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クラムボンが一歩踏み出して話す、アーティストの「お金」の話

クラムボンが一歩踏み出して話す、アーティストの「お金」の話

CAMPFIRE
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:西田香織 編集:矢島由佳子

専門学校にいたときの気分に押し戻されて、ちょっとノスタルジーを感じていたりもしている。(ミト)

―クラウドファンディングをやったことで、ライブの手応えにも変化がありましたか?

原田:そうですね。もちろん会場に来てくれた目の前の人たちと、その瞬間のライブを作るっていう気持ちは変わらないんですけど、たとえば「野音フルコース」に応募してくれた人たちがお弁当食べながらリハーサルを見ていたり、岩井さんが急遽ツイキャスで実況中継をしてくれたり、会場に来れなくても、映像を楽しみにしてくれてる人たちがたくさんいる、っていうことも肌で感じながら。なので、当日は、野音という空間がレイヤー状に広がってたような感覚があった。

『日比谷野外音楽堂ライブ』(撮影:Yoshiharu Ota)
『日比谷野外音楽堂ライブ』(撮影:Yoshiharu Ota)

伊藤:クラウドファンディングのプロジェクトをスタートした日から「野音」が始まってる気分で、そして今はライブは終わったけど、まだ終わってないっていう感じ(笑)。もちろん、5月3日当日は特別な日でしたけど、プロジェクト全体で見ればその日も過程のひとつで、5月31日(資金募集終了日)まで「野音」は終わらないな、と。緊張感と、楽しみがまだまだ続いている感じです。

ミト:ストレッチゴールも2つ3つと超えちゃって、ハイレゾ音源とかブックレットとかいろいろ作らなきゃいけないから、ライブが終わったあとのほうが大変というか、野音が終わるのはまだまだ先だなって(笑)。

気分的には、専門学校にいたときのクラスコンサートに近いんですよね。自分たちでパンフレット作って、集客もしてっていう、あの頃の気分に押し戻されて、ちょっとノスタルジーを感じていたりもして。なので、これからまだ「課題」が残ってるって感じですね(笑)。

左から:原田郁子、伊藤大助、ミト

「見守る」ということも大事なことなのではないかと思うんですよ。(伊藤)

―ミトさんが別件で先に出られましたが、新作の『モメント e.p. 2』について、お二人にお伺いしたいと思います。制作にあたって、4年ぶりに小淵沢で合宿をしたそうですね。

原田:今の状況からもわかるように、とにかくミトさんが忙しくて、大ちゃん(伊藤)も学校の先生の仕事があるから、曜日でスケジュールが決まっていて、小淵沢で何泊もすることが物理的にできなくなった。

なので、『triology』(2015年3月発売、9thアルバム)は全部東京で作業したんですけど、それだとどうしてもコミュニケーションの取りづらさがあったんですよね。今回ひさしぶりに小淵沢に集まって、やっぱりクラムボンにはここが必要なんだなって感じました。

―ひとつのところに集まって、コミュニケーションをとることが重要だと。

原田:ただ同じ空間にいる。で、楽器触って、曲を作って、食事をして、呑んで、ってするなかで、メンバーが今どういうモードなのか、ミト氏がどんなことをやりたいのか、汲み取れるものもあって。その時間は、やっぱり無駄じゃないし、切り捨てられないなと。とにかく作業に集中できる環境っていうのもいいんですよね。

小淵沢のスタジオの様子が映っている映像

―『triology』のときは歌詞に時間がかかったという話をされてましたが(クラムボン・原田郁子&伊藤大助、歌詞に迷った20年目を語る)、制作自体はスムーズに進みましたか?

原田:今回も歌詞はすごく時間がかかったんですけど、ミトさんにギリギリまで付き合ってもらって。曲というより映像を作っているのか? というくらい、重量のあるものになったんじゃないかなと思います。前作もですけど、前作以上に、続けるっていう過酷さと、面白さが、今回はより滲み出ているのかもしれないです。

―野音でアンコールに披露されていた“タイムライン”はクラムボンの新たな名曲だと思いました。一人ひとりの営みを描くというモチーフ自体はこれまでにもあったと思うのですが、昨年のツアーでお客さん一人ひとりとつながったせいか、さらに深みが増したというか。

原田:最初にミトさんからデモをもらったときから、「なんていい曲なんだ」って思いました。夢のなかでメロディーが聴こえて、起きてすぐにボイスメモに入れたそうです。なので「作るぞ」って感じではなくて、深い無意識下からでてきた曲なんだろうと。どこかの古い民謡みたいだなって。

そこにどんな歌詞を乗せようかなってずっと考えてたんですけど……ここ何年思っていたこと、見てきたものが、ようやく歌にできたかもしれない。「なんでもないことが、尊い」。そう思っても、それをそのまま言ったら歌にならない。だから、歌のなかでは、ただただ目の前の光景を見ているっていう。そこに自分は入っていかないで、ただ見ている。そういう歌が聴きたいなって。

―その発想はどこから生まれたのでしょうか?

原田:ちょうど歌詞を書いてるときに、劇団「マームとジプシー」の藤田(貴大)くんと、大友良英さんが福島の中学生、高校生の人たちと一緒に舞台を作っていて、観に行ったら、その子たちがものすごく眩しかった。その時期特有の、なんとも言えないモヤモヤも見て取れたんだけど、それはきっと今だけのもので。朝起きて、ご飯食べて、学校行って、寝てっていう、その日常が、とにかく続いてほしいってすごく思ったんですよね。

その舞台のタイトルが『タイムライン』だったんです。歌の内容と舞台は違うんですけど、同じじゃない毎日が、パラレルに続いてる。そういう歌になれたらいいなと、タイトルを使わせてもらいました。

―伊藤さんは先生をやられているわけで、生徒と触れ合うなかでなにか思うことはありますか?

伊藤:若者に接する機会の多いおじさんとしては、「今を大切にしてね」とか「今は二度と戻ってこないんだよ」って思ってしまいつつも、彼らから学ぶことはたくさんあるんです。

音楽の学校なんですけど、みんな音楽に対する向き合い方はそれぞれで、僕自身、学生から刺激を受けることも多いので、黙って見守ってるくらいがいいときもあるんじゃないかと思うようになってきたんですよね。「おじさんも昔はね……」って、自分を持ちこんじゃいけないなと(笑)。

伊藤大助

―言われても、「知らねえよ」ってなっちゃいますよね(笑)。

伊藤:実際、昔話にはまったく反応ないんです(笑)。当たり前ですよね。自分が昔できなかったこととか、足りない部分を若者に託したい気持ちがあるからか、自分の話をしたくなるときはあります。でも、「見守る」ということも大事なことなのではないかと思うんですよ。

ミトさんがパイオニア的にガンガン道を切り開くことで、取りこぼしてるものもあるはずで、私はそこを拾う役目なのかなと。(原田)

―クラウドファンディングの話にしろ、『モメント e.p. 2』の話にしろ、改めて、クラムボンというバンドはメンバー三人の独特のバランスでできあがってるんだなと感じました。

原田:そうですね。ミトさんは、コンポーザーであり、プレイヤーであり、プロデューサーであり。役者でありながら監督も、演出も、編集もするし、それをどうパッケージして、どう世の中に届けるか。本当にいろんな方向から物事を見ていて、何年も先のことまで考えているかもしれないような人なんですよね。

私たちが電車に乗ってるとしたら、ミトさんは先頭車両にいて、ものすごいスピードで生きている。で、一方私は、そのスピードとは違うスピードで生きていて、一番最後尾の、景色が消えていく感じ、わかりますかね? あれをずっと見ているような(笑)。で、クラムボンをやっていく上では、どっちかにまとめるんじゃなくて、どっちもいるっていう。その「いびつさ」が面白いんじゃないかなって思えるようになった。

ミトさんは常にパイオニア的に、先頭でガンガン道を切り開いてるんだけど、でもそうすることで消えていってしまうものや、取りこぼしてるものもあるはずで、私はそっちがどうしても気になるから、そこを拾ったり見たりしている役目なのかなと。

―そんな二人に対して、伊藤さんの役割は?

原田:うーん、大ちゃんは、全然違うところを見てる二人をさらに俯瞰で見て、全体として捉えてくれてる、のかな? どうだろう?(笑)

伊藤:(笑)。

原田:そういう人もいてくれないと、伝えられる語彙も狭くなっちゃう。いろんな人がいていいと思うんですよね。お互いのことを干渉しないし、尊重したいしっていう。“レーゾンデートル”に<三者三様 遮二無二>という歌詞があるんですけど、きっとクラムボンは、そういう状態を具現化しているチームなんだろうなって思います。

左から:伊藤大助、ミト、原田郁子

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プロジェクト情報

CAMPFIREクラムボン×岩井俊二「日比谷野外音楽堂ライブ」映像化大作戦
CAMPFIRE
クラムボン×岩井俊二「日比谷野外音楽堂ライブ」映像化大作戦

クラウドファンディングプロジェクトの支援募集は、2017年5月31日23:59まで。

リリース情報

クラムボン『モメント e.p.2』
クラムボン
『モメント e.p. 2』(CD)

2017年6月1日(木)発売
価格:2,500円(税込)
TRP-10009 / tropical

1. 蒼海
2. レーゾンデートル
3. flee
4. nein nein
5. タイムライン
※箔押し特殊パッケージ仕様

ライブ情報

『clammbon モメントツアー2017』

2017年6月1日(木)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24

2017年6月3日(土)
会場:北海道 北見ONION HOLL

2017年6月10日(土)
会場:神奈川県 横浜 F.A.D YOKOHAMA

2017年6月11日(日)
会場:山梨県 甲府 CONVICTION

2017年6月14日(水)
会場:三重県 松阪 M'AXA

2017年6月15日(木)
会場:岐阜県 Club Roots

2017年6月17日(土)
会場:富山県 MAIRO

2017年6月24日(土)
会場:宮城県 石巻 BLUE RESISTANCE

2017年6月25日(日)
会場:青森県 弘前 MAG-NET

2017年6月27日(火)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST
※サイン会なし

2017年6月28日(水)
会場:千葉県 柏 PALOOZA

2017年7月1日(土)
会場:山形県 ミュージック昭和Session

2017年7月2日(日)
会場:栃木県 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2

2017年7月7日(金) 会場:埼玉県 HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1

2017年7月12日(水)
会場:群馬県 高崎 club FLEEZ

2017年7月14日(金)
会場:愛知県 名古屋 BOTTOM LINE
※サイン会なし

2017年7月16日(日)
会場:滋賀県 U★STONE

2017年7月17日(月・祝)
会場:和歌山県 SHELTER

2017年7月19日(水)
会場:広島県 CAVE-BE

2017年7月20日(木)
会場:島根県 出雲 APOLLO

2017年7月22日(土)
会場:福岡県 BEAT STATION

2017年8月2日(水)
会場:福井県 CHOP

2017年8月3日(木)
会場:大阪府 梅田CLUB QUATTRO
※サイン会なし

2017年8月5日(土)
会場:徳島県 徳島 club GRINDHOUSE

2017年8月6日(日)
会場:愛媛県 松山サロンキティ

2017年8月22日(火)
会場:兵庫県 神戸 チキンジョージ

2017年8月24日(木)
会場:山口県 周南 RISING HALL

2017年8月26日(土)
会場:佐賀県 RAG-G

2017年8月27日(日)
会場:鹿児島県 CAPARVO HALL

料金:各公演2,500円

プロフィール

クラムボン
クラムボン

福岡出身の原田郁子(vocal,keyboard)、東京出身のミト(bass,guitar,composer)、北海道出身の伊藤大助(drums)が音楽の専門学校で出会い、1995年にバンド「クラムボン」を結成。シングル『はなれ ばなれ』で1999年にメジャーデビュー。当初よりバンド活動と並行して、各メンバーのソロ活動、別ユニット、別バンド、楽曲提供、プロデュース、客演、執筆活動など、ボーダレスに活動を続けている。2003年より自身らの事務所『tropical』を設立、また山梨県小淵沢にスタジオの制作、2010年にはサウンドシステムを保有しライブハウス以外の会場で全国ツアーを行うなど、バンドとして独自のスタンスを築き上げている。2015年には結成20周年を迎え、9枚目のオリジナルアルバム『triology』を発表し、在籍していたメジャーレーベルを離れた。また、レコ発ツアーのファイナルではキャリア初となる日本武道館公演をおさめる。2016年自身のレーベル「トロピカル」から『モメントe.p.』を発表。ライブ会場限定でCDを販売しサイン会を行うツアーを全国30公演開催。そこで流通を介さず活動に賛同してくれる店舗への直接委託で流通を試み、ジャンル問わずの180店舗以上にまで広がりを見せる。現在もオフィシャルサイトで販売店を募集中。今年も新譜をもってモメントツアー開催。

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