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芸術は社会の役に立たないからこそ面白い 北川フラム×羊屋白玉

芸術は社会の役に立たないからこそ面白い 北川フラム×羊屋白玉

インタビュー
佐々木鋼平
テキスト・構成:萩原雄太 撮影:高見知香

『瀬戸内国際芸術祭』や『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』など、全国各地で開催される国際的なアートフェスティバルが勢いを増す一方、JR中央線沿線で様々なアートイベントを展開している地域密着のアートプロジェクトTERATOTERA(テラトテラ)は、都市ならではのアートの形を模索しつつ、高円寺から国分寺という「寺と寺」の間の人々を結びつけるべく、毎年『TERATOTERA祭り』を開催しています。

2月20日から22日の3日間開催される『TERATOTERA祭り Encounter -邂逅-』では、ジム・オルークと巻上公一によるライブパフォーマンス、泉太郎や和田昌宏といったアーティストによる展示やトークイベントなどさまざまなプログラムが予定されていますが、なかでも注目なのが三鷹・武蔵野芸能劇場で行われる『白玉村始末記』。劇団・指輪ホテル主宰の羊屋白玉とともに出演者としてクレジットされているのは「北川フラム」。そう、かの『瀬戸内国際芸術祭』『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』などを手がける大物アートディレクターの北川フラムが俳優として舞台デビューを飾ります。

今回のインタビューでは、なぜ北川フラムは舞台に出演することになったのか? なぜ羊屋白玉は彼にオファーをしたのか? それらのお話から発展して、日々アートディレクターとして表舞台に立ち続ける北川さん、ジャンルの枠にとらわれない羊屋さん、双方の表現に対する「本音」の部分に、すこしだけ近づけた気がします。

フラムさんには、華やかな俳優の身体がある。天才子役を手に入れたような気分です。(羊屋)

―『TERATOTERA祭り Encounter -邂逅-』で、羊屋白玉さんと北川フラムさんによる『白玉村始末記』が上演されます。ふだんは国際芸術祭のディレクターとして活躍される北川さんですが、どうして羊屋白玉さんの作品に「出演」することになったのでしょうか?

羊屋:じつは以前にも、千葉の市原湖畔美術館のオープニングイベントで、フラムさんに出演して頂いているんですよ。

北川:一応、一瞬出ていましたね……。

左から:北川フラム、羊屋白玉
左から:北川フラム、羊屋白玉

羊屋:湖畔美術館のある市原市の職員や町の人に協力してもらいながら、アンリ・マティスの『ダンス』や青木繁の『海の幸』といった有名絵画を演劇で再現するという作品だったんですが、そこで、ジョルジュ・スーラの『グランド・ジャット島の日曜日の午後』に描かれた、パイプをくわえて座っている水着の男性をフラムさんに演じてもらったんです。もう佇まいが完璧で、演技ができる人だなって確信しましたね。

―羊屋さんから見て、俳優としての北川さんの魅力はどこにあるのでしょうか?

羊屋:フラムさんって、普通に立っているだけでも華やかな感じがするんですよ。昨年『中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス』で、小湊鐵道という地元の電車を使って作品を上演したんです。フラムさんは総合ディレクターだったので何度も足を運んでくれたのですが、チケットが完売の日なんかは近くの駅のホームから観てくれている。でも、その姿がとても目立ってしまい、お客さんがみんなフラムさんのほうを見てしまうんです(笑)。そういう「俳優の身体」みたいなものをフラムさんは持っているんですよね。

市原湖畔美術館のオープニングイベントでパイプをくわえた男性を演じる北川フラム
市原湖畔美術館のオープニングイベントでパイプをくわえた男性を演じる北川フラム

―北川さんは、俳優の経験を積んだこともあるのでしょうか?

北川:まったくないです(苦笑)。東京に出てきたときに、劇団のまわりで少し手伝っていましたが、俳優はやっていませんでした。でも、若い頃に寺山修司さんから映画出演のオファーを頂いたことがありますよ。寺山さんとは昔よく草野球をやっていて、そのときにお話を頂いたんですが、当時は「とんでもない!」って断っていました。その後も、いろんなところから映画やテレビCMの出演依頼はいただいているんですが、そのたびに断っています。

―寺山修司を始めとする、あらゆるオファーが断られてきたなかで、羊屋さんは今、すごい逸材を手に入れたことになりますね(笑)。

羊屋:天才子役を手に入れたような気分です(笑)。前回は屋外でしたが、今回の『TERATOTERA祭り』は、武蔵野芸能劇場というステージ上だから、フラムさんにとっては本当の俳優デビューですね。

『TERATOTERA祭り Encounter -邂逅-』メインビジュアル
『TERATOTERA祭り Encounter -邂逅-』メインビジュアル

―『白玉村始末記』は羊屋さんと北川さんの二人芝居ということですが、どんな内容になるのでしょうか?

羊屋:現時点で詳細は決まっていませんが、白玉村にアートディレクターのフラムさんがやってきて……というイメージはあります。フラムさんはいろいろできるということがわかっているので、ちゃんとした台詞も用意してますよ。

北川:え? 台詞もあるの?

羊屋:普通の台詞ではなく、フラムさんが普段考えているようなことを喋ってもらったほうがいいと思っています。指輪ホテルで作るときも、なるべくその俳優が思っていることを話してほしいんです。私は俳優が「化ける」というのをあまり信じてなくて。役ではなく、あくまでもその人でしかないと思っているので、そのままのフラムさんでいてほしいんです。

―そのままでいいとはいえ、新人俳優としては大変なプレッシャーなのではないでしょうか?

北川:日常の延長で稽古をしながら本番の日を迎えると考えています。公演のことを考えると「お客さんがちゃんと来てくれるだろうか?」とどうしても憂鬱になりますが(苦笑)、出演することがプレッシャーになっているわけではありません。

羊屋:私は何の心配もなく、大船に乗っているつもりですよ。

北川:僕も大船に乗っています。

―二人とも余裕ですね(笑)。

羊屋:もし沈んでしまったら……そのときは泳げばいいんですよ(笑)。

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イベント情報

『TERATOTERA祭り Encounter -邂逅-』

2014年2月20日(金)~2月22日(日)
会場:東京都 三鷹 武蔵野芸能劇場(小ホール、小劇場)、東海大学望星学塾柔道場、空店舗など三鷹駅北口周辺各所

アート展示
2015年2月20日(金)~2月22日(日)11:00~19:00
会場:東京都 三鷹 武蔵野芸能劇場など三鷹駅北口周辺各所
参加作家:
泉太郎
出津京子
太田祐司
東野哲史
山本篤
和田昌宏
料金:無料

ライブ
2015年2月21日(土)OPEN 13:00 / START 13:30
会場:東京都 三鷹 東海大学望星学塾柔道場
出演:
巻上公一
ジム・オルーク
定員:60名
料金:1,500円

パフォーマンス
『白玉村始末記』

2015年2月21日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 三鷹 武蔵野芸能劇場(小劇場)
作・演出:羊屋白玉(指輪ホテル)
出演:
羊屋白玉
北川フラム
定員:150名
料金:2,300円

映像上映
『10×10』

2015年2月22日(日)13:00~14:40
2015年2月22日(日)17:30~19:10
会場:東京都 三鷹 武蔵野芸能劇場(小劇場)
参加作家:
泉太郎
井出賢嗣
大木裕之
小鷹拓郎
鷺山啓輔
柴田祐輔
鈴木光
地主麻衣子
山本篤
和田昌宏
定員:130名
料金:1,000円

トーク
『アートプロジェクトで789(なやむ)』第5回

2015年2月22日(日)15:00~17:00
会場:東京都 三鷹 HYM(ハモニカ横丁ミタカ)
出演:
泉太郎
出津京子
太田祐司
東野哲史
山本篤
和田昌宏
定員:40名
料金:500円

『東京スープとブランケット紀行 対談紀行 2015年春篇』

2015年3月8日(日)14:00~(13:30開場)
会場:東京都 秋葉原 3331 Arts Chiyoda 1Fコミュニティスペース
出演:
羊屋白玉
伊藤馨
ゲスト:
阿部健一
南部昌平
長島確
料金:1,000円(青ヶ島ブランケットブックレット、江古田スープ付き)
※先着60名、要申込、中学生以下無料

プロフィール

北川フラム(きたがわ ふらむ)

1946年新潟県生まれ。アートプロデューサー、ディレクター。東京藝術大学卒業。主なプロデュースとして、『アントニオ・ガウディ展』(1978-1979)、『子どものための版画展』(1980-1982)、『アパルトヘイト否!国際美術展』(1988-1990)など。地域作りの実践として『瀬戸内国際芸術祭』『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』などの総合ディレクターをつとめ、2006年度『芸術選奨文部科学大臣賞(芸術振興部門)』受賞。

羊屋白玉(ひつじや しろたま)

1967年北海道生まれ。「指輪ホテル」芸術監督。劇作家、演出家、俳優。主な作品は、2001年同時多発テロの最中、ニューヨークと東京をブロードバンドで繋ぎ同時上演した『Long Distance Love』。2006年『Candies』北米ヨーロッパツアー。2012年『洪水』ブラジル4都市ツアー。2013年『瀬戸内国際芸術祭』では海で、2014年『中房総国際芸術祭』では鐵道で上演した『あんなに愛しあったのに』。2006年『ニューズウイーク日本誌』において「世界が認めた日本人女性100人」の1人に選ばれ表紙を飾った。現在、カフカの『断食芸人』国内ツアー中。2015年夏、『越後妻有トリエンナーレ』に新作を発表。「アジア女性舞台芸術会議」設立準備中。

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