にはあるんですよね(笑)。

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イベント情報

『music festival「tieemo」』

2013年11月9日(土)、11月10日(日)OPEN 10:30 / START 11:30 / END 17:00(予定)
会場:埼玉県 所沢航空記念公園
11月9日出演:
The Get Up Kids
Predawn
HUSKING BEE
avengers in sci-fi
グッドモーニングアメリカ
LAST ALLIANCE
11月10日出演:
The Get Up Kids
BIGMAMA
武居創(ex.OCEANLANE)
cinema staff
Choir touched teras chord
the band apart
料金:
1日券5,700円
2日間通し券9,800円
3人グループチケット1日券15,300円
3人グループチケット2日間通し券27,600円

『The Get Up Kids JAPAN tour 2013 Osaka/Nagoya

2013年11月6日(水)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:大阪府 心斎橋 BIGCAT
出演:
The Get Up Kids
Choir touched teras chord
and more

2013年11月7日(木)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:愛知県 名古屋 BOTTOM LINE
出演:
The Get Up Kids
HUSKING BEE
Choir touched teras chord

料金:各公演 4,900円

プロフィール

HUSKING BEE(はすきんぐびー)

1997年に1stアルバム『GRIP』をHi-STANDARDの横山健が立ち上げたPIZZA OF DEATH RECORDSよりリリースし、華々しく活動を開始する。1998年には2ndアルバム『PUT ON FRESH PAINT』をリリース。この作品は海外版としてThe Get Up Kidsを輩出した名門Doghouse recordsから全米リリースされるなど、日本においてもエモの先駆者という扱いを受けている。2005年に人気絶頂の中バンド解散を表明。解散以降、磯部正文(Vo,gt)はThe Get Up Kidsのマット・プライアー(Vo,gt)、SAVES THE DAYのクリス(Vo,gt)と共に「3 Way Acoustic Split」をリリースするなど様々な活動を経て、2012年ついにHUSKING BEE再結成を果たす。その後、八王子の最重要エモバンドmalegoatの岸野一(Ba,cho)をメンバーに迎えるなどして、新布陣を完成させる。

Choir touched teras chord(くわいあーたっちどてらすこーど)

2010年結成、emo /US インディーバンド。通称ちょいあー。結成3年足らずで、目指していたThe Get Up Kidsの真の後継者と呼ばれる。どこまでも純粋無垢で煌くメロディーと素のままでゆるい彼らとは裏腹に、丹念に作られた彼らの楽曲。2013年8月21日、1st mini album“pm/fm”をレーベルfurther platonicsから全国流通盤リリース。

tieemo(てぃーも)

様々なシーンで活躍している人々が繋がり作り出す「瑞々しい高揚感、情熱と青春、未来への架け橋」。このようなテーマから"tieemo"の構想が始まったようだ。"tieemo"では様々なものを紡いでいきたいという理念のもとtie(結ぶ、繋ぐ)という文字が付けられ、そしてtieに繋げる文字にはemo(emotional / 感情的)という文字が付けられている。現在日本では90年代emoリバイバルというムーブメントが再び起きていて、リアルタイム世代、今の若者、両方が時代を超えて同じ感動を分かち合うという奇跡的な状況が至る所で見られている。music festival “tieemo”にはemoリバイバルの波をさらに荒立て、他の様々なシーンと繋がっていける架け橋へとなる期待を抱かせられる。

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