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「究極の一瞬を表現できる」loundrawが明かすイラストの強さ

「究極の一瞬を表現できる」loundrawが明かすイラストの強さ

アースダンボール
インタビュー・テキスト
杉原環樹
撮影:黑田菜月 編集:久野剛士、宮原朋之

感情が揺さぶられる瞬間はつねにあります。

—loundrawさんの絵のエモーショナルなシーンのあり方に関心があります。誰もがどこかで感じたことがあるような日常の1コマの美しさが、最大化されて描かれていますよね。シーンはどう浮かぶものなのでしょうか?

loundraw:僕自身は、高校も大学生活も華やかだったわけではなくて、友達とときどき遊んで過ごす普通の人間なんです。もし僕のイラストが多くの人に受け入れてもらえているとするなら、普遍的な感性でふと「いいな」と思う光景を、アンテナを立てながら描いているからなのかなと。

感情が揺さぶられる瞬間はつねにありますよ。今日も電車で来るとき、日差しの感じや色合いがとてもよかったんです(取材は2017年12月下旬に行われた)。「そろそろ2017年も終わるな」という師走の感じも込みで見る景色はいつもとちょっと違う。そうした特別な気持ちで見たものが自分の中にストックされていって、そこからイラストが生まれている気がします。

loundraw

—「師走感」とはとても面白いですね。制作ではあまり写真をベースにしないそうですが、人物と舞台となる背景は一緒に浮かぶのでしょうか?

loundraw:人物と背景のイメージは、一緒に出てきます。仕草も、周囲のものも、色合いも。しかしそれを描く段階になると、どうしてもキャラクターと背景の間に矛盾が出てくるので、そのぶつかりを修正して整合性を取っています。

「背景」は「背後の景色」と書きますが、やはりキャラクターが立っている場所は人物にも影響を与えると思っていて。なので、光や風のような不可視の要素も含めて、なるべくその環境の描写を正確にしたいと思っています。

loundrawによる『福井でかなえるDream』(福井新聞発行)キービジュアル
loundrawによる『福井でかなえるDream』(福井新聞発行)キービジュアル

—広がりのあるスケールの背景が多いですが、そうした風景がお好きなんですか?

loundraw:広がりは出したいと思っていますね。ただ、閉塞感のある部屋の絵ならば重い空気を描くし、どんな風景でも舞台装置として極めたい。それでも広がりのある絵を描くことが多いのは、イラストとして1枚で絵にしようすると、気持ちよく感じてほしいという思いがあるからだと思います。

—被写界深度によるボケを多用するのも、その気持ちよさの探求から?

loundraw:その理由もありますし、視線誘導にも使います。また商業的な意味でいうと、ボケは一眼レフのような高級なカメラでしか現れないので、「高級感」の象徴でもあると思うんです。あと、描き込まなくても背景をつぶせる、作業効率的な意味も大きい(笑)。商業はコスパの世界なので、そこでベストを尽くすためのツールとして使っています。

—よい「見え」への近道というか。

loundraw:そうですね。一方で、2017年に開催した個展のキービジュアルや、書籍『ILLUSTRATION 2018』(平泉康児編/翔泳社/2017年)の表紙では、これまでの作風に固執せず心機一転したいという思いから、実はいままでと異なる背景や光の表現に挑戦しました。

『ILLUSTRATION 2018』表紙に描かれたイラスト
『ILLUSTRATION 2018』表紙に描かれたイラスト

—というのは?

loundraw:たとえば光を表現するときに、従来はデジタル特有の手法として、「スクリーン」というツールを使っていたんです。これは、使用部分に等しいエフェクトをかけることができるものなのですが、いま述べた絵では自分で見て感じた色をひとつずつ置いていきました。

というのも、エフェクトによるフィルターはパソコン上の計算によるものなので、どうしても出せない色があるんです。だけど、現実の反射物にはそれぞれ違う特性がある。機械で捉えられないものを、ちゃんと自分で感じた色として置こうとしたんです。

—機械の自動的な処理に委ねないようにした。

loundraw:そう、なるべく自分の感性を残そうとしました。数値で変化させると、同じ方程式にもとづいたものなので、気軽に統一感が出るんです。でも、それを使わなかったので、色彩のバランスを取るのが難しくて大変でした。

—たしかに個展のキービジュアルは、とくに絵画的な要素が強いですね。普段からイラスト以外の絵画も見られるんですか?

loundraw 初の原画展『夜明けより前の君へ』キービジュアル
loundraw 初の原画展『夜明けより前の君へ』キービジュアル

loundraw:見ますよ。先日も仕事で訪れたニューヨークで、メトロポリタン美術館に行きました。レンブラントのようなバロック絵画や、フェルメールの作品が好きなのですが、もちろんデジタルもないアナログの世界で、これだけ整合性が取れて、熱量がある絵が描けるのはどうしてか。そのアナログな平面の、どんなディテールが自分に熱量を感じさせているのか……と、いろいろ考えるきっかけになりましたね。

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プロジェクト情報

「UNBOX」
What is「UNBOX」?

「箱から出す」という意味を持つこの言葉。「UNBOX(アンボックス)」は、箱職人集団であるアースダンボールが新たにスタートした取り組みです。「UNBOX」では、アースダンボールが箱職人として大事にしているこだわりや思いを、クリエイターとのコラボレートを通して発信していきます。

プロフィール

loundraw(らうんどろー)

イラストレーターとして10代のうちに商業デビュー。透明感、空気感のある色彩と、被写界深度を用いた緻密な空間設計を魅力とし、様々な作品の装画を担当する。声優・下野紘、雨宮天らが参加した卒業制作オリジナルアニメーション『夢が覚めるまで』では、監督・脚本・演出・レイアウト・原画・動画と制作のすべてを手がけたほか、小説『イミテーションと極彩色のグレー』、漫画『あおぞらとくもりぞら』の執筆、アーティスト集団・CHRONICLEでの音楽活動など、多岐にわたる。2017年9月に自身初の個展『夜明けより前の君へ』を開催。

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