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もっと流行ってもいい。想像を超えるコンテンポラリーダンス入門

もっと流行ってもいい。想像を超えるコンテンポラリーダンス入門

インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:永峰拓也

コンテンポラリーダンスもノイズミュージックも、想像を超える「ファックなもの」を体験したいという欲求で観に行ってます。(本山)

―主に広告の世界で映像を使った表現を行う本山さんにとって、コンテンポラリーダンスから、自身の創作に影響を受けることもありますか?

本山:広告ってよくも悪くも説明責任があるんです。表現をすべて言葉に置き換えられないといけない。ただ、すべて言語化できる広告って、見ている人には響かないんです。特に今、テレビCMだけじゃなくウェブ動画も普及しているし、いったんウェブに上がってしまえば、どんな広告も「コンテンツ」としてのパワーが求められる。僕は編集しているときに、コンテンツとしての強度が足りないと「全然ファックじゃない」「もっとファックな感じにしたい!」と言うんです。その「ファックな感じ」を、コンテンポラリーダンスからもらっています。

左から:川村美紀子、本山敬一

―それは、ノイズミュージックにも通ずる部分でしょうか?

本山:そうかもしれませんね。僕の中でコンテンポラリーダンスもノイズミュージックのライブも、想像を超える「ファックなもの」を体験したいという欲求で観に行っています。昔、大友良英さんのライブで、6人くらいのギタリストがステージ上に並んで、3分に1音くらいしか演奏しないようなライブがあったんです。僕は相変わらず「めっちゃ帰りたい……」と思いながら観ていたんですが、今思えば、他のライブよりもこのライブのほうがはるかに記憶に残っているんですよね。

コンテンポラリーダンスに、いかに興味を持ってもらえるかについてはいつも考えていますが、観ないとわからない部分がどうしてもある。(長谷川)

―ここ数年、義務教育にもストリートダンスが加わり、ダンス教室が盛り上がりを見せています。またそれとともに『Dance Dance Dance @ YOKOHAMA』のような、さまざまなダンスをボーダレスで取り上げるイベントが増えるなど、ダンスを踊ることも観ることもかつてより身近になっています。表現者として、あるいは観客として、これからコンテンポラリーダンスをもっとおもしろくしたり、シーンを活性化していくためにはどのようなことが必要だと思いますか?

長谷川:コンテンポラリーダンスを観に来てもらうのはなかなか難しいですよね。いかにして興味を持ってもらえるかについてはいつも考えていますが、観ないとわからない部分がどうしてもある。ただ、『Dance Dance Dance @ YOKOHAMA』のように、いろんなダンスを観られるイベントが増えているのは表現者としても素敵なことだと感じています。ダンスがどんどん身近なものになってきているので、そこからさらにいろいろな作品を観てほしいです。その中で、きっと好きなモノに出会えたり、新しい発見や衝撃を見つけられるのではないでしょうか。

長谷川達也

川村:でも日々の生活の中で、人々が「これいいな」って、何かを大切に思える感情を自覚できる環境が増えていかないと、コンテンポラリーダンスも広がらないんじゃないかと思います。いくら「ダンスやってるよ」「おもしろいよ」「観に来てよ」と言っても、ダンスをおもしろいと思える気持ちが持てない生活をしていたら意味がないと思うんです。

―つまり、劇場に足を運ぶ以前の生活から、ゆとりを持てなければならない、と。

川村:いくら「絵を買ってくれ」って言っても、絵を飾るような環境になかったら買わないのと同じです。

―本山さんはいかがでしょうか?

本山:ロベール・ブレッソン(1901〜1999年)というフランスの映画監督は、著書『シネマトグラフ覚書―映画監督のノート』(筑摩書房)で、「人は動くものを見るのが大好きだ」と語っています。僕には1歳半の子どもがいるんですが、やっぱり踊りとか動くものを見ているのが大好きなんです。人には「運動量の大きいものを見たい」っていう本能があるんでしょう。

―「ダンスを見たい」という欲求は、本能に根ざした行為なんですね。

本山:僕は単純にコンテンポラリーダンスってすごい表現だと思っているし、もっと流行ってもいいと思っている。ただ、あえて厳しいことを言うならダンス作品って、映像の創り方が下手なものが多いですよね……(笑)。

―クリエイターとしての率直な意見ですね。たしかに、公演の記録という意味でしか映像を残していないカンパニーも多く、映像メディアにこだわっている例は少ないのが現状です。

本山:LA LA LA Human Steps(カナダを拠点とする世界的なコンテンポラリーダンスカンパニー)の『アメリア』っていうDVDは、「2ちゃんねる」でも「こんな美しい表現はない!」ってバズったことがあります。ちゃんと演出を計算して撮れば、普段まったくダンスを観ないような人たちにもそのすごさが伝わるんですよ。けど、公演を観に行って感動してDVDを買って帰っても、だいたい何も伝わってこないような舞台の撮りっぱなしに近い映像になっている……。そういう意味では映像の見せ方を改善するだけでガラッと状況は変わるし、もっと多くの人が魅了されるんじゃないかと思います。『Dance Dance Dance @ YOKOHAMA』も、これだけのプログラムをやっているのだから、すべての公演のハイライトを上手くつなぐだけで、すごく人の心を動かす映像になると思いますよ。

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イベント情報

『Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015』

2015年8月1日(土)~10月4日(日)
会場:神奈川県 横浜市内全域

クラシックバレエ、コンテンポラリーダンス、ストリートダンス、社交ダンス、チア、日本舞踊などジャンルを横断した200以上のダンスプログラムが横浜市で展開。国内外のアーティストによる公演に加え、ダンスパレードやワークショップなど参加型プログラムも数多く用意されている。

『カンパニー マリー・シュイナール 日本ツアー2015』

2015年10月24日(土)~10月25日(日)全2公演
会場:神奈川県 日本大通り KAAT神奈川芸術劇場
料金:一般7,000円 U24 3,500円 セット券10,000円(デボラ・コルカー公演と2演目セット券)

デボラ・コルカー・カンパニー
『Belle』

2015年10月31日(土)~2015年11月01日(日)
会場:神奈川県 日本大通り KAAT神奈川芸術劇場
料金:一般7,000円 U24 3,500円 セット券10,000円(カンパニー マリー・シュイナール公演と2演目セット券)

イベント情報

『ダンス映画特集@シネマ・ジャック&ベティ』

2015年10月31日(土)
会場:神奈川県 シネマ・ジャック&ベティ
料金:一般1,800円 大専1,500円 小中高シニア1,000円(各作品、入れ替え制)

プロフィール

長谷川達也(はせがわ たつや)

DAZZLE主宰・ダンサー・演出家。SMAP、V6、Mr.Children、ケツメイシ、TRF、BoA、東方神起などのライブ出演・振付の他、振付日本一を決めるLegendTokyo、TheatriKA‘lコンテストのW優勝。また、国内演劇祭での最優秀作品賞、若手演出家優秀賞を始め、海外では韓国:アジア演劇祭、ルーマニア:シビウ国際演劇祭の他、中東最大のファジル国際演劇祭からの招聘、4部門ノミネート、2部門において受賞。本年3月には歌舞伎界の立女形にして人間国宝である坂東玉三郎氏演出舞台『バラーレ』(東京・赤坂ACTシアター)にDAZZLEとして主演。振付も担当。現在は来年秋に予定しているDAZZLE結成20周年舞台公演に向け鋭意制作中。11月7日(土)に東京・東銀座にある東劇にて「DVD『二重ノ裁ク者』発売記念プレミアム上映会」が開催決定。イープラスにてチケット発売中。

川村美紀子(かわむら みきこ)

1990年生まれ、16歳からダンスを始める。日本女子体育大学(舞踊学専攻)卒業。2011年より本格的に作品を発表し、2012年初演の『へびの心臓』は、国内外で上演を重ねている。その活動は、劇場にとどまらず、屋外やライブイベントでのパフォーマンス、映像制作、弾き語りライブ、自作品の音楽制作、レース編みなど、表現活動を多彩に展開。2014年『インナーマミー』初演、トヨタコレオグラフィーアワード 2014「次代を担う振付家賞」及び「オーディエンス賞」、横浜ダンスコレクション EX 2015「審査員賞」及び「若手振付家のための在日フランス大使館賞」を受賞。

本山敬一(もとやま けいいち)

1977年倉敷生まれ。SIX所属。クリエイティブディレクター。"A Fusion of Technology with Humanity"をテーマに、メディアを問わず人の心に残る体験をつくる。代表作にPokémon GOのトレーラ―、amazarashiのMV『季節は次々死んでいく』、Nexus 7のCM、Google Chrome 初音ミクなど。カンヌをはじめとした国内外のアワードで受賞多数。

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