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ぼくのりりっくのぼうよみインタビュー 情報社会をどう生きる?

ぼくのりりっくのぼうよみインタビュー 情報社会をどう生きる?

ぼくのりりっくのぼうよみ『Noah's Ark』
インタビュー・テキスト
武田砂鉄
撮影:森山将人 編集:矢島由佳子

2015年末、17歳にしてデビュー作『hollow world』をリリース。研ぎ澄まされたリリックで聴き手の心を躍らせた「ぼくのりりっくのぼうよみ」。この度リリースされる2ndアルバム『Noah's Ark』の発表にあわせ、クラウドファンディングによってオウンドメディア「Noah's Ark」を立ち上げるなど、音楽を生み出すだけではなく、情報の打ち出し方から変えようと試みている。

そして、たとえば先程記した「研ぎ澄まされたリリックで聴き手の心を躍らせた」のような、わかるようなわからないような表現を緩慢に使い続けてきた業界の姿勢すら根底から疑ってくる。自分が感知した問いのすべてに、自分で答えようと動き始めたのだ。

「大人はプロだからなんでもわかるだろう」ではなく、「みんな手探りでやっているんだな」って気付いた。

―よく、引退したアイドルが「あの頃は、メディアに出ている自分と本当の自分がわからなくなっていて……」なんて漏らしますよね。メジャーデビュー以降、頻繁にメディアでお見かけしますが、そんな感覚ってないですか?

ぼくのりりっくのぼうよみ(以下、ぼくりり):そもそも僕はインターネット上の「ぼくりり」の人格と、本名としての人格が異なっていて、別の人間を運営している感覚があるんです。最近は「ぼくりりスイッチ」を入れっぱなしというか、ずっと「ぼくりりタイム」ですね。外を歩き始めたときは素の自分でも、散歩しているうちに「次の作品どうしよう」とか考えるから、「ぼくりり」につながっていく。

ぼくのりりっくのぼうよみ
ぼくのりりっくのぼうよみ

―“Be Noble”が映画『3月のライオン』の主題歌に決まったり、3月からは全国ツアーが開催されたり、仕事の規模が大きく膨らんでいくことに対して、先立つのは期待感ですか、それとも恐怖心ですか?

ぼくりり:単純に手が伸びていく感覚、ですかね。前までは目の前にあるものにしか手が届かなかったけど、次はもう少し遠いところにあるものを取れるようになった、みたいな。もちろん手を伸ばす過程でなにかにぶつかることもあると思いますけど、まあそれはしょうがないかな、と。

―初めてインタビューしたのは1年ほど前(変幻自在に言葉を操る、ぼくのりりっくのぼうよみという名の17歳)でしたが、当時は、いわゆる業界の大人に対する抗体があまりないように見えました。しかし、すっかり積極的になられましたね(笑)。

ぼくりり:そっちのほうがみんな幸せなんだ、ということに気付いて(笑)。

―どのように気付いたのでしょう。

ぼくりり:「大人はプロだからなんでもわかるだろう」ではなく、「みんな手探りでやっているんだな」って。それは悪口ではなく、先のことなんてみんなわからないし、話し合って決めていくしかない。ならば、自分から積極的にいこうと。

―漫画『おぼっちゃまくん』に、前だけスーツで後ろが丸裸の「びんぼっちゃま」って出てきますよね。大人ってああいう感じで、準備なんてできていなくても、ひとまず見た目だけ一丁前に見せる力が……。

ぼくりり:ああいう恰好をするほうがコストかかりそう(笑)。裏側の部分が見えてきたということではなく、それが当たり前だよね、って。よくわからないことばかりだし、意味なんてないかもしれないし、目的なんてないかもしれないけれど、でも頑張ろうかな、って。

ぼくのりりっくのぼうよみ

―今回、クラウドファンディングで、自らメディアを作ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

ぼくりり:やるぞ、って気持ちになって……全然答えになってないですね。

―説明不足です(笑)。

ぼくりり:説明を放棄してますね(笑)。今回リリースするアルバムでは、答えを提示せずに、「情報の洪水になって、自由意思が奪われている」という状況を説明しただけなので、だからこそメディアを作り、いかにして死なずにいるか、生き残るかという具体的な答えを探し出そうと。そして、それをお客さんと共有しようと。

―自分主導のメディアでないと伝えられないと思ったのはなぜなのでしょう? 例えば、このインタビューのようなPR記事って、そちら側から広告費をもらって記事を作るのが慣例になってきましたよね。そうすると、ぼくりりさんの前に来るライターは、基本的に褒めてくれそうな人が選ばれます。この時点で大きなバイアスがある。そういう慣習に疑問を持ったんですか。

ぼくりり:作品のプロモーションだと、「こういった質問に答えてください」と決まっていたりしますよね。そのやり方って、もう古いんじゃないかと思ったんです。同様に、「それっぽいレビュー」で褒められても、しょうもないなって思うし。

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リリース情報

ぼくのりりっくのぼうよみ『Noah's Ark』完全生産限定盤
ぼくのりりっくのぼうよみ
『Noah's Ark』完全生産限定盤(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:3,024円(税込)
VICL-64689

1. Be Noble
2. shadow
3. 在り処
4. 予告編
5. Water boarding -Noah's Ark edition-
6. Newspeak
7. noiseful world
8. liar
9. Noah's Ark
10. after that
※特殊パッケージ、漫画家の坂本眞一描き下ろしイラスト掲載7インチEPサイズジャケット仕様

ぼくのりりっくのぼうよみ『Noah's Ark』通常盤
ぼくのりりっくのぼうよみ
『Noah's Ark』通常盤(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,700円(税込)
VICL-64690

1. Be Noble
2. shadow
3. 在り処
4. 予告編
5. Water boarding -Noah's Ark edition-
6. Newspeak
7. noiseful world
8. liar
9. Noah's Ark
10. after that

ウェブサイト情報

Noah's Ark

ぼくのりりっくのぼうよみによる、クラウドファンディングで集めた資金をもとに開設されたオウンドメディア。1本目の記事として、メディアアーティスト・落合陽一との対談が公開中。

書籍情報

『伊藤計劃トリビュート2』

2017年1月24日(火)刊行
著者:草野原々、ぼくのりりっくのぼうよみ、柴田勝家、黒石迩守、伏見完、小川哲
価格:972円(税込)
発行:早川書房

プロフィール

ぼくのりりっくのぼうよみ
ぼくのりりっくのぼうよみ

現在大学一年生の18歳。早くより「ぼくのりりっくのぼうよみ」、「紫外線」の名前で動画サイト等に投稿を開始。高校2年生の時、10代向けでは日本最大級のオーディションである「閃光ライオット」に応募、ファイナリストに選ばれる。提携番組であるTOKYO FM『SCHOOL OF LOCK!』で才能を高く評価されたことで一躍脚光を浴び、高校3年生だった2015年12月、1stアルバム『hollow world』でメジャーデビュー。言葉を縦横無尽に操る文学性の高いリリックは多方面から注目を集めており、雑誌「文學界」にエッセイを寄稿するなど、音楽フィールド以外でも才能を発揮している。2016年7月、EP『ディストピア』をリリース。CDの遺影を模したアートワークや、EPの限定盤用に書き下ろした短編小説で再び大きな話題を集めている。

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