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「すべてをのみこんで吐き出す」カイブツ木谷友亮インタビュー

「すべてをのみこんで吐き出す」カイブツ木谷友亮インタビュー

インタビュー・テキスト
阿部美香
撮影:永峰拓也 企画協力:アドビシステムズ

何かを表現するときには、ちゃんと内側に自分らしさを持っていないと、見た人が何も感じてくれないと思うんです。

―手描きと一口に言っても、絵柄も技術も異なる方々にお願いしているので絶妙なバランスを楽しめる作品になっていますよね。

木谷:そうですね。途中でCGの部分もありますが、そこはアドビらしさを見せるためにあえてそうしています。僕はあまりAdobe Creative Cloudの機能を使いこなせていないのですが、一緒に仕事した若い人たちは、何を操作しているかわからないぐらいたくさんの機能をスイスイ使いこなしていて……。年齢を感じました……。

―木谷さんのクリエイターとしての積み重ねが反映されているんでしょうか?

木谷:僕は、グラフィックの制作プロダクションのアドブレーンに就職し、2年後に電通IC局に出向させていただいて、その後カイブツを立ち上げて今に至ります。まだまったく偉そうにクリエイターについて語れるような存在ではないですが、結局はいろいろなものとの出会いと解釈、そしてそれをどう自分の表現に昇華していくのか、ということが大切だと思うんです。その積み重ねでデザイナーそれぞれの個性や矜恃が形成されていくのだと考えています。

『色を喰うアクマ』の絵コンテ資料

『色を喰うアクマ』の絵コンテ資料

―映像の中では、アクマが全ての色を吸い込んで巨大化して、再びモノクロの世界で無機質な惑星の上にぽつんと佇みますね。

木谷:もう自分が知ることがない、ということが起きるのかどうかわかりませんが、そうなったら絶望だよな、と。そうなったら最後、それまでに吸収してきたことを一気に解放するような、大きな作品を1つ残したい。

―それが、大きくなったアクマが、口からものすごい奔流を吐き出し、吐き出された色たちによって世界が満たされるシーン?

木谷:はい。これまでに僕は仕事をたくさんやらせていただいていて、どれも必死に取り組んでいるつもりではあるのですが……。時々、仕事をたくさんしているわけじゃないんだけど、1年に1つ、ものすごい仕事をやってのけてしまう人を目の当たりにするんです。そういうのを見ていると、コツコツずっとやり続けることも大事だけど、見た人が本気で驚くような大きなモノを1つ作ることも大事なのかな? と、最近思うようになって。

―なるほど。

木谷:今までためた力を一気に放出するような、全力の作品を人生で1つ残したい。それが僕だけじゃなくて、クリエイターの一生なのかな? とふと思ったんです。結局、我々は好奇心の塊でできている。美術館に行くとか、そういうわかりやすいインプットもいいと思いますが、生活のさまざまなことから好奇心を満たしている。『色を喰うアクマ』は、好奇心によって駆動してきたクリエイターの一生を描いた作品だということです。僕の根底を支えるモチベーションと、それを鮮やかに実現するAdobe Creative Cloudならではの新しい技術をマージした表現を行いました。Adobe Creative Cloudには、僕がこれまで抱いていたアドビ製品のイメージもいい意味で覆されましたしね。

『色を喰うアクマ』の絵コンテ資料

―どう覆されたのでしょうか?

木谷:僕の中でアドビというと、やっぱり自分が使い続けてきたPhotoshopやIllustratorといった単体のソフトウェアのイメージが強かったんです。正直に言ってしまうと、今回のイメージムービー制作のお話をいただいたときも、Adobe Creative Cloudというサービスは「今まで単体で買っていたソフトが、まとめて定額制で使えるようになったんだな」程度の理解だったんですよ。でも実際に試してみたら、そんな程度の違いじゃなかった。Adobe Creative Cloudはスマートフォンアプリと既存のソフトを連携して、まるで別物のようなサービスに進化を遂げていたんだなと。ちなみに今回のムービーには、スマホ写真をベクター化できるAdobe Shape CCのほか、スマホのカメラで撮影した被写体の色を映像に反映するAdobe Hue CCというアプリも使用しています。僕が今までアドビ製品を使ってきた中で一番の特徴だと感じているのも「色」を操ることだったので、『色を喰うアクマ』のコンセプトにもぴったりでしたね。

―企業発信の映像表現において、ここまで自分自身をダイレクトに投影した作品というのも珍しいですよね?

木谷:ただ、どんなケースであったとしても、何か表現するときには、ちゃんと内側に自分らしさを持っていないと何も作れないと思うんですよね。広告は時代のトレンドに影響されるものだと思いますが、いくら流行しているからといって、見よう見まねでやってみても、ただそれっぽいだけで、見た人も何とも感じてくれないと思うんです。作ったものには、自分の好き嫌いがしっかりと内包されているべき。Adobe Creative Cloudはその意味で、自分自身が持っているものをとてもぶつけやすい題材でした。

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作品情報

『色を喰うアクマ』

2015年8月25日(火)公開
監督:山川裕史(Spoon.)
企画:木谷友亮(カイブツ)
音楽:高木正勝
プロデューサー:石橋健太郎(Spoon.)
企画制作:東急エージェンシー / TOTB カイブツ Spoon.

Adobe Creative Cloud

アドビ社の提供するすべてのクリエイティブ製品(アプリケーション)を利用できる年間契約サービス。 すべての製品はバージョンCC(クリエイティブクラウド)となり、ダウンロードしてインストールできるほか、更新された新機能はオンラインを通じてソフトウェアをアップデートすることで利用可能。さらに、ファイル共有、共同作業、配信に役立つ各種オンラインサービスにもアクセスできる。2013年8月15日より単体製品のみの購入プランが加わり、業務に必要なアプリケーションが限定されている場合には、通常版よりコストを抑えることができる。

プロフィール

木谷友亮(きたに ゆうすけ)

1976年千葉県生まれ。工業高校~大学機械工学科~デザイン専門学校卒業。グラフィック広告の制作会社アドブレーンに入社。電通IC局への出向を経て、2005年独立。2006年株式会社カイブツを設立。

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