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ピクサーを飛び出したアートディレクター堤大介の貪欲すぎる挑戦

ピクサーを飛び出したアートディレクター堤大介の貪欲すぎる挑戦

『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』
インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:田中一人 編集:佐々木鋼平

未知の未来への一歩を踏み出すことが一番大事だと思っています。でなければ、ピクサーのような理想郷を去ってはいなかった。

―『トンコハウス展「ダム・キーパーの旅」』では、『モテキ』や『宇宙兄弟』のプロデューサーとして知られる川村元気さん原作の絵本『ムーム』アニメ版の関連資料も展示されています。この作品はトンコハウスがはじめて日本のアニメーターと共同制作するものになるそうですね。

:ぼく自身は高校を卒業してからアメリカに行ったんですが、アメリカにいると、日本という国にどうしたら貢献できるのだろうか、と考えるんです。アニメーションで世界最高の文化を持っている日本とアメリカがなにか一緒にやることで化学反応が起きれば、世界のアニメーションに次なるものが生まれるのではないかと期待しています。もちろん、簡単にうまくいくものではないと思いますが、いまのモチベーションの一つになっています。

『ムーム』コンセプトアート 2014年
『ムーム』コンセプトアート 2014年

―堤さんから見て、日本のクリエイターの特徴とは、どういった部分にあると思いますか?

:日本人のセンスって相当高いと思うんです。最低レベルのセンスを誰もが持っていて、文化レベルも高い。だから変なものは作らないんですが、それは同時に弱点でもあるわけです。

―小さくまとまって突出しない、ということでしょうか?

:そう。アメリカのすごいところって、全然ダメな人でもあり得ないようなアイデアを生み出して、認められてしまうところ。新しい人たちがどんどん登場して、どんどん失敗しているんですよ。そんなアメリカ文化と日本文化のいい部分が合わさって成長していけば、これまでにないアニメーションが生まれるのではないかと思います。

『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』展示風景
『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』展示風景

『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』展示風景
『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』展示風景

―展覧会の内容についても聞かせてください。

:今回の展覧会では、アニメーションの原画を見てもらうというよりも、トンコハウスの世界観を共有してもらえたらと考えています。ぼくらが仕事をしているオフィスの雰囲気を再現したり、未発表作品の資料展示も行います。トンコハウスは、DIYでアニメーションスタジオを作るつもりでやっているので、手作り感覚の部分を共有してほしいです。

―『ダム・キーパー』も、CGアニメーションでありながら手描きのような暖かさもあり、手作り感というのはトンコハウスの魅力の一つです。

:他にも、NHKのキャラクターの「どーもくん」や「こまねこ」を作っているコマ撮りアニメーションスタジオ「ドワーフ」さんや、世界的なジオラマアーティストの荒木智さんとのコラボレーション展示を行っています。アーティストと共に、お客さんもこの手作り感覚の旅に巻き込んでいけたら嬉しいですね。

『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』展示風景
『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』展示風景

『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』展示風景
『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』展示風景

―『ダム・キーパー』は現在、長編版の制作に向けて動き出しています。ピクサーから独立した堤さんにとって、初長編作品というのはかなり特別な意味を持つのではないでしょうか。

:まだ企画段階なので、本当にできるのか、いつできるのかなどまったく未知の状態ですが、長編映画というのはアニメーションの世界では誰もが求める究極のチャレンジです。ハリウッドではここでコケて帰ってくるパターンがほとんどで、もちろんぼくらもそうなるかもしれません。でもそこに挑戦したくてピクサーを辞めたんです。ピクサーが『トイ・ストーリー』で、アニメーションの世界を変えたときも、最初は誰もが彼らの成功を疑っていました。だから、未知の未来への一歩を踏み出すことが一番大事だと思ってます。でなければピクサーのような理想郷を去っていなかったので、できると信じてやるしかないですね。

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イベント情報

『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』

2016年3月25日(金)~4月28日(木)
会場:東京都 銀座 クリエイションギャラリーG8
時間:11:00~19:00
休館日:日曜・祝日休館(3月27日は開館)

プロフィール

堤大介(つつみ だいすけ)

東京都出身。School of Visual Arts卒業。Lucas Learning、Blue Sky Studioなどで『アイスエイジ』や『ロボッツ』などのコンセプトアートを担当。2007年ピクサー入社。アートディレクターとして『トイ・ストーリー3』や『モンスターズ・ユニバーシティ』などを手がけている。2014年7月ピクサーを去り、トンコハウスを設立した。71人のアーティストが1冊のスケッチブックに絵を描いて、世界中に回したプロジェクト「スケッチトラベル」の発案者でもある。

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