三宅裕司×福原美穂対談 細胞が覚醒する、ゴスペルのススメ

クリスマスシーズンが近づくと、街に流れてくるのは美しいゴスペルソング。日本では、1980年代後半から90年代にかけて、ゴスペルミュージックの大きなブームが訪れた。そのキッカケとなったのは、1988年のオフ・ブロードウェイで人々を熱狂させたゴスペルミュージカル『Mama, I Want to Sing』の来日公演。黒人の宗教音楽をルーツに持つゴスペルが、なぜ宗教観や言葉、ルーツミュージック(民族音楽)すら異なる日本で愛されるようになったのか? 27年前、『Mama, I Want to Sing』の来日公演を強力にサポートした三宅裕司と、本場の黒人教会からも「奇跡の歌声」と称賛され、日本人離れした歌唱力とソウルフルな歌声で音楽ファンを魅了する福原美穂に、ゴスペルミュージックの魅力を語ってもらった。見えてきたのは、言葉の壁を壊すことのできる音楽の力と、これから日本人が自国の文化を誇れるようになっていくためのヒントだった。

シンガーの声もすごかったですし、牧師さんが喋りながら、どんどんヤジのような言葉を入れていくんです……日本でいうなら、関西の芸人さんのような?(笑)(福原)

―さっそくですが、お二人がゴスペルに出会ったきっかけから教えていただけますか?

三宅:僕が初めてゴスペルに触れたのは、ゴスペルミュージカルを観た27年前のことでしたね。ニューヨークに行くことになり、現地にいる友達から「他は何も観なくていいから、これだけは観てくれ!」と言われたのが『Mama, I Want to Sing』でした。それまでは、白人がオペラ的な発声で演じるミュージカルしか観たことがなく、それはそれで素晴らしいものだと感じていたのですが、黒人によるミュージカル『ドリームガールズ』を初めて観たときに、今まで観たものとは全く違っていて、「なんだこれは!」と思ったんです。そんなときに、『Mama, I Want to Sing』の薦めがあったものですから、これは絶対に観なければならないと勇んでオフ・ブロードウェイを訪れました。

三宅裕司
三宅裕司

―同じ黒人ミュージカルでも『ドリームガールズ』はソウルやR&Bがフィーチャーされたブロードウェイのエンターテイメントなミュージカル。一方で『Mama, I Want to Sing』は、黒人教会で歌われるゴスペルソングがメインとなったオフ・ブロードウェイミュージカルですね。三宅さんはそこで、生のゴスペルを初体験されたんですね。

三宅:そうなんですよ。『Mama, I Want to Sing』を観終わって……感動のあまり立ち上がれませんでした。とにかく歌がすごかった。「声を見た!」という感じですね。

―「声を見た」とは、三宅さんの感動がとてもよく伝わるお言葉ですね。

三宅:もちろんゴスペルも、実際に教会で歌われているものと、ショーアップして人に見せるようになったものは違うものなんでしょうけどね。僕が27年前に観た『Mama, I Want to Sing』はショーアップされたもので、ストーリーがあり、さらにバンドが入って豪華に歌われるゴスペル。そりゃあ、興奮しますよね(笑)。

―福原さんのルーツはもともとブラックミュージックだとうかがっていますが、ゴスペルとの出会いは?

福原:子どもの頃からホイットニー・ヒューストンやマイケル・ジャクソンが大好きだったのですが、ライナーノーツを読むと、「4歳から教会に通って歌っていて……」というような、ゴスペルにまつわるエピソードが必ずといっていいほど出てくるんですね。アレサ・フランクリンなどは、そもそも牧師さんの娘だったりもしますし。みんな教会で歌を習っていて、ブラックミュージックとゴスペルは切り離せないものだと感じていました。

―実際にゴスペルソングをお聴きになったのは?

福原:初めて聴いたゴスペルアルバムは、1930年代の音源を40曲くらい収録しているものでした。それこそ教会に録音機を持ち込んでテープを回したようなとても音質の悪いCDで、歌っている方もけっして有名なゴスペルシンガーではないんですけど、「わっ、すごい世界だな」と思ったんです。シンガーの声もすごかったですし、牧師さんが喋りながら、どんどんヤジのような言葉を入れていくんです……日本でいうなら、関西の芸人さんのような?(笑)

福原美穂
福原美穂

三宅:ああ、ツッコミを入れていく感じね(笑)。

福原:そこで繰り広げられている言葉のキャッチボールが、全部リズムに聴こえたんです。こんなにリズミカルな音楽があることに驚いたし、ラップもここから生まれたんだなと思ったり、いろいろな音楽のルーツを感じました。

―日本では80年代後半から90年代にかけて、先ほど三宅さんがおっしゃった『Mama, I Want to Sing』の来日公演がキッカケでゴスペルソング、いわゆるアカペラソングのブームが巻き起こったと言われています。もともとゴスペルソングというのは、福原さんがお聴きになったような、教会での牧師さんの説教と歌を含めたものと考えるべきなんでしょうか? 特に、青少年向けの礼拝では盛んに歌われていると聞きます。

福原:そうでしょうね。まずは牧師さんの説教があり、言葉の掛け合いがあり。でも最後はみんなで歌うんですよ。ただの説教だけでは終わらず、最後には音楽がある。子どもたちは説教の深い意味までは分からなくても、聖書や神様の言葉をリズムに乗せた「音」として覚えていく。それがゴスペルミュージックの役割なんじゃないかと思います。

三宅:それこそ、日本のことわざで言えば「門前の小僧習わぬ経を読む」ですよね? 耳で言葉を聴かせて心を教えていくという意味では、同じことなんじゃないかと。そのために、ゴスペルのほうは、子どもたちが興味を示すようにリズムを効かせていったんじゃないかと思いますね。

黒人教会でゴスペルを聴いて、実際に倒れちゃう人もいるんですよ。トランス状態になって、「ジーザス!」と唱えながら倒れちゃう。(福原)

―福原さんは、デビュー前の2008年にロサンゼルスの黒人教会でゴスペルクワイア(ゴスペル音楽の聖歌隊)をバックに、ゴスペルの代表的ナンバーでもある“Oh Happy Day”を歌われましたよね。

福原:それまでは、ゴスペルや黒人教会というとウーピー(・ゴールドバーグ)の『天使にラブ・ソングを…』のイメージだったんです。もちろん毎週教会に通っていたわけでもないのでリアリティーもなく、完全に映画の中の世界でした。でも、自分がロードを歩いてステージに上がって歌ったときは、自分じゃない人が歌っているような……取り憑かれたような感覚がありました。


三宅:何かが降りてきちゃったんだね。

福原:実際に倒れちゃう人もいるんですよ。トランス状態になって、「ジーザス!」と唱えながら倒れちゃう。

三宅:そうなんだ。

福原:ジェームス・ブラウンが、ステージでバッタリ倒れる演出(マントショー)があるじゃないですか?

三宅:マントを掛けられて、また起き上がって歌い出す、アレね(笑)。

福原:あれがそもそもチャーチの文化、ゴスペルがルーツになっているらしくて。本当に倒れた方がいるのを見て、嘘ではないと思いましたね。

―黒人教会の礼拝には、独特の興奮や空気があるんですね。

福原:牧師さんの説教を聞きながら、自分の罪をどんどん洗い流していくうちに、何かコネクトしてしまうんでしょうね。日本人もお経を聞きながら手を合わせることはありますけど、そこから歌い出したり、声を出したりすることはないですよね。

三宅:でも、寺で何人ものお坊さんがお経をあげてくれる中でお祓いをしてもらうときの感覚というのは、ゴスペルのトランス状態にちょっと通じるものがあるかもしれませんね。お坊さんが修行で鍛え上げた声がぐわーっとくると、何かすごいものを感じますよ。

福原:全員が声のピッチを合わせることで共鳴しますよね。たしかに、あの響きはゴスペルクワイアの大合唱に通じるものがあるかもしれません。

―三宅さんが『Mama, I Want to Sing』で「見た」声の感覚も、それと似たものだったのでしょうか?

三宅:あれはどう言ったらいいんだろうね。耳じゃなくて、ハートで聴いているというか。直接、(手を胸に当てて)ここを掴まれる感じ。英語は分からなくても、声だけでもグッときちゃうんですよね。

―それは、もともとゴスペルという言葉が「福音」の意味であり、白人に差別を受けていたアフリカンアメリカンたちが、彼らの心の叫びを神への賛美にのせて歌ったスピリチュアル(黒人霊歌)を発祥としているという背景から受ける感動とはまた別のものでしょうか?

三宅:そうですね。言葉も背景も何も知らなくても、声から受ける感動がありますよ。ただねぇ……あの声があればどんな曲でもいいというものでもないんです。僕は以前、アメリカからゴスペルシンガーの方を呼んで一緒に舞台をやり、CDを1枚出したんですよ。その方にいろんな歌を歌ってもらったのですが、その中で1曲面白い曲をやってもらいましてね。

福原:何の曲だったんですか?

三宅:植木等さんの“ハイ それまでョ”。日本語で<テナコト言われて ソノ気になって〜>てね(笑)。

福原:あはは! 本当ですか!

左から:三宅裕司、福原美穂
左から:三宅裕司、福原美穂

三宅:ところがね、そういう歌じゃ、あのすごい声は出ないんですって。やっぱりね、歌われる曲にも、どこか神に繋がる魂みたいなものがないと駄目なのかなと。それに引き替え、上田正樹さんの“悲しい色やね”を歌ってもらったら、とても良かった。やはり、ブルースだと相性がいいんですね。

福原:へぇ……面白いですね。

三宅:歌で声を出すことと、ブルースやゴスペルというものの歴史が繋がっていないと声が乗らない。それがすごくよく分かりましたね。

―同じ歌い手から見て、ゴスペルシンガーやゴスペルクワイアが放つ声のすごさはどこからくると、福原さんは思われますか?

福原:う〜ん……たぶん、声に「横の揺れ」があるからではないかと思います。白人がロックをやると8ビートで頭ノリになりますし……。例えば、白人が賛美歌の“ジョイフルジョイフル”を歌うと、音程も真っ直ぐ。でも黒人が歌うと、メロディーにうねりが出ます(と言って、福原さんが実践してくださる)。

―おぉ……! 黒人の歌い方は、メロディーラインそのものに、音符にはならない抑揚がつきますよね。

福原:まず、ビブラートが違うんです。黒人の方の歌にはグルーヴがあり、バネがある。スポーツを見てても思いますけど、身体の構造そのものが違うのかなと。あとは、感情ですよね。ソウルの揺れが、独特のグルーヴを生むんだと思います。声と一緒に感情が空気に乗ってやってくるというか、細胞が起きるような身震いを感じますね。

三宅:音の圧が、ぶつかってくるからかな? 耳が不自由なピアニストの方が、音そのものは聞こえなくても空気を伝わってくる音の圧を強く感じるとおっしゃっていて。ゴスペルもそうですが、黒人の方の歌にも、それを感じますよね。

福原:耳だけではなく、空気と一緒に感じる声なんでしょうね。だから、考えることをさせてくれないですよね? 空気そのものが「感じろー!」と言っているようで。

三宅:それが……「声を見る」というやつ?(笑)

福原:そうですね!(笑)

歌を通じて強くなる。音楽にはそういうものが多いですよね。レゲエもそうですし、ラップもそう。特に黒人音楽には、その力をよく感じます。(三宅)

―今お話いただいたことはゴスペルの音楽としての魅力ですが、歌われている内容、歌詞にはどんな魅力があるとお感じですか?

福原:私はキリスト教徒ではないですし、神は自分自身の中にあるという考えなので、ゴスペルが歌う教えの感覚は分からない。なので、宗教的な言葉の数々に心から共感することはできませんが、神様からの言葉を唱えることで自分自身を強くするゴスペルの在り方は、美しいものだと思います。

三宅:そこで聴く人も、同じ気持ちになれるということですかね。

福原:黒人教会に行くと「みんな手を繋ぎなさい」と言われるんですよね。日本だと運動会のダンスくらいしかそういう機会が思いつかないんですけど、黒人の人たちは手を繋いでみんなでゴスペルを歌い、心を共有するんです。そうすることで、またリズムが繋がっていく気がします。

福原美穂

三宅:歌を通じて強くなる。音楽にはそういうものが多いですよね。レゲエもそうですし、ラップもそう。特に黒人音楽には、その力をよく感じます。

―白人に虐げられてきた歴史や心の叫びが、武器を持つことが許されなかった彼らを歌や音楽へと駆り立てたのでしょうね。

三宅:格闘技にもありますよね。足だけで戦うカポエラも、虐げられた黒人のルーツから出てきたものだそうですし。

―ああ、アフリカからブラジルに連れてこられた奴隷が、主人の虐待から身を護るために編み出したとか、手を使ってはいけない奴隷同士の休憩時間の遊びから生まれたという説がありますね。

三宅:ゴスペルに限らず、いろいろな黒人文化のルーツを探っていくと面白いですね。

福原:ただ、そうやって様々な文化を生んだ黒人の方たちが持つ歴史的な背景や宗教観は、日本人にはないものですから、ゴスペルで私たちが生で感じた素晴らしさを言葉で説明するのはとても難しくて。

―ゴスペルの根底には宗教、神への感謝の心がありますからね。

三宅:日本には、教育の中で宗教観を学ぶ機会も少ないですからね。海外では「神様が見ているから悪いことをしちゃいけない」という教育が、子どもの頃から浸透している。

福原:それはキリスト教でもイスラム教でも同じですよね。

―その教えが、黒人教会ではゴスペルという形で音楽と共にあると。

三宅:あんなに激しく、みんなで歌う宗教的な音楽が日本にはまず存在しないですしね。

福原:独特ですよね。コーランともまた違いますし。

三宅:そもそも、歌によって自分を表現すること自体が恥ずかしい行為だという時代が日本にはありましたからね。106歳の声楽家の方にお話をうかがう機会があったのですが、特に女性はおしとやかでなければいけないため、歌うことが大好きでも決して人前で歌うことはできなかったとおっしゃっていました。自分を抑えることが美徳だという考え方が、かつての日本文化にはあった。

三宅裕司

―歌うことで、自分をどんどん解放していくのがゴスペルミュージックですから、真逆ですね。そういう文化や国民性の違いはあっても、歌が人の心に響かせるものは同じであると。

三宅:そこがゴスペルの一番の魅力でしょうね。子どもの頃からずっと歌っているハートと声の力が、直接、僕らにも響く。僕がそうだったように、ゴスペルに触れる日本人には初めての体験としての感動があるのかもしれないですね。

―そもそも、皆が揃って1つの想いを歌う機会があるのは、学校の合唱コンクールくらいかもしれないです……。

三宅:あとは、宴会で歌う春歌くらいですかね(笑)。

一同:(爆笑)

アメリカにはゴスペルがある、じゃあ日本は何を大事にしなきゃいけないんだろう? 日本をもっと愛そうと思いますよ。(三宅)

―最初に福原さんもおっしゃっていましたが、有名なアーティストも子どもの頃からゴスペルを歌っていたことで、音楽の素晴らしさと強さを知り、その素晴らしさを多くの人に伝えてこられました。三宅さんが感動に打ちのめされた『Mama, I Want to Sing』も、教会のゴスペルクワイアからスターの座に上り詰めた少女を主人公した実話が原作で、ミュージカルの主催者であるヴァイ・ヒギンセンさんは、ハーレムの若者を対象にした無償の音楽教育プログラムを設立し、ゴスペル文化を次世代へと伝えていらっしゃるそうですね。世代を超えてゴスペルの魂が受け継がれているからこそ、伝えられる感動も深まっているのかもしれないですね。

福原:私も実際に、その音楽プログラムを見学させていただいたんです。そこに通っている子どもたちの中には、シェルター(戦争や紛争から身を守るための住居施設)から通う子、シングルマザーに育てられた子、13歳でシングルマザーになってしまった子など、様々な10代がいるんです。彼らも最初は歌うのを恥ずかしがっていたけど、みんなで歌うことで、どんどん自分を表現する楽しさを知っていったそうです。国籍も育った環境も違う、私たちも同じだと思うんです。

『Mama, I Want to Sing』より
『Mama, I Want to Sing』より

―そうやって彼らは強くなっていくんですね。

福原:さらに、その「Gospel For Teens」というプログラムは、メインストリームにあるビジネスとしての音楽ではなく、自分たちのルーツを守り伝えていこうとしているんです。

―まさに、ゴスペルによって不良たちが立ち直り、自分を見いだしていく『天使にラブ・ソングを2』の世界ですね。

福原:日本でも、そういう音楽教育があるといいですよね。

三宅:だとすれば、日本人は民謡でやるべきかもしれないですよ。

福原:和太鼓や津軽三味線を聴くと、ふだん馴染みがなくても心が震えますからね。

三宅:津軽三味線が、(カルロス・)サンタナのギターに似てるという人もいますからね。

―エンターテイメントの世界で日本のルーツを伝えるとすると……民謡ミュージカルになりますかね?

三宅:僕も劇団(三宅が主宰するスーパー・エキセントリック・シアター)では、日本ならではのミュージカルをずいぶん試みてきましたけどね。和太鼓と民謡もそうですし、相撲ミュージカルもやろうとしました。ところが……お相撲さんは太ってて踊れないんですよ(笑)。

一同:(爆笑)

―でも、アメリカンアフリカンのルーツ音楽を題材にした『Mama, I Want to Sing』は日本を含め、世界中で愛される大ヒットミュージカルになりました。民謡ミュージカルも日本人のルーツを伝えるものとして、国境を越えて愛される日が来るかもしれませんね。

福原:今はあらゆる国の音楽がどこでも聴ける時代にもなっていますしね。黒人が白人発祥のロックを歌っても格好いいですし、白人の子どもでブラックミュージック特有のフェイクをとても上手に身につけている人もいます。音楽の世界もジャンルや国籍に囚われず、良いものを認めようという傾向に戻っていると思うので、本物は残っていくと思いますね。逆に、音楽の情報は飽和状態になっているともいえますけど。

三宅:今は情報だけはいくらでも手に入る世の中ですからね。

―しかし、だからこそ、その場の空気を揺るがす生の歌、生の音楽がより感動を生むとも考えられますね。三宅さんが立ち上がれないほどの感動を受けたミュージカルしかり、福原さんが黒人教会で、降りてくる何かを感じた本場のゴスペルしかりで。

三宅:音や声が生む空気の揺らぎは、生じゃないと体験できないですからね。僕は『Mama, I Want to Sing』から受けた衝撃をどうしても日本人にも伝えたくて、ニューヨークで観てからすぐに関係者に働きかけ、1988年に日本公演が実現しました。その『Mama, I Want to Sing』が、久々に日本公演を行うことになっています。

―今度は、先ほどお話にも出た「Gospel For Teens」で育った若者たちの出演で上演されるそうですね。まさに、ルーツが受け継がれていっていることが実感できるエピソードです。

三宅:ゴスペルのように、1つのグルーヴをみんなで作ろうとしている音楽は、一人ひとりに個性のグルーヴがあって、その重なりがさらにグルーヴを生んで広がっていくんです。それはコンピューター音楽では再現できないし、生で聴かないと分からない素晴らしさです。

福原:同じゴスペルシンガーでも、人によって歌い方が違いますからね。今回の『Mama, I Want to Sing』にも、可愛らしい声の子もいれば、ダイアナ・ロスのような子も、アレサ・フランクリンのような子もいます。そのゴスペルシンガーの個性も、ミュージカルなら同時に楽しめますよね。

三宅:伴奏も生バンドが来日しますからね。今はコンピューターで作ったカラオケで唄うことが多いですから、音楽好きの人もゴスペルシンガーの生の声と生バンドの演奏で本場のグルーヴを感じることができると思います。

福原:生の音楽体験からは、「歌っていいな!」という気持ちを改めて感じられますし、『Mama, I Want to Sing』のように10代の若い子の素晴らしい歌声を聴いてしまうと、「私たち日本のシンガーも頑張らないと!」と感じますよね。日本全体の音楽レベルも上げていかなければ、とも思ってしまいます。

三宅:中途半端に歌を歌ってる人がこれを観たら、何かしらのふんぎりがつくかもしれませんよね(笑)。

福原:それは本当かもしれません! 私も、次の時代の音楽業界にはこういうすごい子たちが入ってくるんだと思うと、ちょっと怖くなります(苦笑)。

三宅:そして、日本をもっと愛そうと思いますよ。アメリカにはゴスペルがある、じゃあ日本は何を大事にしなきゃいけないんだろう? 日本のいいところは何か、そんなことも感じるのではないでしょうか。

イベント情報
『Mama, I Want to Sing』30周年記念 日本公演

2013年12月4日(水)〜12月8日(日)全7公演
会場:東京都 渋谷 東急シアターオーブ
料金:
平日 S席7,800円 A席6,300円 B席4,800円 Z席2,000円
土日 S席8,800円 A席7,300円 B席5,800円 Z席3,000円
※Z席は18歳以下もしくは学生限定、Bunkamuraで取扱いなし

2013年12月10日(火)〜12月13日(金)全5公演
会場:大阪府 森ノ宮ピロティホール
料金:S席8,500円

2013年12月16日(月)〜2014年1月5日(日)全24公演
会場:東京都 六本木 アミューズ・ミュージカルシアター
料金:S席8,500円 A席6,500円 Z席3,000円
※Z席は18歳以下もしくは学生限定

プロフィール
三宅裕司(みやけ ゆうじ)

1951年5月3日 東京神田神保町生まれ。1979年に劇団スーパー・エキセントリック・シアターを結成、以降34年座長を務める。2004年からは伊東四朗氏を座長とした「伊東四朗一座」、三宅を座長とした「熱海五郎一座」を結成し、毎年新作の喜劇を創り、東京軽演劇を伝承し続けている。また、ドラマ・映画、ラジオ、バラエティ番組の司会としても幅広く活躍するマルチエンターテイナー。

福原美穂(ふくはら みほ)

北海道出身。次世代を牽引するソウルシンガーとしてその歌声はデビュー前から注目を浴び、2008年2月、日本人として初めて、米・LAの黒人教会にて"奇跡の子”と称される伝説のパフォーマンスを披露、黒人教会220年の歴史を変えたと、賞賛を受ける。2013年、デビュー5周年を迎え、6/5には約1年ぶりとなるシングルをリリース。収録曲「ライジング・ハート」はコカ・コーラ“Share a Coke and a Song”のキャンペーンソング、「BEYOND」は人気アニメ“宇宙兄弟”のエンディング、「Surely Someday」は”レイトン教授と超文明Aの遺産”の主題歌になるなど、話題に。その勢いのまま、自身初となるFUJI ROCK FESTIVAL'13にも出演を果たす。また、SWEETBOXの6代目ボーカリストに、アジア人として初めて抜擢され、アルバム「#Z21」をリリース。リード曲「#Z21」がUKダンスチャートで1位を獲得するなど、世界を見据えた活躍が今後も期待される。2014年2月11日には、自身最大級の公演「福原美穂 スペシャル・クラシック・コンサート2014」を開催。世界的指揮者・大友直人と、クラシックオーケストラ、そして、総勢400名におよぶゴスペルクワイヤとの豪華共演が実現する。



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