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元銀杏・安孫子とGEZANマヒトが考える、新しいレーベルのあり方

元銀杏・安孫子とGEZANマヒトが考える、新しいレーベルのあり方

池野詩織『BUBBLE BLUE』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人

かつてのミュージシャンにとっての「幸福」は、メジャーデビューをし、CDを何百万枚も売り、アリーナやスタジアムを満杯にすることだった。しかし、時代は徐々に変化をしていく。今はCDを何百万枚も売ることは夢のまた夢だが、その一方で、音源をリリースすること、フェスを作ること、海外のバンドを呼んでツアーを回ることでさえも、自分たち次第で実現可能な時代になった。「幸福」の形は、無数に広がっている。

そうした状況のなか、昨年くらいからか、音楽好きたちから「またパンクが盛り上がってきている」という話を耳にする機会が増えた。そして、その要因として挙げられるのが、元銀杏BOYZの安孫子真哉を中心に、2014年に設立された新レーベル「KiliKiliVilla」(キリキリヴィラ)の存在だ。銀杏BOYZ脱退後の安孫子は東京を離れ、一時は音楽からも離れた生活を送っていたそうだが、新たなバンドたちとの出会いによって、レーベルの設立を決意したという。

また一方では、自主レーベル「十三月の甲虫」を運営し、自分たちの祭り『全感覚祭』を興したバンドGEZANのオルタナティブな活動にも、その界隈で注目が集まっている。どちらも自分たちの居場所として「レーベル」を運営しているという共通点があり、両者は出会ってすぐに意気投合、KiliKiliVillaから写真集『BUBBLE BLUE』がリリースされる運びとなった。

それにしてもなぜ、写真集のリリースなのか? 『BUBBLE BLUE』は、GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーたちの行動によって発生したMEAN JEANS来日ツアーを記録した写真集であると共に、両レーベルが考える、この時代のひとつの楽しみ方の記録であり、現れでもある。『BUBBLE BLUE』の撮影を担当したフォトグラファーの池野詩織も交え、その実体をじっくりと語り合ってもらった。

同じような感覚の人がいろんなところに散らばってることがわかってきて、彼らと一緒にもっといろんな景色を見たいと思うようになった。(安孫子)

―マヒトさんと安孫子さんはいつ頃からお知り合いなんですか?

マヒト:安孫子さんを銀杏BOYZのライブ以外で初めて見たのは、1回目の『全感覚祭』(2014年開催)にCAR10(KiliKiliVillaからアルバムをリリースしているバンド)を見に来てたときですね。

安孫子:CAR10に会うとGEZANの話をいっぱいしてくるんですよ。最初は「ライブにおっかなそうな人たちが来た」みたいな話だったんだけど(笑)、GEZANにイベントに誘ってもらって、ライブ後にマヒトくんから「こっから1万回遊ぼうぜ」って言われて、それがグサッと刺さったって言ってました。「2014年のベストワードだ」って(笑)。

マヒト:CAR10は最初からフィットする感じがありましたね。いい意味で、何も考えてない。ただ好きなことをやってる感じがして。

左から:安孫子真哉、マヒトゥ・ザ・ピーポー
左から:安孫子真哉、マヒトゥ・ザ・ピーポー

安孫子:僕はその頃まだマヒトくんとは面識がなかったんですけど、KiliKiliVillaを始めて、SNSをやるようになったら、GEZANとか十三月の甲虫の周りの子たちが早い段階でフォローしてくれたんですよ。それまで僕は若い人たちとのつながりがほとんどない状態だったんですけど、SNSで情報が流れてくるようになって、彼らのやってることに刺激を受けたんですよね。

マヒト:自分の世代とか若いバンドは、銀杏BOYZでいろんな景色を見てきたであろう安孫子さんが、自分で新しいレーベルを始めたって聞いて、シンプルにグッと来たんだと思います。やっぱりそういう、一番ピュアなところに帰ってくるんだなって。だからSNSにしても、安孫子さんとつながりたいっていうより、単純にこれからどうなるのか興味深いし楽しみだと思ってフォローした人が多かったんだと思います。

―そもそも安孫子さんは銀杏BOYZを抜けてから東京を離れ、音楽からも離れていたそうですが、CAR10やSEVENTEEN AGAiN(東京を中心に活動するパンクバンドで、独自のシーンを形成していた)などとの交流から若いバンドに興味を持ち、レーベルの立ち上げに至ったそうですね。

安孫子:大体そんな感じです。最初は、無理しないで付き合える人たちと一緒に、自分の好きなものの一部に絞って、パンク、ハードコア、ギターポップ、ネオアコ的文脈の音楽をリリースしていこうと思ってました。でもやっていくうちに、同じような感覚の人がいろんなところに散らばってることがわかってきて、彼らと一緒にもっといろんな景色を見たいと思うようになってきて。「ずいぶんアンダーグラウンドな方面に行ったね」って言われたりもするんですけど、自分としてはそういう感じは全然なくて、昔から好きなものは全く変わってないですね。

自分たちがいい顔になれる場所くらいは自分たちで作れる。(マヒト)

―マヒトさんがレーベルを立ち上げたのはどういう経緯だったんですか?

マヒト:「立ち上げ」っていうより、「レーベルごっこ」みたいな感覚が強いです。自分たちがいい顔になれる場所くらいは自分たちで作れると思ってて、先のことはあまり考えず、単純に周りの面白いやつらと一緒にやって、何ならそいつらの踏み台でもいいっていうくらいの感覚。だから「立ち上げ」っていうのはあんまりハマらないかな。

マヒトゥ・ザ・ピーポー

―もっと自然に言えば、遊びの延長で始まっていると。

マヒト:ヤンキーっぽい考え方かもしれないけど、やっぱり、かっこいい友達と一緒にいたいじゃないですか? 「俺の友達、いいっしょ」みたいな、それぐらいの気持ち(笑)。だからうちからリリースしているバンドが、違うレーベルから誘われたりとか、もっと他に面白い動きがあれば、そっちに行ってほしいですもんね、ホントに。

安孫子:僕もマヒトくんと同じで、一緒にいる面子が大事。たとえば美味しい飯を食うのも、面子が大事じゃないですか? 旅行に行くにしても、嫌なやつが一人いたら台無しだし。

マヒト:友達と行ったキャンプのボンカレー無敵ですもんね。

安孫子:ホントそう(笑)。でも、別にバンドの子たちは帰属意識を持ってやってるわけじゃないっていうのがまたいいんですよ。「俺たちはチーム」みたいなことは誰も言わない。だけど集まると、まず僕が楽しいし、みんなも楽しんでくれてたら、それだけでいいなって。『全感覚祭』の1回目もすごい人たちが集まってたし、2015年の『全感覚祭』のダイジェストはめちゃめちゃ感動しました。みんないい顔してんなって。

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書籍情報

『BUBBLE BLUE』
池野詩織
『BUBBLE BLUE』

2016年2月17日(水)発売
価格:2,160円(税込)
KiliKiliVilla / KKV-023B

リリース情報

SEVENTEEN AGAiN『少数の脅威』
SEVENTEEN AGAiN
『少数の脅威』(カセットテープ)

2016年3月下旬発売
価格:1,620円(税込)
※CINRA.STORE限定販売、限定生産商品、ダウンロードコード付

NOT WONK『Laughing Nerds And A Wallflower』
NOT WONK 『Laughing Nerds And A Wallflower』(カセットテープ)

2016年3月下旬発売
価格:1,620円(税込)
※CINRA.STORE限定販売、限定生産商品、ダウンロードコード付

CAR10『RUSH TO THE FUNSPOT』
CAR10
『RUSH TO THE FUNSPOT』(カセットテープ)

2016年3月下旬発売
価格:1,620円(税込)
※CINRA.STORE限定販売、限定生産商品、ダウンロードコード付

SUMMERMAN『Temperature is …』
SUMMERMAN
『Temperature is …』(カセットテープ)

2016年3月下旬発売
価格:1,620円(税込)
※CINRA.STORE限定販売、限定生産商品、ダウンロードコード付

LERNERS『LEARNERS』
LERNERS
『LEARNERS』(カセットテープ)

2016年3月下旬発売
価格:1,620円(税込)
※CINRA.STORE限定販売、限定生産商品、ダウンロードコード付

Kellerpass『まわりたくなんかない』
Kellerpass
『まわりたくなんかない』(カセットテープ)

2016年3月下旬発売
価格:1,620円(税込)
※CINRA.STORE限定販売、限定生産商品、ダウンロードコード付

そのほか、KiliKiliVilla発売タイトル5作品がレコードで同時発売
CINRA.STORE > Kilikilivilla

イベント情報

『BUBBLE LANGUAGE』ビジュアル
十三月の甲虫 & KiliKiliVilla presents 池野詩織『BUBBLE BLUE』発売記念
『BUBBLE LANGUAGE』

2016年3月18日 (金) OPEN / START 23:30
会場:東京都 下北沢 BASEMENT BAR、THREE

出演:
GEZAN
car10
SEVENTEEN AGAIN
GUAYS
BOMBORI
Have a nice day!
あっこゴリラ
KMC
KK manga
ナツノムジナ
5000
ラミ子
Minoura Kentaro
フード:音飯
料金:前売2,000円 当日2,500円(共にドリンク別)

プロフィール

安孫子真哉(あびこ しんや)

山形出身、1999年GOING STEADYのベーシストとしてデビュー。GOING STEADY在籍時よりSTIFFEEN RECORDSでレーベル活動を行う。2013年銀杏BOYZ脱退、2014年10月に自主レーベルKiliKiliVillaを立ち上げる。群馬在住のサラリーマンとしてパンクを基軸にインディー、ギター・ポップなど様々な現場に出没中。

GEZAN(げざん)

2009年大阪にて結成の日本語ロックバンド。2012年拠点を東京に移すとその音楽性も肉体感を変えぬまま大きく進化し続け、よりポップでキャッチー&メロディックな音にシンプルかつ意味深い日本語詞が乗る独自のスタイルを極め続けている。日本の音楽の歴史を継承するオーセンティックさと、新たな時代を切り裂くニュースクール感を合わせ持つ現在のシーンでは唯一無二の存在として今後の活動が期待されている。現在までにフルアルバム2枚、ミニアルバムとライブアルバムが各1枚、DVDやヴィニール7inchなどもリリースしている。またマヒトゥ・ザ・ピーポーソロとしてアルバム2枚をリリースもしている。

池野詩織(いけの しおり)

1991年生まれ。2012年よりフォトグラファーとして活動を開始。日常のドキュメントスナップ写真を作品として発表している作家活動とともに、雑誌やウェブなどでフリーランスフォトグラファーとして活動中。展示やジンフェアにも定期的に参加している。また、写真家という肩書きに縛られず自由に遊ぶためのチームBOMB COOLERを写真家松藤美里とともに結成し、活動していた。これまで、シブカル祭。のメインビジュアル、バンドどついたるねん写真集への参加、パルコのポスター/CM起用、Jennyfaxのコレクション撮影など、オールジャンルで活躍。日常のなかの青春を感じる瞬間にアンテナをはり、写真を撮りあつめている。

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