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イベント趣旨も、儲けもない。それでも9年続く沖縄フェスの実態

イベント趣旨も、儲けもない。それでも9年続く沖縄フェスの実態

『Sakurazaka ASYLUM 2016』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:永峰拓也

自分から扉を押し開いていくようなタイプでは全然なかったし、いろんなことに挑戦するというよりも、全部断っていくようなタイプでした。(タテ)

―タテさんは長野県飯田市を拠点に、とてもユニークな音楽活動を展開していますが、そもそものデビューのきっかけは、是枝裕和監督の映画『誰も知らない』だったんですよね?

タテ:そうですね。当時、とあるレコード会社のオーディションを受けることになっていたんですけど、その過程をいろんな監督が撮るというドキュメンタリー番組があって。で、是枝監督が選んでくださったのがわしで、飯田まで何度も足を運んでくださって、撮影してもらったんです。結局、そのオーディションには落ちて、監督の撮影もそこで終わりだったんですけど、その後わしが東京でやったライブに監督が来てくれて。「実は今、映画を撮っているんだけど、あの曲、使ってもいいかな?」って言ってくださったんです。その曲は、高校のときに作った歌で、暗いからもう封印しようと思っていたんですけど、監督とまた会えたのが嬉しくて、思わず「はい」って答えてしまって。

―それが、映画『誰も知らない』の主題歌になった“宝石”という曲ですね。

タテ:はい。そこからCDを出すことに繋がって、そのおかげでいろんなライブハウスからも誘いがくるようになりました。それに、わしは結構ハードコアとかパンクバンドとの対バンも多いんですけど、そのきっかけは『極東最前線』というeastern youthの自主企画イベントで。そこでも結構背中を押されたというか……だから、出会いにはすごく恵まれているなと思います。もともとめっちゃ根暗で、今みたいにしゃべることも全然できてなくて。

タテタカコ

―そうだったんですか?

タテ:そう。コンビニ店員役で『誰も知らない』に出させてもらったんですけど……将来が決まってない、下を向いて生きているようなプータローのコンビニ店員っていう。当時の自分も、ホントにそんな感じだったんですよ(笑)。自分から扉を押し開いていくようなタイプでは全然なかったし、いろんなことに挑戦するというよりも、全部断っていくようなタイプでした。ただ、「この出会いは宝物だ」と思えるような人たちと出会う中で、いろんな言葉をもらったり、新しい価値観でぶっ壊してくれたりとか、ホント少しずつ変わっていって。沖縄もそうですけど、全国各地に「また絶対に会いたい」と思う人たちがひとりずつ増えていったんですよね。それまでは、自分の殻に閉じこもって、そこが帰る場所だったのが、いろんなところに帰る場所ができた。そうやって大きく心を揺れ動かされた経験というのは、何にも代えがたいものなんです。

いろんな先輩たちが、すごい生き様を見せてくれたから。みんなの人生に触れられることが、このフェスをやるいちばんの理由なんだと思います。(タテ)

―そういうタテさん自身の体験が、『Sakurazaka ASYLUM』には反映されていそうですね。

タテ:いや、そんな大それた気持ちはないですけど……。

野田:反映されていると思いますよ。タテさんは、すごく熱い人なので。ピアノの弾き語りのアーティストと言ったら、優しい印象があるかもしれないですけど、タテさんはすごく熱いし激しいし、もちろん優しいんだけど、どこかにドス黒さみたいなものも感じるし……まさにハードコアなんだと思います(笑)。

―eastern youthやBRAHMANのTOSHI-LOWさん、the HIATUSの細美武士さんを桜坂に連れて来るぐらいの人ですからね。

野田:だから、すごく一生懸命やっている人だということは、何らかの形でみなさんに伝わっているんだと思いますよ。タテさん自身の音楽はもちろんだけど、その活動のスタイルに惹かれている人も結構いると思うので。

左手前:野田隆司、右奥:タテタカコ

タテ:ただ、そういうのは全部、いろんな先輩たちが、すごい生き様を見せてくれたからこそというか。その人たちの背中を身近で見たいという思いもあって、『Sakurazaka ASYLUM』をやっているところもあるんですよね。ここに集まってもらって、みんなの人生に触れられることが、このフェスをやるいちばんの理由なんだと思います。大好きな人を大好きな場所に集めて、大好きな人同士でその瞬間を共有できたら、どんなに最高だろうって。ただそれだけなんです。行動力という意味では、野田さんには全然かなわないですから。

―行動力は、むしろ野田さんの方があるのですか?

タテ:野田さんは、昔から「こうしたいな」とか「これが観たいな」と思ったら、すぐに動ける人なんですよね。わしは、石橋を叩いて、やっぱり渡れなかったりすることも多いんですけど。野田さんは、ひらめきと挑戦と行動力がものすごいんです。

野田:だから、苦労するんだけどね。

タテ:ははは(笑)。

野田:『Sakurazaka ASYLUM』だって、誰かスポンサーがいるわけでもないし、税金が投入されているわけでもないですから。漠然と考えながら枠を広げているわけですけど、赤字が出ないかどうかなんて、やってみないとわからない。常にスリル満点です(笑)。

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イベント情報

『Sakurazaka ASYLUM 2016』

2016年2月13日(土)、2月14日(日)
会場:沖縄県 那覇 桜坂周辺会場
出演:
アイリッシュ音楽団nina
浅草ジンタ
足田メロウ
アライヨウコ
ARAGAKI REI
新良幸人withサトウユウ子
ALKDO/アルコド(TURTLE ISLAND acoustic)
eastern youth
石原岳
伊藤せい子
イヌガヨ
内郷げんこつ会
MCウクダダとMC i know
element of the moment
遠藤ミチロウ
Os ネコジャラシス
岡山健二

乙黒信
Orkestar de VICCOS
caino
Kazuya Matsuzaki
勝井祐二
Kamon
ぎすじみち
キセル
木村華子
ギャーギャーズ
ぐりもじゃ・サスケ
コサック魔夜
小西博子
小南泰葉
SAKISHIMA meeting(新良幸人×下地イサム)
SAVA
the you
the LOW-ATUS(細美武士、TOSHI-LOW)
地獄車
羊歯明神(遠藤ミチロウ、山本久土、石塚俊明)
勢理客オーケストラ
下地イサム
奢る舞けん茜
Dugong Dugon
jujumo
Shota
しょーしょー
SHOCKING桃色
SLANG
∞Z
sonoray
高江フラ
高良結香
タテタカコ
ぢゃん
tea
tidanomiyuki
Tulegur
TOSHI-LOW
トラダフジコ
ナカハジメ
中村いぶき
仲村颯悟
ナマケモノ
南部マンゴーパーティーズ
2源色
HA~HA
ハシケン
BUTTERCHEEZE ROLL
8bit
かおり
HARAHELLS
HITO SAJI
ヒカリトカゲ
viridian
fasun
funnynoise
Predawn
ヘアンナケンゴ
外間建次
真喜屋志保
松崎ナオ
マルチーズロック
ミーワムーラ
三ヶ田圭三
むぎ(猫)
MOROHA
やちむん刺激茄子
山田真未
山本久土
Yugen
YUMIMPO*
ヨシムラタカシ
リコーダーズ
RITTO
料金:
1日券 前売4,000円 当日4,500円
2日通し券 前売7,000円

プロフィール

タテタカコ
タテタカコ

ピアノと歌だけで様々な音楽ジャンルを内包した表現をする異色のシンガーソングライター。全国を渡り歩きながら年間100本を超えるライブを行うかたわら、映画、CM等への楽曲提供も数多くしている。2004年、カンヌ国際映画祭受賞作品『誰も知らない』(是枝裕和監督)に楽曲“宝石”を提供し注目を集める。同年1stアルバム『そら』でデビュー。以降、全国各地で精力的にライブを行う。日本国内にとどまらず海外でのライブ活動も積極的に行っており、これまでに、カンボジア、台湾、フランスでライブを行っている。東日本大震災以降、人の繋がりの大切さを再確認し、自身も企画、運営に携わっている沖縄の街フェス『ASYLUM(アサイラム)』を福島県で開催することを決意。2012年3月10日、11日に福島県で音楽イベント『ASYLUM2012 in Fukushima』を開催。タテタカコの呼びかけで多くの人気アーティストが参加し大盛況の結果となった。現在も東日本大震災の被災地に住む人々との繋がりを大切にし、被災地での音楽活動を頻繁に行っている。国立音楽大学音楽教育学科卒。長野県飯田市出身・在住。

野田隆司(のだ りゅうじ)

長崎県佐世保市出身。ハーベストファーム代表。沖縄屈指のカルチャー発信スポット「桜坂劇場」のプロデューサー。編集・ライティング業務や、高良結香・小林真樹子のマネジメントも行う。

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