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破壊と再生を繰り返してきた男 京(DIR EN GREY)インタビュー

破壊と再生を繰り返してきた男 京(DIR EN GREY)インタビュー

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
写真提供:sun-krad
2014/04/30
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僕はその人の人生観を感じられるものが好きだから、ただ言われたままなにかをやっていて、意志がまったく見えないものには興味がないんです。

―なるほど、そこで自分に刃が向くんですね。ちなみに京さんがそこまで死の描写に注目するようになったのって、いつ頃からのことなんですか?

:いや、小さい頃は単純に怖がってたと思う。それが、自分でもわからないうちに好きになってたんですよね。でも、嫌いなものって好きになりやすかったりするじゃないですか? 逆に昔からどうでもいいと思ってたものって、やっぱり未だにどうでもいいから。

―京さんのどうでもいいものって、例えばどんなものですか?

:アイドルとかね。僕はその人の人生観を感じられるものが好きだから、ただ言われたままなにかをやっていて、その人の意志がまったく見えないものには興味がないんです。でも、中森明菜さんは昔からすごく好きなんですよ。あの人は他の人が書いた歌詞と曲を歌っているけど、その歌からにじみ出ているものがすごくあるから。

―そういう意味で言うと、音楽は京さんが自らの意志を放ちたいと思って始めたものなわけですよね。

:そうですね。でも、昔は音楽が大嫌いだったんです。僕の世代でいうと、それこそ光GENJIとかがすごい人気で。その時点で「音楽ってこういうものなんだ」と思ってたから、音楽がまったく好きになれなかった。でも、知り合いからロックやいろんな音楽を聴かせてもらっているうちに、こんな世界もあるんだなと思うようになって。今思えば、ロックからは意志を感じたんでしょうね。それが本当の音楽との出会いかな。

―そこで京さんはすぐバンドを組もうと思ったんですか? 場合によっては個人発信で始めることも考えられたと思うんですけど。

:ピンでやろうとは思わなかったかな。バンドという集合体で1つのものを表現するということが単純にかっこいいと思ったし、そこでみんなの意志が混ざって屈折していくのが面白くて。それに、自分の中から出てくるものって、やっぱり予想の範囲内で収まっちゃうんです。バンドはそれをいろんな人が歪ませてくれるし、自分の想像を超えたところに向かっていくから、やっぱりバンドが好きなんですよね。バンドをやりながらピンで歌う人もいるけど、僕はあまりそれに興味がなくて。

―だから、今回もソロではなくて新バンドのsukekiyoを始めたんですね。


:うん。DIR EN GREYはあのメンバーの混ざり具合でああいう世界観を作っている。でも、また違う人間と一緒にバンドをやれば、自分の持ってるものも違う屈折の仕方をして今まで想像していなかったようなものができるだろうと。その可能性をもっと追求したかったんです。

sukekiyo
sukekiyo

―DIR EN GREYの活動を続けながらも、それとは違う場所から別のなにかを放ちたいという欲求は沸々とあったんですね。

:それはもう、10年くらい前からあったと思います。

―その10年間でフラストレーションは溜まらなかったんですか?

:なんか日本って、「バンドは1つだけ」「それ以外はソロ」みたいな暗黙のルールがあるじゃないですか。なんとなくそういう流れを僕も感じていたので。

―たしかにそういうのはあるかもしれないですね。メンバー1人が別で活動を始めると、バンド内で不穏な空気が生まれてるんじゃないかと思われたり。

:だから、他のバンドをやろうなんてことは考えもしなかったんです。でも、海外でツアーをやってると、向こうの人たちってメインのギタリストが病気で休んでも普通にツアーを続けているし、途中から急に1人ツアーから抜けたりもする。あるいは1人で4つのバンドをやってる人もいたりして、そういうのを見ているうちに、もっと自由にやっていいんだなと思うようになって。

京

―あぁ、そこは海外で感じたことなんですね。

:そういう海外のラフな感じは刺激になりました。まあ、そういうやり方を快く思わない人もいるかもしれないけど、少なくとも僕は1人の人間の人生として、後悔だけはしたくないなと思ったので。

歌や絵、写真にはどれも自分の内面そのものが表れていると思う。自分の中にあるものをもっと自然に出せたらいいなとは思ってるんですけどね。

―でも、ラフとは言いながらも、京さんの作品は絵も写真も遊びでやっているような感じがないんですよね。それぞれがとても力を入れた表現になっているから。

:でも、自分の中にあるものをもっと自然に出せたらいいなとは思ってるんですけどね。そもそも僕にはまったく技術がないし、画材のことなんかもまったくわからないから、そこは時間があったら覚えていきたいなと思ってるんですけど。

『槐夢』
『槐夢』

―じゃあ、写真についてはどうでしょう。京さんは自分がカメラを構えて撮った写真集『for the human race』と、逆に自分が被写体となった写真集『失格』のどちらも出していますね。この捉え方の違いをぜひ京さんの言葉で訊いてみたいです。

:まず自分が撮ったものについて言うと、あれは海外に行ったときに自分が惹かれたものにただシャッターを向けただけなんですよ。それが蓋を開けてみたら、ゴミばっかり撮っていたんです(笑)。一方で、自分が被写体になっているものの場合は、身体で表現することそのものや、身体と空間との混ざり具合、影との相性なんかを楽しみながら撮られてる。どちらにも自分の内面そのものが表れていると思うし、そういう意味では歌や絵と変わらない気がします。

写真集『for the human race』より
写真集『for the human race』より

写真集『失格』より
写真集『失格』より

―さらに京さんはイラストで「ゼメキス家」というオリジナルキャラクターも創作していて。これもまた新しい活動の発展形になっていると思うんですが。

:僕、絵本も描きたいんですよ。内容もすでに2つ考えていて、あれはそのうちの1つに出てくるキャラクターなんです。もしその絵本の作業に集中してやれてたら、今頃はもう完成していたのかもしれないんですけどね。単純に今はバンドを2つやってるのもあって、なかなか絵を描く作業が追いついていなくて。

『MAMA』
『MAMA』

―確かに今、絵本を描く時間を確保するのは大変そうですね。

:でも、だからと言って仕事みたいにはやりたくないんですよ。僕、「やらないとダメだ」と思うと、ちゃんと力を発揮できないんです。それが自分でもよくわかってるから、絵本は「今、この続きを描きたい」と思っているときにだけ描くようにしています。

京

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イベント情報

『sukekiyo 二〇一四年公演「別れを惜しむフリは貴方の為」』

2014年5月1日(木)、5月2日(金)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 日本青年館

2014年5月4日(日・祝)、5月6日(火・祝)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:京都府 京都劇場

料金:各公演 5,400円

イベント情報

『sukekiyo 二〇一四年公演 「別れを惜しむフリは貴方の為」 -寡黙の儀-』

2014年5月5日(月・祝)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:京都府 京都劇場
料金:5,400円

リリース情報

sukekiyo<br>
『IMMORTALIS』初回限定盤(2CD)
sukekiyo
『IMMORTALIS』初回限定盤(2CD)

2014年4月30日(水)発売
価格:4,104円(税込)
SFCD-0133/34

[DISC1]
・elisabeth addict
・destrudo
・latour
・nine melted fiction
・zephyr
・hidden one
・aftermath
・烏有の空
・the daemon's cutlery
・scars like velvet
・mama
・vandal
・hemimetabolism
・鵠
・斑人間
・in all weathers
[DISC2]
・SUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)、HISASHI(GLAY)、人時(黒夢)、TK(凛として時雨)、KORNのジョナサン・ディヴィスらとのコラボレーション楽曲

sukekiyo<br>
『IMMORTALIS』通常盤(CD)
sukekiyo
『IMMORTALIS』通常盤(CD)

2014年4月30日(水)発売
価格:3,456円(税込)
SFCD-0135

・elisabeth addict
・destrudo
・latour
・nine melted fiction
・zephyr
・hidden one
・aftermath
・烏有の空
・the daemon's cutlery
・scars like velvet
・mama
・vandal
・hemimetabolism
・鵠
・斑人間
・in all weathers

プロフィール

sukekiyo(すけきよ)

DIR EN GREYの全楽曲の作詞を担当する京による新バンドとして2013年12月に始動。2014年1月1日に全世界111か国のiTunesStoreにて『aftermath』のPVを先行配信し、同チャートで1位を獲得。2014年4月30日に、1stアルバム『IMMORTALIS』をリリース。

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