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三浦直之×後藤まりこ対談 古典に対する違和感と、どうつき合う?

三浦直之×後藤まりこ対談 古典に対する違和感と、どうつき合う?

インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:相良博昭

「遠いもの」に対して、どうすればつながれるかを考えているんです。そんな距離感によって、シェイクスピアという「歴史」を捉えるようにしています。(三浦)

―「三浦直之と後藤まりこ」「演劇と音楽」「現代とシェイクスピア」など、「距離感」は今作を作る上で最重要のキーワードになりそうですね。

三浦:そうですね。最初にお話した、『ロミオとジュリエット』に直接は感情移入できないというのが、「距離感」の一番大きな理由です。だからといって『ロミオとジュリエット』との距離を埋めるために、僕が歩み寄ることも、シェイクスピアをこちらに引き寄せることもしたくなかった。そうではなく、その距離とか遠さを織り込みながら作品を作れないかと考えました。ロミオとジュリエットの二人の距離の遠さを、僕が想像できないくらい遠くにいる人に当てはめられないか。別に恋愛関係でなく、演劇と音楽や、古典戯曲と現代演劇との遠さであっても構いません。そういった「遠いもの」に対して、どうすればつながれるかを考えているんです。そんな距離感によって、シェイクスピアという「歴史」を捉えるようにしています。

三浦直之(ロロ)

―では、後藤さんは、歴史に対してどのような距離感で接しているのでしょうか?

後藤:僕、ジャニス・ジョプリンがめちゃくちゃ好きなんですが、彼女のことは過去のものだと思っていないんです。音楽は、常に街中でかかっているし、CDでポンとかけられるから、いつでもその当時の彼らの声や演奏を聴ける。時代の隔たりを感じさせないで、いつでも生々しいものなんです。

―そのフラットな時間の感覚は演劇にはない部分ですね。演劇では、シェイクスピアが生きていた当時の上演を観ることはできないし、どのようなものだったかは誰にもわからないわけで。

三浦:そういう音楽と演劇の違いも面白いですよね。どちらもライブではあるけど、音楽には「音」があって、それは音源として刻みつけておける。一方で演劇はライブしかないし、そこでは正直演技が上手いとか下手とかじゃなくて、「人」がどんだけぶちまけられるか、みたいなところがあると思うんですよ。

後藤:確かにバンドマンは恥ずかしがり屋が多くて、モテたいくせにアピールするのは恥ずかしいって人が多いけど、役者の人は「俺モテたい!」って自分から手を挙げるような人が多い。それはすごい素直でいいことやと思います。

後藤まりこ

三浦:でも後藤さんこそホント、ぶちまけられる人ですよね。もっと演技とか稽古に慣れるのに時間がかかると思ったけど、全然そんなことなかったし、本番の幕が開いたらもう何個かスイッチ入るんじゃないかと期待してます。

語り継がれるよりも、さっさと忘れられたいと思っています。「忘れられるものなら忘れてみろ」と。(後藤)

―では最後にあらためて、今年で生誕450周年を迎えるシェイクスピアの戯曲を今やることの意味や刺激について、教えてください。

三浦:『ロミオとジュリエット』のように、男の人と女の人が出会って恋に落ちて、でもうまくいかない話は世の中にいっぱいありますが、僕はそういうストレートな物語が大好きなんです。その基礎を築いたという意味でも、シェイクスピアによって広められた、物語の「型」の強さは本当にすごいと思います。そしてその「型」を含め、シェイクスピアが残した「破片」は、僕の作品の中にも気づかない間に入り込んでいるかもしれない。僕自身もそんな「破片」を別の人に届ける1つの媒体になれるんじゃないかと思うし、もしそうなれるなら、作品を作る大きなモチベーションになります。僕が作るものの破片も、シェイクスピアと同じくらい長い時間にわたって受け継がれていってほしいですね。

後藤:僕は逆なところがあって、語り継がれるよりも、さっさと忘れられたいと思っています。「忘れられるものなら忘れてみろ」と。人間は常に他者の中で生きているから、誰にも影響しなかったり、誰からも影響を受けないで生きることは無理だと思っているんです。

後藤まりこ

―つまり、「忘れられたい」と言うのは、ある意味逆説的な表現?

後藤:表裏一体の気持ちです。「忘れてみろ」と思う反面、三浦さんと同じように「忘れられたくない」という気持ちも根底にあります。だから、そこはとても共通する部分ではないかと思います。

―なるほど。人は必ず人に影響を与えるし受けもする。その上で「忘れられるものなら忘れてみろ」と言える強さがすごいです(笑)。

三浦:そういう意味では僕は、自分はそこまで言えるオリジナリティーを持っていない人間だと思っているのかもしれないですね。だからこそ、自分が面白いと思ったものや型を、人に伝えていく、そういう人になりたいのかもしれません。

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イベント情報

『あうるすぽっとシェイクスピアフェスティバル2014』
あうるすぽっとプロデュース
『ロミオとジュリエットのこどもたち』

2014年10月2日(木)~10月5日(日)
会場:東京都 池袋 あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本・演出:三浦直之(ロロ)
訳:松岡和子
音楽:三浦康嗣(□□□)
出演:
後藤まりこ
永井秀樹
長田奈麻
日高啓介
伊東沙保
田中佑弥
北村恵
重岡漠
島田桃子
板橋駿谷
亀島一徳
篠崎大悟
望月綾乃
料金:全席指定 一般3,500円 豊島区民割引3,000円 学生2,500円 障がい者割引2,000円
ロミジュリ割引6,000円(ペア券)

プロフィール

ロロ(ろろ)

三浦直之(主宰・脚本、演出)、板橋駿谷、亀島一徳、篠崎大悟、望月綾乃、森本華(以上俳優)、玉利樹貴(えかき)、坂本もも(制作)の8名。漫画・アニメ・小説・音楽・映画などジャンルを越えたカルチャーをパッチワークのように紡ぎ合わせ、様々な「出会い」の瞬間を物語化する。『芸劇eyes番外編「20年安泰。」』『F/T11公募プログラム』『KYOTO EXPERIMENT 10、11、12』『吾妻橋ダンスクロッシングファイナル』など、話題の企画に次々と登場し、現在までに短長編含めて30本の作品を発表。小説のリーディングや音楽ライブと融合した短編演劇、映画製作なども行ない、ジャンル横断で演劇の枠を拡張しながら活動している。三浦直之初監督映画『ダンスナンバー 時をかける少女』(製作:ロロ)が『MOOSIC LAB 2013』準グランプリ他3冠を受賞。代表作は『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』『LOVE02』『朝日を抱きしめてトゥナイト』など。

後藤まりこ(ごとう まりこ)

ロックバンド・ミドリでボーカルとギターを担当。2010年12月30日のライブを最後にバンドは突然解散。しばらくの沈黙の後、2011年12月27日に開催した自主企画イベントでソロとして再始動を果たし、7月にはソロ1stアルバム『299792458』をリリースする。同年8月からはロックミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に森山未來とともに出演し、その後『ペタルダンス』で映画初出演。2013年12月には自身が主演するドラマ『たべるダケ』のエンディングテーマに採用された“sound of me”を収録した2ndアルバム『m@u』を発表。今後も、唯一無二の存在として、多ジャンルにわたり精力的に活動予定。2014年11月12日にはアルバム『こわれた箱にりなっくす』をリリースする。

 

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