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単なる反骨心ではない ★STAR GUiTARの健全な逆張り精神に学ぶ

単なる反骨心ではない ★STAR GUiTARの健全な逆張り精神に学ぶ

★STAR GUiTAR『Here and There』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望 編集:山元翔一
2016/11/25

★STAR GUiTARの作品は毎回コンセプチュアルな仕掛けに驚かされるが、「歌もの」にフォーカスしたベストアルバム『Here and There』もかなり面白い。「★STAR GUiTARの曲を演奏する架空のバンドを本人がプロデュースする」というコンセプトによって、過去の名曲たちが見事にアップデートされており、さらには遂に実現したThe Chemical Brothersの“Star Guitar”のカバーも収録と、ベストにして現在進行形の一枚に仕上がっている。

★STAR GUiTARとしてのアーティスト活動の一方、SiZK名義でJ-POPのフィールドも含めた作家 / プロデューサーとしても活躍する中、10月には本名のAkiyoshi Yasuda名義でアコースティックな『alter ego』を発表。枠に捉われることを嫌い、身軽であることをなにより重視するその生き方は、一面的な価値観を押しつける社会に対する、表現者としての実に正しいあり方を体現していると言えるかもしれない。

一応ベストと謳っていますけど、自分の中ではそんなにベスト感はない。

―2015年は『ONE HOUR TRAVEL』も含めると下半期だけで3枚のアルバムを出していて、かなりの創作モードだったと言っていいと思うのですが、2016年はどんなモードで、『Here and There』にたどり着いたのでしょうか?

★STAR:気がつけばアルバムを7枚(リミックス盤を含む)出していたので、「そろそろまとめてもいいのかな」という話はもともとしていたんです。でも正直、そんなにやる気はなくて(笑)。それに、作ることに関しては去年3枚も作ったので、今年も2枚くらいなら作れるし、そのためのアイデアもあったんです。でも結果として、全部曲を録り直したうえでまとめたベスト盤を出すということになりましたね。

―2014年の『Schrodinger's Scale』、2015年の『Wherever I am』と『Wherever You are』の三枚は★STAR GUiTARの「ピアノ期」と言ってもいいと思うのですが、ここで一区切りという感じもあったのでしょうか?

★STAR GUiTAR『Wherever You are』収録曲

★STAR:歌もの中心になっていた時期とピアノ中心の時期の作品はちょうど三枚ずつなんですよ。なので、いいタイミングなのかなと思ったところはあります。ただ、そこまで区切りを意識していたわけではなくて、逆に言っていただいて気づくくらいです。

―では、『Here and There』が歌もののベストになったのも、「インストが続いたから、次は歌もの」程度の感じだった?

★STAR:最近あまりにもインストが続いたので、自分の中で歌ものをどう解釈すべきかという気持ちはありました。初期の作品と去年のアルバムを比べると、音色とかは全く違うものになっているので、そこをどう擦り合せるべきか、その必要はないのかとか考えていましたね。

今回は一応ベストと謳っていますけど、自分の中ではそんなにベスト感がなくて。僕なんだけど僕じゃないというか、「海外のバンドが僕の曲をアレンジし直したらどうなるか?」というコンセプトでアレンジを進めていったんです。

★STAR GUiTAR
★STAR GUiTAR

全員シンセの4人組のバンドにアレンジしてもらって、それを僕がプロデュースするっていう。俯瞰の俯瞰みたいな作り方でした。

―なるほど。なにか具体的なバンドが頭に浮かんでいたのでしょうか?

★STAR:ChvrchesとかYears & Years、Passion Pitぐらいざっくりとは。そのあたりのバンドが僕の過去の曲を全部アレンジし直したらどうなるのかっていうイメージでした。

―曲を年代順に並べただけのベスト盤ではないので、選曲や曲順にもこだわりがあるかと思うのですが、そのあたりはいかがですか?

★STAR:「ベストであるなら入れるべき曲」というものがあると思うんですけど、今作は作品の成り立ちを重視しているので、本来入れなければいけない曲が入ってなかったりするんです(笑)。そこは僕の我を通してしまった部分で、さっき「ベストだけどベストじゃない」って言ったのは、そういう意味もあります。

あくまで「このアルバムの中で映える曲」っていう視点で選んでいるので、コンセプトアルバムに近いんだろうなと。ただ、「自分だけども自分じゃない」っていう、自分を客観視したコンセプトで作っていて、アーティスト写真も今までのコラージュなので、自分でもちょっと不思議な感覚なんです。

★STAR GUiTARアーティスト写真
★STAR GUiTARアーティスト写真

―先ほど、Chvrches、Years & Years、Passion Pitというバンドを挙げていましたし、言ってみれば、ダンスミュージックというよりはインディー感のあるシンセポップに近いサウンドかと思います。ご自身の最近のリスニング傾向がそちらに寄っていたのでしょうか?

★STAR:そうですね。シンセサイザーの使い方がシンセポップに寄っていったというのもありますし、僕はマッスルなダンスミュージックには向かわなかったので。

―「マッスルなダンスミュージック」というのはEDMのことですよね。

★STAR:そうです。そうなると、この方向性になるのは自然なことじゃないかなと。インスト作品で生楽器と一緒にやった経験に、もともとあったテクノ感を組み合わせたら、このサウンドに落ち着きました。

★STAR GUiTAR

―アルバムの取っかかりになった曲を挙げていただくと、どれになりますか?

★STAR:“君はスナイパー”(原曲は2011年リリースの『Carbon Copy』に収録)ですね。この曲は、タイトルからして今の僕からすると恥ずかしさがあって。当時はテクノポップが流行っていましたし、これはこれでカッコいいし可愛いんですけど、自分で書いた歌詞についても「よくもここまでストレートに言えたな」って思ったりもして(笑)。

ただ、一見恥ずかしさもある言葉でも、どんな音の上に乗せるか次第でカッコよく聴かせられるんですよね。なので、「この歌詞をどういうサウンドに乗せるべきか?」とすごく考えたんです。それでさっき言った、「架空のバンドにアレンジしてもらう」っていうコンセプトに行き着きました。

★STAR GUiTAR

―いくつかのアーティストをイメージしつつ、そのどれとも違う、架空のバンドを自分の中で想像して、そのバンドに作らせたと。

★STAR:そうですね。全員シンセの4人組のバンドを僕がプロデュースするっていう。俯瞰の俯瞰みたいな、そういうのがすごく面白かったです。

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リリース情報

★STAR GUiTAR『Here and There』
★STAR GUiTAR
『Here and There』(CD)

2016年11月16日(水)発売
価格:2,160円(税込)
CSMC-028

1. Starting Over feat. Scandi
2. Mind Surf feat. DAOKO
3. Star Guitar(Vocal by ボンジュール鈴木)
4. Imagine feat. Okika
5. Mirai Real feat. YOW-ROW from GARI
6. Mind Trip feat. Steven McNair
7. 君はスナイパー feat. MIRU from JaccaPoP
8. Brain Function feat. Azumi
9. After You feat. Okika
10. P.O.P(Person Or Popular)feat. Scandi
11. Find the Center of a Circle
12. Youthful Days feat. RAM RIDER

プロフィール

★STAR GUiTAR
★STAR GUiTAR(すたー ぎたー)

プロデューサー / アレンジャーのSiZKによるソロプロジェクト。2010年8月「Brain Function feat. Azumi from yolica」でデビューし、2011年1月には1stアルバム「Carbon Copy」でiTunes Storeダンスチャート1位を記録。テクノを基軸にハウス、エレクトロ、ドラムンベースやエレクトロニカなどの多彩なダンスミュージックを昇華したサウンドを展開する。2014年9月には、「ダンスミュージック」×「ピアノ」を融合させた、コラボレーションアルバム『Schrödinger's Scale』をリリース。90年代のテクノ・ミュージックをベースに、fox capture planのキーボードとしても大ブレイク中の「MELTEN」、PE'Zのキーボードとして時代を築き、現在はソロ名義での活動も盛んな「H ZETT M」、孤高の世界観を奏でる「Schroeder-Headz」等、豪華なピアニスト達との共演を実現し、ある種のセッション的なプロセスによって作り上げたその音像は大きな反響を呼んでいる。

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