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理想の町おこし、ノルテ・ハポンと硫黄島地区会の団体活動に学ぶ

理想の町おこし、ノルテ・ハポンと硫黄島地区会の団体活動に学ぶ

国際交流基金地球市民賞
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:豊島望 編集:宮原朋之

ジャンベに打ち込んだ経験が大きな自信になって、三島出身を誇りにすることができる、そういう子を育てたい。(徳田)

―硫黄島地区会の転機はどういった経緯からだったのでしょうか?

安永:三島村(竹島、硫黄島、黒島からなる村)にはじめてジャンベがやって来たのは23年前、「ジャンベの神様」と敬愛される世界的奏者のママディ・ケイタさんが硫黄島を訪ねたのがきっかけです。当時ママディさんは日本の子供たちにジャンベを伝えるという日本のテレビ局の企画に参加していたんです。

そこで出会ったのが三島村でした。ママディさんは自分の故郷と同じような環境で生まれ育った子供たちにジャンベを伝えたいと考えていました。硫黄島を訪れて、学校の校庭の真ん中にある大きなガジュマルの木を見つけて、その下を学びの場にしよう、と決めたんです。

みしまジャンベスクールでの練習風景(2016年)
みしまジャンベスクールでの練習風景(2016年)

安永孝(硫黄島地区会)

徳田:ママディさんによると「木の霊が宿っているところで教えれば、子供たちは必ず上達する」と。

安永:小中学校合わせてわずか20人足らずの、クラブ活動もない学校でしたので、当時の村長はママディさんの申し出を喜んで受け入れました。そのワークショップの様子は、ドキュメンタリー番組として放送されたのですが、ママディさんは硫黄島をたいへん気に入ってくださって、その後も毎年指導に来てくれるようになりました。

左から:安永孝(硫黄島地区会)、徳田健一郎(硫黄島地区会)

―個人的な活動としてですか?

安永:ええ。そのうちに子供だけでなく父兄もサークルを結成し、台湾や中国からアジアの若い音楽家たちがジャンベを学ぶために島にやって来るようになりました。

徳田:鹿児島県内の中学校音楽コンクールでは、部員わずか7、8人の三島中学校のサークルが連続12年間ずっと金賞を獲り続けていますし、島内で行事がある際には、最初と最後は必ずジャンベの演奏で締める。週に4便ある定期船も必ずジャンベでお迎えとお見送りをします。

徳田健一郎(硫黄島地区会)

硫黄島港を出航するフェリーをジャンベ演奏で見送る(2016年)
硫黄島港を出航するフェリーをジャンベ演奏で見送る(2016年)

―本当にジャンベづくしなんですね。

徳田:川俣町がケーナの町になる経緯と似ていると思います。私も三島村の出身で、たまたま最初のワークショップのスタッフをしていたのが縁でジャンベ奏者になったんです。

ママディの教え方は押し付けがましいものではまったくなくて、自分たちが生まれ育った場所を愛し、大切にすることを重視しています。島を出て都会で暮らしていると、街の大きさや人の多さにコンプレックスを覚えることもあると思います。

そんな時に、ジャンベに打ち込んだ経験が、大きな自信になって「三島出身でよかった!」と、出身地を誇りにすることができるような、そういう子を育てたくて、みしまジャンベスクールを開校しました。ですから私たちも、町おこしのためにやっているなんて気持ちはまったくないんです。

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アワード情報

国際交流基金地球市民賞

1985年、全国各地で国際文化交流活動を通じて、日本と海外の市民同士の結びつきや連携を深め、互いの知恵やアイディア、情報を交換し、ともに考える団体を支援する賞として創設されました。最初の名称は「国際交流基金地域交流振興賞」、2004年には「国際交流基金地域交流賞」、2005年からは「国際交流基金地球市民賞」に改称し、現在に至っています。

プロフィール

ノルテ・ハポン

アルゼンチン・コスキン市で行われている、世界的な「フォルクローレ」音楽祭にちなみ、1975年に日本のコスキンという意味の中南米音楽祭「コスキン・エン・ハポン」が、全国から愛好家を福島県川俣町に集めて始まりました。現在では1万人を集める国内最大級の「フォルクローレ」イベントに成長、3日間にわたり全国180のグループが夜通し演奏します。国内はもとより、遠くはアルゼンチン、ボリビア、ペルーからプロのミュージシャンも参加します。音楽祭初日は、川俣町内の子供からお年寄りまで約1,300人が、参加者達をパレードで歓迎します。

硫黄島地区会(いおうじまちくかい)

鹿児島県硫黄島とギニアの太鼓ジャンベの出会いは1994年、「ジャンベの神様」ママディ・ケイタ氏が来日した際、小さな村でこどもたちと交流したいと希望、村が受け入れたときにはじまります。以降毎年のようにケイタ氏が来訪し指導を続ける一方、硫黄島のこどもたちがケイタ氏の故郷ギニアを訪問、また2000年にはケイタ氏と「みしまっ子」が共同でドイツ公演を果たすなど、ジャンベを通じた国際交流が活発に続けられています。2004年にはアジア初のジャンベスクールが開設され、県内外からジャンベ留学生も受け入れています。

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