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佐々木敦が語るHEADZの20年と、変化してきたライブハウス文化

佐々木敦が語るHEADZの20年と、変化してきたライブハウス文化

『nest20周年記念公演』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作

ネストがなかったら、もっと早く招聘をやめてたと思う。

―FENNESZの公演で初めてネストを使ったのはどういった経緯だったんですか?

佐々木:ちょうどそのころ『Endless Summer』が出たばっかりで、僕はそれにすごくハマってたんです。そうしたら、北九州にある現代美術センターのCCAっていうところがFENNESZを呼ぶって知って、じゃあ、そのタイミングで東京でもライブをやってもらおうと思って。スケジュール的にも結構ギリギリで決まった話だったから、他に場所が見つからなくて、ネストになったっていう偶然もあったかもしれない。実際、そのライブは満員だったしね。

―それまで使ってた大きめの箱がそのときは使えなかったと。

佐々木:そうですね。あと、そもそもなんでCAYとかをよく使ってたのかって、従来のライブハウスとはイメージが違うじゃないですか? 僕はどこかでHEADZとしてのブランドイメージを気にしてたから、普通のライブハウスではやりたくないって気持ちがあったのかもしれない。

―他にも吉祥寺のSTAR PINE'S CAFEだったり、六本木のSUPER DELUXEだったり、たしかに「いわゆるライブハウス」とはちょっと違ったところでよくやられてましたね。

佐々木:そうそう。そういう意味で、ネストは選択肢のファーストオプションに入ってなかったんだと思う。でも、実際使ってみると、すごい使い心地がよかったんだよね。何でかって言うと、僕らはあえてライブハウスじゃない場所を選ぶことが多かったから、その分余計な苦労があったの。つまり、機材とかを毎回発注しなきゃいけなかったりね。でも、ネストでやると「もともとドラムあるじゃん」って、そんな普通のことに気付いたのが、21世紀に入ってからだったっていう(笑)。

佐々木敦

―入口がおかしかったわけですね(笑)。先日CINRAでネストの店長の岸本さんにも取材させていただいたんですけど、当時から担当は岸本さんでしたか?

佐々木:そうですね。彼の飄々とした面白がり感が、僕らにとってはすごくやりやすかった。僕はあんまりグイグイ来る人が苦手で、かといって、全然何もない人とは仕事しにくいじゃないですか? 彼ぐらいのカジュアルな距離感の人って、ライブハウスの人としては結構珍しかったんですよね。

―岸本さんももともと洋楽が大好きな人で、ご自身で招聘もやられていたので、リンクする部分もあったんでしょうね。THE RED KRAYOLAの来日公演打ち上げで、ジョン・マッケンタイアとジム・オルークがネストのバーフロアで話し込んでるのを見て感動したって、先日の取材でおっしゃってました。

佐々木:そういう時代だったってことだよね。最初のTHE RED KRAYOLAの来日は90年代の前半で、それが僕にとってもジムとの出会いでした。そうやって、たまたまネストとHEADZの誕生が、1990年代のポストロック勢の盛り上がりと時代的にシンクロして、成熟してきた状態のなかで21世紀を迎えたんじゃないですかね。

―そのころはホントに数多くの来日公演を手掛けられてましたよね。TortoiseやMouse on Mars、Oval、ジム・オルーク、JOAN OF ARC、FENNESZ、カールステン・ニコライなどそうそうたるアーティストを呼びつつ、日本のアーティストと共演させていく。その流れで、洋楽ファンが国内の音楽に耳を傾ける機会にもなったと思います。

佐々木:ある時期までは、Thrill JockeyとかDrag City(どちらもシカゴのインディーレーベル)のバンドがコンスタントにアルバムを出してて、それに合わせて日本に呼ぶっていうのが常態化してたから、もう「やらないわけにはいかない」みたいな感じもあったかな。でも、ある時期からは新しい人を呼ぶというよりも、今まで呼んだ人たちをまた呼ぶって感じになっていって、そうするとだんだん集客も減ってきたり、CAYがしばらくライブをやらなくなったりして、ネスト一本になっていきましたね。逆に、ネストがなかったら、もっと早く招聘をやめてたと思う。

2004年8月にネストで行われたDavid Grubbs来日公演の模様(撮影:相田晴美)
2004年8月にネストで行われたDavid Grubbs来日公演の模様(撮影:相田晴美)

―その一方でHEADZは、荻原さんも加わって、国内アーティストをリリースする音楽レーベルとしての色も強めていきましたね。

荻原:そうですね。海外アーティストの招聘が減っていくのとシームレスに、日本人アーティストの発売記念ライブの主催も増えて来て、□□□、豊田道倫、蓮沼執太、空間現代、Moe and ghostsなどのレコ発会場としても、ネストを使わせて頂きました。

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書籍情報

『ゴダール原論: 映画・世界・ソニマージュ』
『ゴダール原論: 映画・世界・ソニマージュ』

2016年1月29日(金)発売
著者:佐々木敦
価格:2,700円(税込)
発行:新潮社

『例外小説論「事件」としての小説』
『例外小説論「事件」としての小説』

2016年2月10日(水)発売
著者:佐々木敦
価格:1,728円(税込)
発行:朝日新聞出版

『ニッポンの文学』
『ニッポンの文学』

2016年2月16日(火)発売
著者:佐々木敦
価格:929円(税込)
発行:講談社 現代新書

イベント情報

『nest20周年記念公演』ロゴ
『nest20周年記念公演』

2016年3月24日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
在日ファンク
思い出野郎Aチーム

2016年3月25日(金)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:あふりらんぽ
DJ:37A

2016年3月26日(土)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
The Dylan Group
テニスコーツ

2016年3月29日(火)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
DE DE MOUSE
アカシック
POP

2016年3月30日(水)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
group_inou
People In The Box

プロフィール

佐々木敦(ささき あつし)

1964年生まれ。批評家。HEADZ主宰。雑誌『エクス・ポ』編集発行人。『批評時空間』『未知との遭遇』『即興の解体/懐胎』『「批評」とは何か?』『ニッポンの思想』『絶対安全文芸批評』『テクノイズ・マテリアリズム』など著書多数。新著『ゴダール原論―映画・世界・ソニマージュ―』が2016年1月に、『例外小説論』、『ニッポンの文学』が2016年2月に刊行。

HEADZ(へっず)

映画、音楽ライターとして活動していた佐々木敦とシティ・ロードの編集者であった原雅明の二人によって1995年5月にスタート。以来、カッティング・エッジな音楽雑誌『FADER』、ジャンルレスな濃縮雑誌『エクス・ポ』他の編集・発行、トータス、ジム・オルーク、オヴァル、カールステン・ニコライ他の海外ミュージシャンの招聘(来日公演の企画・主催)、UNKNOWNMIXやWEATHERといった音楽レーベル業務、飴屋法水の演劇公演の企画・制作等(ままごと『わが星』のDVD他、演劇やダンス・パフォーマンスの作品を発表するplayレーベルもスタート)、多岐な活動を続けている。音楽レーベルとしての最新作は昨年のO-nestでの20周年記念イベントでの共演がきっかけで、制作された4月6日発売のMoe and ghosts × 空間現代『RAP PHENOMENON』(UNKNOWNMIX 42 / HEADZ 212)。

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