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チャットモンチーに訊く「完結」の理由。そして今後の展望は?

チャットモンチーに訊く「完結」の理由。そして今後の展望は?

チャットモンチー『誕生』
インタビュー・テキスト
矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
撮影:高橋一生(sui sui duck)

ライブに来てくれた人や曲を聴いてくれている人には「ありがとう」という気持ちだけで、それ以上伝わればとは思ってないですね。(橋本)

—他のバンドを取材していても思うのは、たとえば4~5人組のバンドと、2人組のバンドでは、また違った補い方や関係性があるのではないかということで。「2人」というのは、特別な単位だなと。

福岡:うーん……でも、最終的に、人間として、自分にとってなにが大事かというところに落ち着くんだと思うんです。バンドって、バンド単位で考えちゃうじゃないですか。「チャットモンチーにとって、どうか」って。でも、ここ数年は特に、「自分にとって、どうか」というのが強いなと感じていて。チャットモンチーはどちらかというと、「2人でひとつ」というよりかは、「個」が強い感じなんですよね。

左から:橋本絵莉子、福岡晃子

—舞台監督の萩原さんに取材をさせていただいた際、チャットモンチーの「完結」をどう受け止めているかを訊いたら、「いいタイミングだと思う」とおっしゃっていて。「えっちゃんもあっこもあくまでも2人の人間なので、自分の一生を考えたときに、今どうあるべきかを考えて出した答えだと思う」と。そしてアルバムを聴いた感想としては、「『自分の人生をもっと楽しもう』っていう、チャットモンチーからのメッセージが伝わると思う」と。(舞台監督ってどんな仕事?チャットモンチーのライブを支えた人物)。

橋本:ハギ(萩原)さん、年の功が出てるなあ(笑)。その先を生きてるだけありますね。

福岡:さすがの名言やなあ(笑)。

橋本:だいぶええなあ。

福岡:だいぶええこと言ってるなあ(笑)。

左から:福岡晃子、橋本絵莉子

—改めて、「解散」ではなく「完結」という言葉を選ばれた理由を訊かせてもらえますか?

福岡:事実上解散するということを決めてから、応援してくれた人たちにとって、ショックを受ける人は受けるだろうけど、なるべく納得してほしいなと思っていて。「解散」という言葉は悲しいし、やっぱり、やり切ったという想いが強いから、本の章の終わりみたいに「完結」と言ったほうが意図は伝わりやすいかなと。

—音楽活動に限らず、誰しもにとって、たとえば結婚・出産など環境やライフステージの変化によって、なにかの章を閉じなきゃいけないタイミングは訪れる。でも、人生において「やめる」「終わらせる」というのは、特にそれが自分が一生懸命労力も時間もかけて積み上げてきたものであればあるほど、勇気と決断力のいることで、不安や寂しさも伴うものだと思うんです。お2人は、やめることへの「不安」ってありました?

福岡:……不安は全然なかったです。

—そこもポジティブでいられるのはなぜでしょう?

福岡:えっちゃん、あった?

橋本:不安はなかったです。たぶん、CDは残るし、音楽は残るから大丈夫なんだと思う。なにも残ってなかったら、そう思うのかなあ。やっぱり曲が残るっていうのはめちゃくちゃ大きい。

橋本絵莉子

—デビューから13年、福岡さんの加入から16年、チャットモンチーとして残してきた楽曲や見せてきた佇まいが、リスナーにとってどういうものを与えられていたらいいなと思いますか?

福岡:……どう?

橋本:なんやろう……ライブに来てくれた人や曲を聴いてくれている人には「ありがとう」という気持ちだけで、それ以上伝わればとは思ってないですね。

福岡:言われてみて、あんまりそこを考えたことなかったなって。でも、四星球に「チャットモンチーはあんまりしゃべらないけど、いつも音楽でなにかを言ってた」と言われたとき、嬉しかったんですよね。あんまり「こう見られたい」とか「こう思われたい」というのを言わないけど、今思っていることを音楽で言えるのが、音楽をやっているよさだと思うから。

福岡晃子

橋本絵莉子

何事も、笑いに変えていけたらなって。一見「最悪」と思う出来事も、視点を変えたら、人生が違う方向に派生していくので。(福岡)

—今後の音楽活動に関しては、それぞれ、どのように考えていますか?

橋本:今はノープランです。「しばらくやらない」と思ってたんです、ずっと。だから、しばらくはそのスタンスでいこうって思うんですけど。一回音楽から離れたときに、自然とまたギターに手が伸びる瞬間を待ちたいなって。

福岡:初めて「先のスケジュールがない」という状況で。これまで「チャットモンチーのために」ということしかやってこなかったし、自分で選んでやっていくということが初めてなので、不思議な感じです。音楽はやっていくと思いますけど、思考は変えたいですね。

—思考?

福岡:勝手に動いて音楽をやってる、という感じになりたい。セットリストとか、流れとか、お客さんのこととか、いろんなことを緊張感持って考えながらやってきたから、そういうのじゃないところで音楽をやりたいなとは思っています。

福岡晃子

—少し大きな質問になりますが、音楽のこと限らず、1人の人間として、この先どういうふうに生きていきたいなと考えていますか?

福岡:デカイ!(笑)

橋本:ええ!(笑)……でも、いろんな局面が出てきたとき、チャットモンチーで変身してきたみたいにやっていけたらなあって思います。その時々でいいなと思ったものに迷いなく飛び込むスキルは、ちょっとはついたかなって思うので。

—「ちょっと」ではなく、日本トップレベルだと思います(笑)。

2人:きゃははは(笑)。

左:福岡晃子

—福岡さんとしては、いかがでしょう?

福岡:何事も、笑いに変えていけたらなって思いますね。久美子の脱退のときからそうですけど、一見「最悪」って思う出来事も、視点を変えたら、人生が違う方向に派生していったりしたので。気持ちが沈んでると本当に視野って狭くなるから、無理矢理でも笑うのって大事やなと思っていて、いつも沈んでるときはお笑いとかを見るんです。これまでそうやって切り抜けてきたので、これからも笑っていこうかなと思いますね。

—最後の質問です。チャットモンチーとしてこれまでやってきて、一番よかったことってなんですか?

橋本:……やっぱり、このアルバムになるんじゃないかなと思います。ここであっこちゃんは新しいチャレンジもできたし、くみこんは作詞で帰ってきたし、いろんなことがいいふうになった。このアルバムに辿り着けたのは、続けてきたからこそで。このアルバムより前に終わっていたら、打ち込みの曲もくみこんの曲もなかったですからね。闇雲になって終わらせたわけじゃないし、やってきた甲斐があると思えるものができてよかったなと思っています。

左から:福岡晃子、橋本絵莉子

チャットモンチー『誕生』ジャケット</p>
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リリース情報

『誕生』初回生産限定盤
チャットモンチー
『誕生』初回生産限定盤(CD)

2018年6月27日(水)発売
価格:3,240円(税込)
KSCL-30062/3
※三方背ケース、ハードカバーブック仕様

1. CHATMONCHY MECHA
2. たったさっきから3000年までの話
3. the key
4. クッキング・ララ feat. DJみそしるとMCごはん
5. 裸足の街のスター
6. 砂鉄
7. びろうど

『誕生』通常盤
チャットモンチー
『誕生』通常盤(CD)

2018年6月27日(水)発売
価格:2,592円(税込)
KSCL-30064

1. CHATMONCHY MECHA
2. たったさっきから3000年までの話
3. the key
4. クッキング・ララ feat. DJみそしるとMCごはん
5. 裸足の街のスター
6. 砂鉄
7. びろうど

『たったさっきから3000年までの話』
チャットモンチー
『たったさっきから3000年までの話』(7インチアナログ)

2018年6月6日(水)発売
価格:1,512円(税込)
KSKL-8534

イベント情報

『チャットモンチー完結展』

2018年6月27日(水)~7月10日(火)
会場:東京都 渋谷 GALLERY X BY PARCO
時間:11:00~20:00(最終日は18:00まで)
料金:500円

プロフィール

チャットモンチー
チャットモンチー

橋本絵莉子(Guitar, Vocals, Synthesizer)・福岡晃子(Bass, Drums, Chorus, Synthesizer, Percussion etc.)。2000年徳島で結成。2005年メジャーデビュー。2006年リリースのSG『シャングリラ』がヒット。2007年リリースの2nd AL『生命力』に続き、2009年リリースの3rd AL『告白』は、オリコン初登場2位を記録。2008年には、初の日本武道館公演を開催。メジャーデビューから2年4か月での日本武道館2days公演は、女性ロックバンドとしては史上最短(※当時)で、現在のロックシーンを代表するバンドへと成長を遂げる。2011年にDr.高橋久美子の脱退により、橋本、福岡の2ピース体制となる。2014年には、サポートメンバーを迎えた体制での活動を発表し、6th AL『共鳴』を15年にリリース。そしてデビュー10周年の日本武道館公演を行い、2016年には郷里徳島で主催フェスを2daysで初開催。大成功を収めた。デュオ「橋本絵莉子波多野裕文」(橋本)やユニット「くもゆき」(福岡)での活動、CM歌唱(橋本)や徳島での多目的スペースOLUYOの運営(福岡)など、それぞれ多彩な活動を行っている。2017年11月23日、2018年7月をもって活動を「完結」させることを発表した。2018年6月27日に、ラストアルバム『誕生』をリリースする。

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