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『SYNCHRONICITY』麻生潤が語る、フェスを12年続けられたワケ

『SYNCHRONICITY』麻生潤が語る、フェスを12年続けられたワケ

『SYNCHRONICITY’17』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:飯嶋藍子

12年目を迎える都市型フェス『SYNCHRONICITY』が、今年も渋谷を舞台に開催される。2018年での終了が発表された『Taicoclub』をはじめ、この12年間の間に同時代のフェスが次々と姿を消していく中で、『SYNCHRONICITY』が続いてきたのは、主催者である麻生潤の強烈な音楽愛と、「カルチャーをクロスオーバーさせ、更新していく」という基本姿勢の賜物であることは間違いないだろう。

しかし、「ネアカ」を自称する麻生も、新しい音楽に出会えず、悩んだ時期があったという。今回の取材では、そんな葛藤をいかにして乗り越え、フェスを存続させてきたかについて聞くと共に、『東京オリンピック』開催が決定し、都市そのものや「都市型フェス」の意義が改めて問い直される中で、「CREATION FOR THE FUTURE」を掲げる『SYNCHRONICITY』が実際にどのような未来を描いているのかについても話してもらった。「混ざり合うこと」を体現する場の存在は、これからますます重要になるはずだ。

喜怒哀楽を喜びに昇華させて、みんなで共感し合おうという音楽ってすごく素敵だと思う。

―これまでCINRA.NETでは何度も『SYNCHRONICITY』の取材をさせていただいていますが、麻生さん単独のインタビューは初めてなので、改めて、麻生さんのルーツについてお伺いしたいと思います。まず、麻生さんのバンドや音楽に対する愛情の強さは、どのようにして培われたものなのでしょうか?

麻生:もともと僕自身プレイヤーなんですよね。学生の頃からファンクに影響を受けたバンドをやってて、吉祥寺のスターパインズカフェなどでよくライブをやっていました。その頃、犬式 a.k.a. Dogggystyle(三宅洋平を中心としたバンド)のメンバーとかがその会場で働いてましたね。その一方で、デザインや写真、映像とかも大好きだったので、当時から仲間内でイベントをやっていて。

その流れで、映像をやっている人、デコレーションをやっている人、DJとか色んなアーティストを集めて、2002年に「-kikyu-」というクリエイターチームを作りました。それで2005年に始めたのが『SYNCHRONICITY』だったんです。

麻生潤
麻生潤

―ファンクから影響を受けた音楽をやっていたということですが、誰かヒーローみたいな人っていましたか?

麻生:それはもう、Pファンクのジョージ・クリントン(アメリカのミュージシャンでファンクの開拓者の一人)ですね。僕はもともとダンスミュージックがすごく好きで、テクノとかも好きなんですけど、どちらかというと、ソウルとかファンクとか1970年代のブラックミュージックが好きなんです。たとえばダニー・ハサウェイとかマーヴィン・ゲイとか、スライ・ストーンとか。

そういう音楽ってもともとゴスペルやブルースからきていて、黒人音楽特有の喜怒哀楽を飲み込み、それを喜びに昇華させて、みんなで共感し合おうという部分があります。その時代とはもちろん意味が変わっているけれど、そういうものってすごく素敵だなって思うんですよね。ロックは思いの丈をぶちまけていて、あれはあれですごくかっこいい大好きだけど、自分に合っているのはソウルだと思って。

Yogee New Wavesと出会ってから、新しい息吹を若いバンドに感じるようになった。

―昨年『SYNCHRONICITY』と『After Hours』の取材をした際に(MONO、envy、downyはなぜフェスを興すのか? その理由を語る)、「ちょっと前まで面白い音楽が全然出てこないと感じていたけど、Yogee New Waves、never young beach、D.A.N.とかに出会って、彼らのような若くて面白いバンドをしっかり後押ししようと思った」とおっしゃっていましたよね。特にYogee New Waves(以下、ヨギー)に関しては、麻生さんご自身のルーツの話を聞いて、「なるほど」と思いました。

麻生:個人的な趣味もあると思うんですけど、2014年とかは、「似たような音楽が多いな」ということをすごく感じていて、「もう僕がおっさんになったから、わかんなくなったのかな?」とも思っていたんですよね。でも、ヨギーに出会って、「いや、そんなことはないな」って思えた。彼らは僕にとってすごく大きい存在ですね。

今のバンドは、根底にソウルとかファンクのエッセンスがあったりするのはもちろん、ちゃんと「今の世代」っぽいカラーがあるし、なおかつ音楽的な素養や奥行きをも持っている人たちが多い。そういう新しい息吹みたいなものを若いバンドに感じるようになったのがすごく大きいです。

―ジャンル的な部分以外で、新しい若いバンドに共通するものってなんだと思いますか?

麻生:良くも悪くも「自由」ということですね。今、邦楽ばっかり聴く人も多いでしょ? 邦楽を聴いて育ってきていること自体が悪いとは思わないけど、今の若いバンドには「邦楽とか洋楽とか、あんまりこだらなくていいよね」みたいな自由さがあって、ジャンルやシーンにもあんまり縛られてない。あと僕がすごく思うのは、最近の人たちは全体的に音楽で食っていけると思っていないですよね。

―すごく冷静ですよね。

麻生:そう、すごく冷静。それも自由さを生んでいるひとつの要因だと思います。音楽に対していい意味でストイックになりすぎていない。それは今の時代の特徴なのかなって。だからこそ、幅広いアプローチができるというか。

麻生潤

―「音楽で食べるにはどうしたらいいか」みたいな考え方から外れたからこそ、自由に発想できると。

麻生:そういうことです。最初にヨギーを聴いたときに、「これはすげえかっこいいわ」って思って、すぐオファーしたんですけど、1回断られているんです。その理由が、確か「ちょうどメンバーが就職して、社員研修が被ってるから」っていう(笑)。ライブ後に打ち上げをしないで早く帰りたいという人も多いし、そういうライトな感じも今っぽいなって思いますね。

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イベント情報

『SYNCHRONICITY』
『SYNCHRONICITY'17』

2017年4月8日(土)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest
出演:
MANNISH BOYS
浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS
渋さ知らズオーケストラ
ZAZEN BOYS
モーモールルギャバン
OGRE YOU ASSHOLE
Jojo Mayer & NERVE
天才バンド
シャムキャッツ
BO NINGEN
cro-magnon
Polaris
Nabowa
Rega
fox capture plan
toconoma
DOTAMA
Awesome City Club
Yogee New Waves
Nulbarich
yahyel
WONK
Homecomings
フレンズ
ササノマリイ
DYGL
STUTS
chelmico
CHAI
PAELLAS
Orland
iri
JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB
Magic, Drums & Love
Wanna-Gonna
Group2
RIDDIMATES
DJ Ko Umehara(-kikyu-)
DJ New Action!
料金:前売 1日券5,800円 2日通し券11,000円
※2日通し券は『After Hours'17』と共通

プロフィール

麻生潤(あそう じゅん)

都市型フェスティバル『SYNCHRONICITY』、クリエイターチーム-kikyu-を主宰。ウェブマガジン『SYNCHRONICITY』編集長。音楽、アート系イベントの企画制作を中心に、各種パーティー制作、ウエディングパーティーのコーディネートを手がける。フェス系ラジオ番組のパーソナリティとして文化放送デジタル&インターネットラジオに出演('07~'09)。音楽はマイライフ!ネアカと呼ばれる程のポジティヴィスト。株式会社アーストーン代表。

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