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大植真太郎・森山未來・平原慎太郎が「談ス」で踊る、曖昧さ

大植真太郎・森山未來・平原慎太郎が「談ス」で踊る、曖昧さ

『談ス』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:永峰拓也 編集:川浦慧

日本語の曖昧さが、自分たちにどういう影響を与えているのかを考えるのはとても面白い。(森山)

—イチャコラした空気感がとっても関西らしいです(笑)。それでは、いよいよ今回の新作について聞いていきましょう。

森山:導入長かったなー(笑)。

—おそらく各メディア媒体の頭を悩ませるのがこの独特なタイトルの表記の仕方だと思います。左上に「凸」、右上に「し」、左下に「凹」、右下に「る」。これって、定まった読み方はないんですよね?

「談ス」シリーズ第三弾のロゴ「談ス」シリーズ第三弾のロゴ(サイトで見る

森山:ないんですよ。どう読まれます?

—横から読むと「ぼこし、でこる」。縦だと「しる、でこぼこ」とも読めますよね。かたちの決まっていないこのタイトルは、新作にどのように反映されてくるのでしょう。ロングインタビューの動画では、日本語のあり方についても話していましたね。

森山:日本語特有のグラデーションみたいなものを考える作品になるといいな、と思っているんです。これは大植さんが言ってたことだけど、日本語では主語を明確に示さなくても会話できますよね。そこには責任から逃れるというネガティブさもあるけれど、想像が膨らむ余地を作るものでもある。その曖昧さがテーマといえばテーマ。

横浜美術館の『ヌード NUDE ー 英国テート・コレクションより』展は、西洋の歴史観をヌードの絵画や彫刻を通して見ていく展覧会だと思うんですが、西洋の考え方って「善 / 悪」「白 / 黒」の二項対立が基本じゃないですか。それは日本の考え方の曖昧さとは異なるもので、昨日の僕らのパフォーマンスは、その境界線や曖昧さに関わるものでした。

—たしかに古典的な裸体像の肉体美に対して、談スの身体はもっと不定形な印象がありました。スライム状の小道具も使っていましたし。

森山:そこに、新作の「どう読めばいいかわからない」タイトルがかかってくるんです。漢字と違って、アルファベットには言葉自体に意味がないから、その組み合わせで物事をとらえようとする。それは西洋的な考え方ですけど、凸凹は言葉としても絵としても理解できる。この日本語の曖昧さが、自分たちの生き方や生活にどういう影響を与えているのかを考えるのはとても面白い。

森山未來

平原:凹凸っていろんなイメージを喚起させるから、その先の世界観の広がりも期待できるよね。

—おそらく3人のなかで平原さんは、ダンスに発話をもっとも取り込んでいるダンサーです。昨夜も「デストラクション」って単語をいろんな発話の方法で歪ませていって、言葉にも叫びにも分類できないような独特のリズムを作っていました。それは、この新作タイトルの曖昧さにも通じる気がします。

平原:他の2人が白熱した議論を交わしている隣で、僕は遠巻きで見る、といのうが談スの会議のスタンダードなんですけど、これが僕のソロ作品だともっと喋っちゃうんですよ。叫びより言語に近くなっちゃうのは、まあ、マイブームみたいなもので。

平原慎太郎

—大植さんは海外を拠点に活動しているぶんだけ、他の2人よりも西洋的な考え方が身についているかもしれません。その経験から、新作の曖昧さをどう考えていますか?

大植:生活のなかにある実感、日本に来たときの感覚、海外にいるときの感覚の違いは舞台に載せたいと思っています。どんどん余計なものを除いていって、最終的には0と1くらいのレベルにまで記号化、抽象化させたい。

自分の理想とするダンスって、最初の地点はわからないもの、真っ白なものなんです。そこから僕らが踊りはじめて、お客さんのなかにいろんな想像力が宿っていって、やがて色がついてくる。そういう世界観を大事にしたいですね。

—単純化させつつ、普遍化させていく?

大植:それもあるけど、僕の関心はどちらかという原始的なことかな。だいぶ前に見たサスペンス映画で、登場人物が最後には叫ぶことしかできないような状況に陥るんですよ。その印象が強く残っていて、叫びのような原始的な何かを通じて、すべてを削ぎ落としていきたいと思うんです。男性であるってことすら削ぎ落として、中性的な存在になっていきたい。

大植真太郎

—昨夜のパフォーマンスのラストもまさにそんな印象を抱きました。平原さんと森山さんがいかにも人間っぽくおしゃべりする横で、大植さんはスライムを頭からかぶって、人間じゃないものに形象化していくようでした。昨夜のパフォーマンスは、次の新作に直接つながっていく?

大植:そうですね。でも、昨日までは到着地点だったけど、今日からは通過点になったって感じかな。

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イベント情報

『談ス』シリーズ第三弾<br>
凸し<br>
凹る』<br>
『談ス』シリーズ第三弾
凸し
凹る

構成:大植真太郎
振付・出演:
大植真太郎
森山未來
平原慎太郎

中野公演
2018年5月15日(火)
会場:東京都 なかのZERO 小ホール
料金:一般6,000円 U20券2,000円

長野公演
2018年5月16日(水)
会場:長野県 まつもと市民芸術館 実験劇場
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

町田公演
2018年5月19日(土)
会場:東京都 町田市民ホール
料金:一般6,000円 U20券2,000円

新潟公演
2018年5月20日(日)
会場:新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

埼玉公演
2018年5月21日(月)
会場:埼玉県 浦和 埼玉会館 大ホール
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

宮城公演
2018年5月22日(火)
会場:宮城県 仙台 電力ホール
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

北海道公演
2018年5月24日(木)
会場:北海道 札幌市民ホール
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

愛知公演
2018年5月26日(土)
会場:愛知県 名古屋 ウインクあいち 大ホール
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

兵庫公演
2018年5月27日(日)
会場:兵庫県 西宮 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
料金:A席6,000円 B席3,000円

徳島公演
2018年5月29日(火)
会場:徳島県 あわぎんホール
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

岡山公演
2018年5月30日(水)
会場:岡山県 岡山県天神山文化プラザ
料金:一般4,000円 U-20チケット2,000円

広島公演
2018年5月31日(木)
会場:広島県 JMSアステールプラザ 中ホール
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

京都公演
2018年6月1日(金)
会場:京都府 ロームシアター京都 サウスホール
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

大阪公演
2018年6月2日(土)
会場:大阪府 グランフロント大阪 ナレッジキャピタル4F ナレッジシアター
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

福岡公演
2018年6月4日(月)
会場:福岡県 都久志会館
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

静岡公演
2018年6月6日(水)
会場:静岡県 静岡県コンベンションアーツセンター グランシップ 中ホール
料金:一般6,000円 U-20チケット2,000円

大手町公演
2018年6月7日(木)~6月11日(月)全6公演
会場:東京都 よみうり大手町ホール
料金:一般6,000円 U20券2,000円

プロフィール

大植真太郎
大植真太郎(おおうえ しんたろう)

1975年京都府出身。17歳で渡独し、バレエ界で若手の登竜門といわれるローザンヌ国際バレエコンクールでキャッシュプライス受賞。ドイツ(ハンブルグバレエ団)、オランダ(NDT)、スウェーデン(クルベリーバレエ)等、有名なバレエ団でダンサーとして活躍し、世界30カ国以上のステージに立つ。ダイナミックで躍動感のある肢体をダンサーとして認められると同時に振付家としても、ハノーバー国際振付コンクールにて最優秀賞、スカンジナビアグランプリ賞など、国際振付けコンペにて受賞多数している。ダンスという枠にとらわれない破天荒な発想を併せ持ち、類いまれなる才能を評価されている。

平原慎太郎
平原慎太郎(ひらはら しんたろう)

1981年北海道生まれ。クラシックバレエ、HipHopのキャリアを経てコンテンポラリーダンスの専門家としてダンサー、振付家、ステージコンポーザー、ダンス講師として活動。また、ダンスカンパニー「OrganWorks」を主宰し創作活動を行う。

森山未來
森山未來(もりやま みらい)

1984年、兵庫県出身。幼少時よりジャズダンス、タップダンス、クラシカルバレエ、ストリートダンスなどを学ぶ。舞台、映画、テレビドラマ等、さまざまなキャリアを積んでいく。近年ではダンスパフォーマンス作品にも積極的に参加していて、13年秋より文化庁文化交流使として1年間イスラエルに滞在、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンスカンパニーを拠点に、ベルギーほかヨーロッパ諸国にて活動。演劇、ダンスなどのカテゴライズに縛られないオンボーダー、ジャンルレスな表現者としての在り方を日々模索中である。

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