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さかいゆう、孤独を極めた先で得た一流ミュージシャンからの信頼

さかいゆう、孤独を極めた先で得た一流ミュージシャンからの信頼

インタビュー・テキスト
阿部美香
撮影:田中一人
2015/02/04

努力しちゃうとダメなんです。努力しちゃうと下手になる。演奏を楽しめず、それを努力と感じてしまうようなら、きっと向いてないんですよ。

―ロスではどんな生活をされていたんですか?

さかい:まずはひとりでライブを観に行ってましたね。次第に自分でもライブがやりたくなったんですけど、ミュージシャンとしての実績はなにもないからブッキングもしてもらえないし、ストリートなら誰の迷惑にもならないだろうと思ってストリートライブを始めました。でも当時は歌しかやってなかったから、自分でも楽器を弾かなきゃと思ってピアノを始めたんです。

―さかいさんといえば、ライブで鮮やかにピアノの弾く姿を思い浮かべますが、渡米するまで楽器経験はなかったんですか?

さかい:学生時代にギターをちょっと触ったことくらいはありますけど、すぐに挫折しました(苦笑)。僕、人より相当指が短くて、片手を目一杯開いてぎりぎり9度(ドから1オクターブ上のレまで)届くくらいなんですよ。そのくらい、僕は楽器に向いてない。

―ちなみに、なぜピアノを選ばれたんですか?

さかい:スティーヴィー・ワンダーとか、好きなミュージシャンに鍵盤の人が多かったからですね。あとは、ストリートでやっている人の中に、キーボードの弾き語りはほとんどいなかったから、路上に鍵盤置いて歌ったら目立つだろうなと(笑)。

―ロスに滞在してた1年間は、どうやって生活されていたんですか? 英語はしゃべれたのでしょうか?

さかい:英語力はほぼゼロの状態で行って、学生ビザで入国していたからアルバイトもしちゃいけなかったので、ダウンタウンでストリートライブをやりながら生活費を稼いでました。1日20~30ドルくらいしか稼げないときもあったけど、多いときは200ドルくらいもらえましたよ。見ず知らずの人がオリジナル曲をやったところで誰も聴いてくれないから、黒人が来るとブラックミュージックのヒット曲をやって、白人が来ればThe Beatlesをやって、その場にいる人に合わせてカバー曲を演奏してました。

―渡米されてようやくピアノを始められたのに、そんなにすぐに生活費を稼げるほど弾けるようになるんですか?

さかい:とにかく練習してました。半年くらいはコードもよく知らずに弾いて。大人になってから始めるものって、理屈から入っちゃダメなんですよね。理屈を知ると上手くなった気がするけど、コード覚えたって演奏は上手くならない。そんな暇があるなら、曲を完コピしたほうが全然いい。コピーした曲の一部を替えてみたりすることで、作曲も覚えられますしね。才能があるかないかよりも、やり方が重要な気がします。

―努力の仕方、ということでしょうか?

さかい:これがねぇ……努力しちゃうとダメなんです。むしろ下手になる。演奏を楽しめず、それを努力と感じてしまうようなら、きっと向いてないんですよ。「もっと弾きたい。時間が足りない」と思いながら必死に練習して、夜にぶっ倒れて、朝起きたら弾けている。それが理想。僕のアメリカ時代の前半は、毎日そんな感じでした。

さかいゆう

―ロスに音楽仲間はいらっしゃったんですか?

さかい:ほとんどいませんでしたね。なんせ変わってたから、僕は(苦笑)。

―自らおっしゃいますか!?

さかい:うん……今もそういうところが多少はあると思うんですけど、当時は相当付き合いづらいヤツだったと思いますよ。「この人ちょっと違うな?」と思ったら絶対に付き合わないし、時間はとにかく自分のために使いたい。パーティーなんかの誘いも全部断ってました。

―ストイックに音楽漬けの生活を続けていた。

さかい:「ただ楽しむために俺はアメリカに来たんじゃない。ミュージシャンとして1ステージでも2ステージでもなく、5ステージ上に行くために来たんだ」と思ってましたからね。当時の自分には、プロになれるだけの器はまるでなかった。5ステージ上がってやっと「プロの赤ちゃん」になれるだろうと思っていたんです。しかも僕は、日本に帰ってプロとして一緒に演奏したい人がいて、「鍵盤を覚えて帰るので、スタジオミュージシャンとして雇ってください」とお願いしてたから、その人がほしい音を弾けるようになるために集中して練習してました。

―さかいさんのロス行きは、その方と共演するための修行だったと。孤独感はなかったですか?

さかい:ないです。音楽でいっぱいいっぱい。それでも時間が足りないくらいでした。

練習もしないで人が集まるところに顔を出したり、飲みに行ったりして、人脈を広げようとするミュージシャンっているでしょう? それは意味がないと思うんです。

―そして東京に戻られたのが2002年。メジャーデビューされたのが2009年、29歳のときですよね。その7年間のあいだは?

さかい:長かったですよね。最初は、共演したかった人のもとで2年間ほど一緒にやり、その後1~2年くらいはスタジオミュージシャンをやってました。そこからは、インディーズでお給料をもらいつつ、バイトをしながら3~4年、自分の音楽のことだけを考えてました。

―さかいさんは、バンドを組んだり、グループ活動をしようと思ったことはないんですか?

さかい:なかったですね、そもそも向いてないですし。結局誰かとやろうとしても、ワンマンバンドになっちゃうんですよ。子どもの頃から、野球、サッカー、バレーとか、団体競技やチームプレーは苦手でした(苦笑)。

―ミュージシャンの中で、「絶対バンドは組まない」って人いらっしゃいますよね。

さかい:山下達郎さんがそうじゃないですかね。でも、小田和正さんは「バンドを組め」って人に言うらしいんですよ。佐藤竹善さんとかソロとしてもやりつつバンドも組んでいる人に対して、「バンドを大事にしろよ」って。

―なるほど。さかいさんは、その中でもどちらかというとソロ寄りだと。

さかい:どちらかというとではなく、絶対的にソロ寄りです(笑)。音楽も共同作業は苦手ですから。自分のペースを人に押しつけるのは嫌なので。

―そうおっしゃるさかいさんは、「ミュージシャンに好かれるミュージシャン」として数多くの方とのコラボレーションに取り組んでいらっしゃいます。その結晶が、初のコラボアルバム『さかいゆうといっしょ』になったわけですが……今のお話を聞くと、バラエティーに富んだ錚々たるみなさんと共演されていること自体が、とても不思議に感じます。


さかい:それはですね……なんか説教臭くなってしまいそうで嫌なんですけど、思っていることを素直に言わせてもらうなら、練習もしないで人が集まるところに顔を出したり、飲みに行ったりして、人脈を広げようとするミュージシャンっているでしょう? それは意味がないと思うんです。

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リリース情報

さかいゆう『さかいゆうといっしょ』初回限定盤(CD+DVD)
さかいゆう
『さかいゆうといっしょ』初回限定盤(CD+DVD)

2015年2月4日(水)発売
価格:3,996円(税込)
AUCL-175/176

[CD]
1. SHIBUYA NIGHT(featuring TOMOYASU TAKEUCHI) / さかいゆう
2. 生まれてきてありがとう feat. さかいゆう / KREVA
3. 記念日 feat. さかいゆう / マボロシ
4. ピアノとギターと愛の詩(うた)/ 大橋卓弥(スキマスイッチ)
5. シロクジ feat.さかいゆう / KOHEI JAPAN
6. Magic Hour feat. さかいゆう / RHYMESTER
7. LOVE & LIVE LETTER / 福耳
8. いつもどこでも feat. さかいゆう / 冨田ラボ
9. Hold You feat. Yu Sakai / Ovall
10. ピエロチック feat. 秦基博 / さかいゆう
11. Life is feat. Emi Meyer / さかいゆう
12. 薔薇とローズ feat. Little Glee Monster / さかいゆう
13. Mirror feat. お客さん / さかいゆう
14. 闇夜のホタル feat. 日野皓正 / さかいゆう
[DVD]
1. OPENING
2. SHIBUYA NIGHT feat. 竹内朋康
3. EMERGENCY feat. 竹内朋康
4. Life is feat. Emi Meyer
5. 愛するケダモノ feat. TOKU
6. ピエロチック feat. 秦基博
7. 薔薇とローズ

さかいゆう『さかいゆうといっしょ』通常盤(CD)
さかいゆう
『さかいゆうといっしょ』通常盤(CD)

2015年2月4日(水)発売
価格:3,186円(税込)
AUCL-177

1. SHIBUYA NIGHT(featuring TOMOYASU TAKEUCHI) / さかいゆう
2. 生まれてきてありがとう feat. さかいゆう / KREVA
3. 記念日 feat. さかいゆう / マボロシ
4. ピアノとギターと愛の詩(うた)/ 大橋卓弥(スキマスイッチ)
5. シロクジ feat.さかいゆう / KOHEI JAPAN
6. Magic Hour feat. さかいゆう / RHYMESTER
7. LOVE & LIVE LETTER / 福耳
8. いつもどこでも feat. さかいゆう / 冨田ラボ
9. Hold You feat. Yu Sakai / Ovall
10. ピエロチック feat. 秦基博 / さかいゆう
11. Life is feat. Emi Meyer / さかいゆう
12. 薔薇とローズ feat. Little Glee Monster / さかいゆう
13. Mirror feat. お客さん / さかいゆう
14. 闇夜のホタル feat. 日野皓正 / さかいゆう

イベント情報

『さかいの湯 Vol.3「さかいゆうといっしょ」スペシャル』

2015年3月13日(金)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 EX THEATER ROPPONGI
出演:
さかいゆう
ゲスト:
KOHEI JAPAN
土岐麻子
RHYMESTER
Little Glee Monster
料金:5,400円(ドリンク別)

プロフィール

さかいゆう

2009年にシングル『ストーリー』でデビュー。2014年は話題の楽曲“薔薇とローズ”収録の3rdアルバム『Coming Up Roses』がオリコンデイリーチャート5位にランクインした他、映画『LOVE SESSION』で初主演も果たし話題を集める。11月には初の中野サンプラザホールを含む大阪・東京でのスペシャルライブも開催。唯一無二の歌声と、SOUL・R&B・JAZZ・ゴスペル・ROCKなど幅広い音楽的バックグラウンドをポップスへと昇華させる、オリジナリティー溢れるサウンドが魅力の男性シンガーソングライター。2015年2月4日(水)に初のコラボレーションアルバム『さかいゆうといっしょ』をリリース。

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