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三浦直之×後藤まりこ対談 古典に対する違和感と、どうつき合う?

三浦直之×後藤まりこ対談 古典に対する違和感と、どうつき合う?

インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:相良博昭

以前は演技がどういうものかもよくわかっていなかったんですが、普段の日常で誰もがやってる「演技」があって、その延長で考えると、自然に演技に取り組めるようになってきました。(後藤)

―シェイクスピアの時代と現代では、演劇の構造も人間の捉え方が異なるので、正直なところ違和感を感じる部分は多いですよね。では、そんなシェイクスピア戯曲を、三浦さんはどのように料理するのでしょうか?

三浦:僕は普段からボーイミーツガールを主題に作品を作っていますが、『ロミオとジュリエット』も、大枠ではそれに括れる作品です。もちろん僕の作品と『ロミオとジュリエット』が直接つながるとは思えないですけど、『ロミオ~』に影響を受けた様々な作品を経由して、僕もシェイクスピアの影響を受け継いでいるかもしれない。『ロミオとジュリエット』が生まれてから400年も経っているので、その間の歴史をゆっくりと遡っていけば、僕もシェイクスピアにつながるかもしれないんです。だから僕は、そのゆるやかな影響関係を、今回の作品の中に織り込みたいと考えています。

『ロミオとジュリエットのこどもたち』稽古風景
『ロミオとジュリエットのこどもたち』稽古風景

―しかし、「ゆるやかな影響関係」があるとはいえ、実際にはギャップもある。その関係性をどう表現しますか?

三浦:今回は3部構成にする予定です。第1部がシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』、第2部では古今東西の色々な作品から『ロミオとジュリエット』の断片を引用して浮かび上がらせ、第3部で僕のオリジナル作品を上演するという構成です。

―つまり、シェイクスピアを素直に上演するだけではなく、シェイクスピアと三浦直之との関係をメタ的に織り込んで上演することで、2014年とシェイクスピアとの「距離感」が生み出される。では、今回後藤さんをヒロインに起用されたのはなぜでしょうか?

三浦:ロミオは、ロロのメンバーである亀島にお願いしたいと思ったんですが、ジュリエットについては、もっと「遠く」の人がいいと思ったんです。そこで、俳優ではなくミュージシャンにお願いしようと考えました。ジュリエットは、感情の起伏が激しく、怒鳴り散らしているかと思えば、急に可愛らしくなったりします。色々な表情のあるジュリエットというキャラクターは、後藤さんのキャラクターとも合うんじゃないかと思ったんです。

『ロミオとジュリエットのこどもたち』稽古風景
『ロミオとジュリエットのこどもたち』稽古風景

―後藤さんにとって、舞台作品は今回が2作目になりますね。以前に出演された舞台や映画では、セリフらしいセリフがほとんどない役が多かったのですが、今作はかなり多くのセリフがあります。

後藤:今年の夏に映画の撮影をしたんですが、そこでは標準語を話す役だったんです。せやからだいぶ慣れてきて、標準語のセリフにも抵抗がなくなりつつありますね。それに、以前は今よりも演技っていうものがどういうものかよくわかっていなくて、最近ようやく少しずつわかってきたのかもしれません。普段の日常で誰もがやってる「演技」があって、その延長で考えると、自然に演技に取り組めるようになってきました。

後藤さんの声には不思議な説得力がありますよね。後藤さんがセリフを話すと、戯曲からは読み取れない、「ジュリエットってこういう人なんだ」って発見があるんです。(三浦)

―演出家の目線から見ると、女優としての後藤さんの魅力はどこにあると思いますか?

三浦:感覚的な話になるんですが、歩いている姿が浮いているように見えるんです。重さを感じさせない、天使のような感じというか。後藤さんは意識しているわけではないと思いますが、そのような身体が素敵だなと思います。あとやっぱり、後藤さんの声には不思議な説得力がありますよね。シェイクスピアの戯曲には、「何でここでこんなこと言うの?」っていうセリフが多いんですけど、後藤さんが話すと、戯曲からは読み取れない説得力を感じるんです。それによって、「ジュリエットってこういう人なんだ」と発見したり、納得することがあるんです。

『ロミオとジュリエットのこどもたち』稽古風景
『ロミオとジュリエットのこどもたち』稽古風景

―今作は、その「声」をサンプリングして使っていたり、音楽的な側面が強い作品になりそうですね。

三浦:そうなんです。もともと僕自身、声というモチーフがとても好きで、声だけで「いい俳優だな」と思うこともあるくらいなんですよ。だから今作は、すべて後藤さんの声からイメージが膨らんで、作品の構成が生まれていきました。劇中にジュリエットの声が散らばって、それがサンプリングされてつなぎ合わされると1つの歌になるという構成を考えています。

―音楽を担当するのは□□□の三浦康嗣さんですが、彼もこれまでにままごとの『わが星』をはじめ、『ファンファーレ』や『F/Tモブ』など、演劇にも深く携わってきた音楽家です。

三浦:康嗣さんと話していると、色々なアイデアが浮かんできてクリエイションのやりがいを感じます。ジュリエットの声を集めるというアイデアも音楽的だし、古今東西の色々な作品を引用していく第2部では、音楽の力によってシーンをフレーミングしていきます。たとえば、船のような場所に男女がいて、セリーヌ・ディオンが流れると、そこは『タイタニック』の世界になってしまいますよね。音楽が作るフレームの力を利用することで、様々な作品の「ロミオとジュリエット」性を浮かび上がらせられるんです。

―まさに、声と音という二人の音楽家とのコラボレーションがなければ生み出されない舞台になりそうです。

三浦:そもそも、後藤さんに出演してもらうからには、後藤さんが歌う姿をお客さんに観てほしいと思ったのが音楽について考えるきっかけでした。ただ康嗣さんは、「できれば、劇中で音楽なんかかけないほうがいい」と言っています。だから今回は劇伴音楽としてではなく、芝居の流れとは全く別のレイヤーで音の物語が流れ、後藤さんの歌によって最終的に1つに束ねられることを目指しています。

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イベント情報

『あうるすぽっとシェイクスピアフェスティバル2014』
あうるすぽっとプロデュース
『ロミオとジュリエットのこどもたち』

2014年10月2日(木)~10月5日(日)
会場:東京都 池袋 あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本・演出:三浦直之(ロロ)
訳:松岡和子
音楽:三浦康嗣(□□□)
出演:
後藤まりこ
永井秀樹
長田奈麻
日高啓介
伊東沙保
田中佑弥
北村恵
重岡漠
島田桃子
板橋駿谷
亀島一徳
篠崎大悟
望月綾乃
料金:全席指定 一般3,500円 豊島区民割引3,000円 学生2,500円 障がい者割引2,000円
ロミジュリ割引6,000円(ペア券)

プロフィール

ロロ(ろろ)

三浦直之(主宰・脚本、演出)、板橋駿谷、亀島一徳、篠崎大悟、望月綾乃、森本華(以上俳優)、玉利樹貴(えかき)、坂本もも(制作)の8名。漫画・アニメ・小説・音楽・映画などジャンルを越えたカルチャーをパッチワークのように紡ぎ合わせ、様々な「出会い」の瞬間を物語化する。『芸劇eyes番外編「20年安泰。」』『F/T11公募プログラム』『KYOTO EXPERIMENT 10、11、12』『吾妻橋ダンスクロッシングファイナル』など、話題の企画に次々と登場し、現在までに短長編含めて30本の作品を発表。小説のリーディングや音楽ライブと融合した短編演劇、映画製作なども行ない、ジャンル横断で演劇の枠を拡張しながら活動している。三浦直之初監督映画『ダンスナンバー 時をかける少女』(製作:ロロ)が『MOOSIC LAB 2013』準グランプリ他3冠を受賞。代表作は『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』『LOVE02』『朝日を抱きしめてトゥナイト』など。

後藤まりこ(ごとう まりこ)

ロックバンド・ミドリでボーカルとギターを担当。2010年12月30日のライブを最後にバンドは突然解散。しばらくの沈黙の後、2011年12月27日に開催した自主企画イベントでソロとして再始動を果たし、7月にはソロ1stアルバム『299792458』をリリースする。同年8月からはロックミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に森山未來とともに出演し、その後『ペタルダンス』で映画初出演。2013年12月には自身が主演するドラマ『たべるダケ』のエンディングテーマに採用された“sound of me”を収録した2ndアルバム『m@u』を発表。今後も、唯一無二の存在として、多ジャンルにわたり精力的に活動予定。2014年11月12日にはアルバム『こわれた箱にりなっくす』をリリースする。

 

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