インタビュー

ヘタクソでも宿るロックの輝き THE BOYS&GIRLSインタビュー

ヘタクソでも宿るロックの輝き THE BOYS&GIRLSインタビュー

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:田中一人
2015/04/20

「なんか上手く言えないんですよね」。THE BOYS&GIRLSのワタナベシンゴは何度もそう繰り返していた。いや、彼だけじゃない。この四人は皆そうなのだ。彼らはTHE BOYS&GIRLSの音楽について語る際、さまざまな言葉を尽くしてはみるものの、結局はそのフィーリングをどう説明したらいいのかわからないという。そして、これほどに単純明快で情熱にあふれたメジャーデビュー作『バックグラウンドミュージック』を完成させていながら、ワタナベは自分たちが「ロックバンド」だと名乗ることに、少しだけ躊躇を見せるのだ。彼いわく、その理由はこういうことらしい。「だって、そんなことを言ったら本物のロックンローラーに怒られそうじゃないですか」。

もしかすると、札幌在住のこの四人はまだ気づいてないのかもしれない。自分たちがもうすでにロックンロールのど真ん中を射抜いているということに。過去のロックンロールがそうだったように、ロックンロールが醸し出すフィーリングとは、上手く説明しようとすればするほどにもどかしくなるもの。そして彼らの1stアルバム『バックグラウンドミュージック』に詰め込まれているのも、やはりその「なんか上手く言えない」気持ちなのだ。メジャーデビューを目前に控えた彼らに、その思いの丈を語ってもらった。

ちゃんと自分のことを歌いたいと思ったんです。生活している中で起きたことを、ちゃんと歌にしたかった。(ワタナベ)

―こうしてライブで頻繁に訪れるようになるまで、みなさんは東京にどんな印象を持ってましたか?

ワタナベ(Vo):俺はこのバンドのライブで初めて東京に来たんですけど、そのときは知らない街に行くというだけでドキドキしてたし、しかも飛行機に乗っていくわけですから、ホント刺激的でしたね。「東京は冷たい街だ」みたいな悪いイメージもなかったし。むしろ、こうしてライブで訪れるようになって、自分たちのことを知ってくれる人が徐々に増えてきてから、東京が大好きになりました。

THE BOYS&GIRLS(左から:カネコトモヤ、ワタナベシンゴ、ケントボーイズ、ソトムラカイト)
THE BOYS&GIRLS(左から:カネコトモヤ、ワタナベシンゴ、ケントボーイズ、ソトムラカイト)

―今回の1stアルバムには、東京の景色を描写した楽曲がいくつかありますよね。だから、こうして札幌と東京を行き来するようになったのは、ワタナベさんにとってはきっとものすごく大きな出来事だったんだろうなって。

ワタナベ:確かにそうかも。東京に限らず、自分が知らない地域を訪れたときは、空いてる時間にその街をぶらぶらしてみるんですよ。そうすると、各地でグッとくるポイントが見つかって、おのずとそういうことを歌う曲が増えていって。でも……ホントわからないんですよね。今月は広島や九州にも行ってきたんですけど、初めて行くところでもみんな受け入れてくれるから。なんでだろうって。

―このバンドの魅力が音源で届いてるってことなんじゃないですか?

ワタナベ:でも、僕らはまだシングル2枚しか出してないし、しかもそのうち1枚は北海道限定ですからね。まだまだそんなに伝わってるはずがないんですよ。だから、どうして会場に足を運んでくれて、一緒に盛り上がってくれるのか、僕らもイマイチ掴めてないんです。ただ、どこか知らない街の誰かが俺たちの音楽を聴いてるってことだけは、今ひしひしと感じてて。

―あきらかにバンドを取り巻く状況は変わってきているようですね。そのTHE BOYS&GIRLS(以下、ボイガル)は結成4年目ですが、それ以前にワタナベさんとソトムラさんは「theパン工場」というバンドを一緒にやられていたんですよね。

ワタナベ:はい。そのバンドでは、(カネコ)トモヤさんにサポートでドラムをやってもらってたこともあって。

―カネコさんはシンガーソングライターとしてローカルCMに楽曲を提供していたりと、そちらも力を入れて活動されてたようですね。

カネコ(Dr):いやいや(苦笑)、そんな大したことではなかったですよ。むしろ、「弾き語りはもういいや」と思ってたくらいのときに、theパン工場のドラムをヘルプで叩かせてもらえることになったんです。そうしたらもう、「こんなに楽しいことがあるのか!」と。まあ、失敗だらけでしたけどね。

―theパン工場を解散させて、新しいバンドを結成させることにしたきっかけは何だったんでしょう?

ワタナベ:なんていうか……ちゃんと自分のことを歌いたいと思ったんです。たとえば、theパン工場には“おっきい声”っていう、ただひたすら<おっきい声出したい!>と繰り返すだけの歌があったんですけど、わかりやすいからお客さんも喜んでくれるし、当時はそれだけでよかった。でも、そのtheパン工場を終わらせる頃には、自分が作る曲もちょっとずつ変わり始めてたんです。

―その当時から一緒に演奏していたソトムラさんは、ワタナベさんが作る楽曲の変化をどのように感じていましたか?

ソトムラ(Ba):ボイガルを始めたときに、特に「こういうことがやりたい」みたいな話し合いはしなかったんですけど、実際に彼が持ってくる曲は、やっぱりそれまでのものとは全然違ってました。だから、結成当初は「一体どういうことがやりたいんだ?」ということを汲み取るので精一杯でしたね。今の「ちゃんと自分のことを歌いたい」という話だって、僕も今ここで初めて聞いたので(笑)。

ワタナベ:確かに「こういう曲が作りたい」みたいな話はしたことなかったよね。というか、しなくてもいいと思ってた(笑)。

―「ちゃんと自分のことを歌いたい」とは、具体的にどういうことを歌いたかったのでしょう?

ワタナベ:生活している中で起きたことを、ちゃんと歌にしたかったんです。

―元・theパン工場の二人とカネコさんに、ケントボーイズさんが加わって、ついにこの四人が揃うわけですが。前回のインタビューでワタナベさんが言っていたのは、ケントさんは先輩から「世界で一番ヘタクソなギタリスト」と紹介されたとか……。

ケント(Gt):はい(苦笑)。

―でも、ヘタだと言われながらも、結果として一緒に活動することになったのは、ケントさんに演奏力以上の何かを見出したってことですよね?

ワタナベ:いや、僕は普通に上手いギタリストを求めてました(笑)。それこそライブを見た人から「あの人、すごいね!」と言われるようなギタリストがいいなって。変な話、やる気とかなくてもいいから(笑)。

カネコ:でも、そのやる気がすごかったんだよねぇ(笑)。もう、手からめちゃくちゃ血を流しながら、必死でギター弾いちゃってるんだから。

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リリース情報

THE BOYS&GIRLS『バックグラウンドミュージック』通常盤(CD)
THE BOYS&GIRLS
『バックグラウンドミュージック』通常盤(CD)

2015年4月22日(水)発売
価格:2,916円(税込)
VICL-64189

1. せーので歌うバラード
2. すべてはここから
3. 歩く日々ソング
4. 錆びないダイヤ
5. 二子玉川ゴーイングアンダーグラウンド
6. メル
7. 今日のうた
8. 24
9. ライク・ア・ローリング・ソング
10. あすなろたち
11. パレードは続く

THE BOYS&GIRLS『バックグラウンドミュージック』完全生産限定盤(CD)
THE BOYS&GIRLS
『バックグラウンドミュージック』完全生産限定盤(CD)

2015年4月22日(水)から北海道限定発売
価格:2,916円(税込)
NCS-10094

1. せーので歌うバラード
2. すべてはここから
3. 歩く日々ソング
4. 錆びないダイヤ
5. 二子玉川ゴーイングアンダーグラウンド
6. メル
7. 今日のうた
8. 24
9. ライク・ア・ローリング・ソング
10. あすなろたち
11. パレードは続く
12. BGM

イベント情報

viBirth × CINRA presents『exPoP!!!!! volume79』

2015年5月28日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
THE BOYS&GIRLS
雨のパレード
and more
料金:無料(2ドリンク別)

『THE BOYS&GIRLS ワンマン「少年少女のBGM」』

2015年6月26日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:北海道 札幌 COLONY

2015年7月5日(日)OPEN 18:00 / START:18:30
会場:東京都 下北沢 BASEMENT BAR

プロフィール

THE BOYS&GIRLS(ざ ぼーいず あんど がーるず)

2011年3月結成。北海道出身・札幌在住、ワタナベシンゴ(歌)、ケントボーイズ(ギター)、ソトムラカイト(ベース)、カネコトモヤ(ドラムス)による、4人組のロックバンド。彼らがその日々の暮らしの中で紡ぎだしたリアルな言葉たちとわかりやすいメロディーラインは、いったいどこまで歩いていくのだろう。4人の熱い熱いライブパフォーマンスはとにかく必見。そのほとばしる汗と、シャウトと、笑顔が、きっといつかの自分たちを、あの瞬間を、何度だって思い出させてくれる。だれもみな、少年少女なんだ。

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