特集 PR

「編集」ってなんだろう? 赤羽卓美インタビュー

「編集」ってなんだろう? 赤羽卓美インタビュー

インタビュー・テキスト
さやわか
撮影:西田香織
2013/10/09

その尋常ではないほどに蓄えられた膨大な知識と卓越した編集能力について、かのチームラボ猪子寿之が「一人インターネット」「Googleより遥かに面白い」と称した知の巨人・松岡正剛。そんな彼がこれまで培い、蓄積してきた「編集術」を教えるインターネット上の学校が、「イシス編集学校」だ。現在、さまざまな分野の人々がこのネット上の学校に集まって「編集術」を学び、ビジネスにおける企画力、教育や人とのコミュニケーションからクリエイティブワークにおける表現力の向上まで、あらゆる分野での応用を目指している。

そんな独自の「編集術」を垣間見るため、同校で師範をつとめるクリエイター・赤羽卓美にインタビューをさせてもらった。『MOTHER2』や『ポケモンカードゲーム』など、個性的なゲーム作品にも関わってきた彼のクリエイティブにも、やはり松岡正剛による情報編集の考えは影響を与えているという。

考え方を学ぶことで、できることが増える。できることが増えた分、欲望も増えるので、編集学校に入ってから会社を辞める人も結構多いんです(笑)。

―この取材前にイシス編集学校での編集ワークショップを見せていただいたんですが、学生さんから社会人、医療から金融関係、生物学者まで幅広い方が受講されているのに驚きました。「編集」というと、雑誌や書籍の「編集」をイメージしますが、この学校で教えられてることは、そこに収まるものだけではまったくないですよね。

赤羽:昔はそういうイメージを持たれている方も多かったんですが、最近はまた全然違う人が学びに来ていただいていますね。今おっしゃられたように、職種、業界も本当にさまざまnです。松岡(正剛)さんのモノの見方や考え方って他にないので、それに対する憧れとか、ちょっと近づいてみたいという気持ちを持って受講される方も多いみたいですね。

―いわばそれぞれの仕事の上で、松岡正剛さんの「編集」という考え方がヒントになる?

赤羽:そうだと思います。たとえば企業の広報みたいに何かしらコミュニケーションに関わる仕事をしている方が、心に響くコピーを書く術を学ぶために来るようなことは多くなったと思います。

ワークショップの様子
ワークショップの様子

―あるいは、情報が今ものすごくあふれかえっているので、それを処理する能力としての「編集」技能が必要とされているのかもしれないと思いました。

赤羽:情報をインプットしてからアウトプットする過程で、誰しもが「編集」という工程を無意識に行なっているんですね。普通それは感覚的なものなんですが、編集学校ではそこを理論化し、「見える化」することで、「編集」という考え方を教えているわけです。

―赤羽さんは現在、イシス編集学校で師範をつとめられていますが、松岡さんとの出会いは、いつ頃のことだったんですか?

赤羽:松岡さんが作っていた『遊』という雑誌を高校時代に読んでいて、それが他にない画期的な内容で面白かったんです。テキストからグラフィックから、とにかく全部がすごく有機的で新しかったし、情報の質が全然違っていました。あと、取材されて雑誌に載ってる人たちも、当時すごく先端的な人たちばかりだったんです。

―高校時代の赤羽さんにとって、知識欲を満たしてくれる重要な雑誌だったんですね。

赤羽:そうですね。思想家の浅田彰さんが投稿していたり、ニューアカの準備号みたいな号もありました。そういう経験もあったので、最初は単純に松岡正剛のスタイルを学びたい、どうしたら彼と同じようにできるんだろうっていう興味で編集学校に通おうと思ったんです。

雑誌『遊』のバックナンバー
雑誌『遊』のバックナンバー

―今日のワークショップでは、自分がかつて読んだ本の記憶、たとえば幼少の頃どんな絵本を読んでいたかという履歴をたどることで、今の自分の考え方を構成している要素を分析し、さらに新しいアイデアを生むためのヒントにされていたのが面白かったです。講座を受けられた方から、実際の仕事に役立ったという感想はありますか?

赤羽:ええ。でも「欲望が増えた」とも言われます(笑)。

―「世の中には、知りたいことがたくさんある」と気付いてしまうわけですね(笑)。言ってみれば、新しい考え方のツールを学ぶような講義ですもんね。

赤羽:考え方を学ぶことで、できることが増える。できることが増えた分、欲望も増える。だから最初は会社の仕事に役立てようと受講されたのに、編集学校に入ってから会社を辞める人も結構多いんです(笑)。そこが編集学校の面白いところですね。

赤羽卓美
赤羽卓美

―今日お話されていた赤羽さんの物語理論は、松岡さんの考え方が礎になっている部分もあるんでしょうか。

赤羽:そうですね。松岡さんが編集の中でやっている基本の手法があって、その作り方は他人に何らかの情報を受け渡すときの、基礎的な考え方としてすごくよくできているんです。だからそれを僕も採り入れながらやっています。

Page 1
次へ

講座情報

『イシス編集学校 秋講座 第32期「守」基本コース』

2013年11月4日(月)〜3月2日(日)
料金:一般84,000円 学生割引73,500円 再受講割引73,500円

プロフィール

赤羽卓美(あかばね たくみ)

1965年長野県生まれ。ゲームクリエイター、フォトグラファー、ゲームクリエイター、イシス編集学校師範。フェティッシュなオブジェクトの撮影から、トレーディングカードゲームの開発ディレクションを生業に、編集工学の研鑽に努める。これまでに関わった作品は『ポケットモンスターTCG』、『コロッサス・オーダー TCG』、『夜想』『hippie coco's planet』など。イシス編集学校では現在「物語講座」の編集コーチリーダーを担当。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

TENDRE“RIDE”

2018年はTENDREが絶対くる。2月の『exPoP!!!!!』で脳裏をかすめた予感は確信に変わりました。セクシー&グルーヴィな“RIDE”で完全にヤられた。ラフなダンスと自由度高いコラージュで構成された映像も、河原太朗のチャーミングさがダダ漏れでいい感じ。今年の夏はこの曲で踊りまくりたい。(山元)

  1. 有働由美子がテレ東『マツコ、昨日死んだってよ。』に参加 民放初登場 1

    有働由美子がテレ東『マツコ、昨日死んだってよ。』に参加 民放初登場

  2. ずぶ濡れの山田孝之と長澤まさみ 『50回目のファーストキス』新写真 2

    ずぶ濡れの山田孝之と長澤まさみ 『50回目のファーストキス』新写真

  3. 小松菜奈×大泉洋の映画『恋雨』場面写真 主題歌入りサントラは本日発売 3

    小松菜奈×大泉洋の映画『恋雨』場面写真 主題歌入りサントラは本日発売

  4. 小栗旬主演『銀魂2(仮)』新キャストにキムラ緑子 「お登勢」役で登場 4

    小栗旬主演『銀魂2(仮)』新キャストにキムラ緑子 「お登勢」役で登場

  5. 竹内涼真が志尊淳の先輩役 映画『走れ!T校バスケット部』に友情出演 5

    竹内涼真が志尊淳の先輩役 映画『走れ!T校バスケット部』に友情出演

  6. TOKIOがフマキラーCM続投、22年目へ 決め手は「メンバー4人の人柄」 6

    TOKIOがフマキラーCM続投、22年目へ 決め手は「メンバー4人の人柄」

  7. 是枝裕和×井浦新×伊勢谷友介 まだ大人になれなかった日々の話 7

    是枝裕和×井浦新×伊勢谷友介 まだ大人になれなかった日々の話

  8. 高橋一生×レティシア・カスタ 『シンデレラ』再解釈した短編映像公開 8

    高橋一生×レティシア・カスタ 『シンデレラ』再解釈した短編映像公開

  9. デヴィッド・ボウイが浮世絵で蘇る、浮世絵&写真展が6月に原宿で開催 9

    デヴィッド・ボウイが浮世絵で蘇る、浮世絵&写真展が6月に原宿で開催

  10. チャットモンチーのラストアルバムに元メンバー高橋久美子が作詞で参加 10

    チャットモンチーのラストアルバムに元メンバー高橋久美子が作詞で参加