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三浦直之率いるロロは、なぜ演劇ファン以外からも支持される?

三浦直之率いるロロは、なぜ演劇ファン以外からも支持される?

ロロ『マジカル肉じゃがファミリーツアー』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:鈴木渉 編集:川浦慧

三浦の演出の面白さって、メンバーが持っている個性や特技に沿ってシーンを作ることだと思うな。(板橋)

—三浦さんはこれまで、自分がやりたいテーマは「ボーイ・ミーツ・ガール」だと発言してきましたね。ひと昔前は「セカイ系」と呼ばれていた、「ぼく(主人公)」と「きみ(ヒロイン)」の関係性がすべてであるような、内省的な世界観。でも、今の話を聞いていると、いろんな個性を持った人たちが集まって何かを起こす、っていう関心もロロにはあったように思います。

三浦:僕一人だったら、セカイ系的にどんどん内に籠っていったと思うんです。実際、自分で作・演出・出演した『官能教育』(2013年)なんてめちゃくちゃ内省的で気持ち悪かったですし。

望月:気持ち悪かったよね。その自覚はあるんだな。

板橋:それに気づけただけでもよかったよ。

三浦:つまりそれが僕の本質なんですけども(苦笑)。でも、ロロでみんなと作品を作るときに、そういった陰湿さについて書きたいとは思わないんです。みんなに言葉を渡そうと思うことで、言葉が軽やかになっていく。それができるロロはやっぱり大事だなあ、と思います。

望月:8年間一緒にロロをやってきて、あらためて確認しなくても共有してる認識、言語があるのは強みですよ。だから個々のシーンで私たちに委ねられている余白も多い。もちろん三浦直之個人の物語が起点だっていうのはベースにありますが。

板橋:三浦の演出の面白さって、メンバーがそもそも持っている個性や得意なことに沿って役を設定したりシーンを作ることだと思うな。それが必ずしも演劇的でなかったとしても、パフォーマンスとしての精度や満足度は常に高い。

森本:駿谷さんはめちゃくちゃアドリブ要求されますよね。逆に私はアドリブが苦手なのでしっかりシーンを書いてくれる。8年もやってると、引き出しの中身も開き方もお互いに熟知しているというか。

奥:亀島一徳 手前:森本華
奥:亀島一徳 手前:森本華

—俳優を想定して役を書くことを「当て書き」って言いますけど、人柄とか好みまで熟知して、パフォーマティブな要素を引き出すのは、なんというか「スーパー当て書き」って感じがしますね。

板橋:スーパー当て書かれてるね(笑)。

三浦:自分で思うんですけど、僕が書いた昔の戯曲ってセリフのつながりが超唐突なことが多くて、後から読み返しても意味がわからないんですよ。その唐突さを、力技でぐぐぐっと引き寄せる能力がロロのメンバーはとにかく高い。そしてその瞬間の強さが、作品のパワーになっている。この信頼感は、長い付き合いの中でますます高まっている気がします。それは、新作の『マジカル肉じゃがファミリーツアー』の稽古中にも感じました。

ロロ『マジカル肉じゃがファミリーツアー』チラシ画像
ロロ『マジカル肉じゃがファミリーツアー』チラシ画像(サイトで見る

—今回は、近作の『BGM』『父母姉僕弟君』で描いた旅シリーズの流れにある作品だそうですね。そして2010年初演の『旅、旅旅』の改作になると聞きました。

三浦:『父母姉僕弟君』も2012年の作品の再演だったんですけど、それはテキストをほとんど変えないことにしていました。っていうのは、作品が「忘れる / 忘れない」ってことをテーマにしていたから、かつて自分が書いたものへのアプローチも「忘れない」=「変えない」ようにしたかったんです。

だから今回の『マジカル~』ではそれをさらに上書きするというか、近作で得た要素を混ざり合わせたくなったんです。なので、完全に新作と言ってよい内容です。

—『旅、旅旅』自体、ちょっと変わったロードムービー風でしたね。

三浦:『BGM』や『父母~』は実際に車で旅する話ですけど、『旅、旅旅』は、旅行に行けない女の子が家にある洗濯機をエッフェル塔に見立てたりするんです。名前をつけることで旅が生まれ、固定された空間がどんどん着せ替わっていく構造です。

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イベント情報

ロロ『マジカル肉じゃがファミリーツアー』
ロロ
『マジカル肉じゃがファミリーツアー』

2018年1月12日(金)~1月21日(日)
会場:神奈川県 横浜 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
脚本・演出:三浦直之
出演:
板橋駿谷
亀島一徳
篠崎大悟
島田桃子
望月綾乃
森本華(以上ロロ)
猪俣三四郎(ナイロン100°C)
北川麗(中野成樹+フランケンズ)
宮部純子(五反田団、青年団)
料金:
前売 一般4,000円 25歳以下3,000円 高校生以下1,000円
当日 一般4,500円 25歳以下3,500円 高校生以下1,000円

プロフィール

ロロ(ろろ)

三浦直之(主宰・脚本・演出)、板橋駿谷、亀島一徳、篠崎大悟、島田桃子、望月綾乃、森本華(以上俳優)、玉利樹貴(えかき)、坂本もも、奥山三代都(以上制作)の10名による集団。2009年より東京を拠点に活動中。漫画・アニメ・小説・音楽・映画などジャンルを越えたカルチャーをパッチワークのように紡ぎ合わせ、様々な「出会い」の瞬間を物語化する。小説のリーディングや音楽ライブと融合した短編演劇、映画製作など、ジャンル横断で演劇の枠を拡張しながら活動を行い、2013年三浦直之・初監督作品 映画『ダンスナンバー 時をかける少女』(製作:ロロ)は『MOOSIC LAB 2013』準グランプリ他3冠を受賞。2015年には11作目の本公演『ハンサムな大悟』の戯曲が『第60回岸田國士戯曲賞』最終候補作に選ばれる。代表作は『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』『LOVE02』『あなたがいなかった頃の物語と、いなくなってからの物語』など。

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