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ビジネスとアートの違いを考えてみよう 遠山正道&東市篤憲対談

ビジネスとアートの違いを考えてみよう 遠山正道&東市篤憲対談

インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:豊島望

ビジネスとアートは同じもの? 「違います」と答えるのは簡単だが、ちょっと立ち止まり考えてみよう。舞い降りたインスピレーションからビジョンを練り、「やらずにはいられない」想いを人々に届けるその道筋は、どちらの世界にも大切なもの。さらに時代は今、両者をかつてない形で接近させている?

そこで、スープストックトーキョーなどを生み出した起業家でありながら、アーティストとしての個展歴もある遠山正道(スマイルズ)、初音ミク主演のオペラ公演『THE END』プロデュースなどで知られる東市篤憲(A4A)の両氏を迎え、このテーマについて語り合ってもらった。

ちなみに二人は、exonemo、川村真司(PARTY)+magma、西島大介、秋山具義など、ジャンルを超えた18組のクリエイターが「青リンゴ」をテーマに作品制作、展示するKIRIN Hard Cidre(キリン ハードシードル)『Green Apple Museum』プロジェクトにアーティストとしての参加が決まっており、アートとビジネスの話題から、アイデアやインスピレーションのつかまえ方などにも話が広がっていった。

新しい価値観を提案するということは、アートだけじゃなく、もともとビジネスが持っていたものだと思います。(遠山)

―今日はアートとビジネスという、一般的に相反すると言われる2つについて、お二人の考えを伺えたらと思っています。遠山さんは、スープストックトーキョーを生み出す前の大手商社マン時代、絵の個展をしたことが、独立後の働き方にも大きく影響したそうですね。

遠山:絵は学生時代から描いていたけれど、それで食べていけるとは思いませんでした。ただ会社勤めを10年ほど続けて、この先自分はどうあるべきか、自分の声を世の中に発するような生き方ができるのかと悩んだとき、なぜか行動に移した結果が個展だったんです(笑)。実現の過程では、本当に多くの人から素敵な協力を得られました。この経験が、後の独立とそこからの挑戦の大きな糧になったんです。

遠山正道
遠山正道

東市:遠山さんは本当にアイデアマンだなと思います。スープストックトーキョーもそうだし、体温別にカテゴライズしたネクタイブランドの『giraffe』も、持ち主のプロフィールやストーリーを添えて販売するリサイクルショップ『PASS THE BATON』も、これまでその領域になかった新しさを実現している。

―新しいアイデアをどんどん具現化していくというのは、まるでアーティストのようでもありますよね。

遠山:私のビジネス観からすれば両者は近い……いや、むしろ同じと言っていい部分も多いと思います。当然ですが、アートはまず自分がやりたいことがある。でも一人よがりは駄目で、それが世の流れや文脈と合流できなければ評価されない。ビジネスも同じです。ビジネスは常にマーケティングから「やるべきこと」を決めていると思われるかもしれません。しかし「20世紀は経済の、21世紀は文化の時代」とも言われる中、マーケティングという方法自体に未来があるかも疑わしい。高度経済成長期の頃ならまだしも、今は供給過剰が当たり前。数少ない需要に対して、多くのプレイヤーが超ハイペースの椅子取りゲームに参加しているような状態です。

―たとえ優秀でも、椅子からあぶれるプレイヤーの方が多かったりする?

遠山:それなら僕は、全く新しい椅子を持参してそのゲームに参加しようと思いました。何よりそのほうが面白い。でも、その「新しい椅子=価値観」の源って、もともとビジネスが持っていたものだとも思います。つまり、シンプルな、人と人との価値のやりとり。たとえば商社マンが「このミカンは本当に美味しいから、全国の人々へ届けたい」と燃えたことで流通が発展する。そして、人々を満たすものがプロダクトだけなんてことは絶対にあり得ません。届けたいのは「好きだ」という言葉や気持ちだけ、という仕事だってあり得る。それで僕らの会社スマイルズでも、「生活価値の拡充」を理念にいろんな世界を広げようとしてきました。

東市:でも、ただアイデアを思いついただけでは……という厳しさも、アートとビジネスの共通点ですね。

東市篤憲
東市篤憲

遠山:うん。それこそラブレターみたいに、一晩明けて読み直したら恥ずかしくなるアイデアもあるし、本当にいい発想でも、いろんなパートナーを巻き込む必要があったり、当然お金のリスクも取らないといけない。だから出会い頭の面白さを超えて、これは意義があるから、と思えるかも重要。そこをクリアしたら、あとは頭から突っ込んでいく感じです。

―その成否で、自分の人生も大きく変わってしまう挑戦という意味で、タフな選択ですね。

遠山:その点、僕がアーティストを素敵だと思うのは、まず「自分がやりたいこと、やるべきこと」が最初にある生き方だと思うからです。人の役にも立たなそうなものでもやらずにはいられない(笑)。そういうボールを自分から投げられる人ですよね。そして、それがちゃんと伝わっていく方法を周りが支援できるなら、なお素晴らしい。東市くんが今やっていることの1つは、まさにそういう仕事ですよね。

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イベント情報

『Green Apple Museum』作品展示会

2014年8月8日(金)~8月10日(日)br> 会場:東京都 渋谷 Sunday Issue
時間:13:00~20:00(受付終了は19:45)< 参加作家:
たかくらかずき
篠崎恵美
関根正悟
西島大介
ステレオテニス
東市篤憲
幕野まえり
大野そら
遠山正道
秋山具義
片山高志
川村真司+magma
exonemo
小鳥遊しほ
松下唯
福井利佐
大野友資
ヤドカリガール
きゅんくん
麒麟麦酒株式会社
料金:無料(入場は20歳以上のみ)

商品情報

KIRIN Hard Cidre
KIRIN Hard Cidre

リンゴでできたお酒シードルを、ビールのように爽快で、キレのある飲み心地に仕上げました。サーバーから注がれるフレッシュな味覚。甘すぎないので、料理との相性もバツグンです。

樽詰ハードシードル |チューハイ・カクテル|商品情報|キリン

プロフィール

遠山正道(とおやま まさみち)

1962年東京生まれ。85年三菱商事(株)入社後、99年スープ専門店「Soup Stock Tokyo」第1号店をオープン。2000年三菱商事初の社内ベンチャー企業(株)スマイルズを設立、2008年MBOによりスマイルズの株式100%を取得。現在「Soup Stock Tokyo」、ネクタイブランド「giraffe」、新しいリサイクルショップ「PASS THE BATON」の企画・運営を行う。近著に『成功することを決めた』(新潮文庫)、『やりたいことをやるビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)がある。

東市篤憲(とうし あつのり)

「Artist for Artist」を旗印に、主にデジタル分野のアーティストたちを支援することを目指して設立されたクリエイティブプロダクション・A4Aの代表。映像、インスタレーションなど革新的作品を発表。ルイヴィトン『Timeless Muses』展、BUMP OF CHICKEN『ray』MV、富士急ハイランド『リサとガスパール』プロジェクションマッピングなどを手掛け、9月より青山劇場にて上演される、蘭寿とむ主演『ifi』の映像・空間演出も控えている。

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