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アジカン後藤と関和亮が語り合う、ゆとりなき今の社会に思うこと

アジカン後藤と関和亮が語り合う、ゆとりなき今の社会に思うこと

ASIAN KUNG-FU GENERATION『ホームタウン』、KOE
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

サカナクションやPerfume、星野源などを手掛ける映像作家の関和亮が、イラストレーターのユキマユコと共に立ち上げた「株式会社コエ」による、人材募集のための「オーディション」が思わぬ展開を見せている。選考に残った6人が、それぞれ3人ずつASIAN KUNG-FU GENERATION、KANA-BOONのミュージックビデオを、本人たち公認で撮影することが決まったのだ。

無名のクリエイターが、第一線で活躍するバンドのミュージックビデオを手掛ける。そんな奇跡のようなコラボレーションが実現したのは、「若い世代を積極的にフックアップしたい」という、コエと2バンドの熱い思いがあったからこそだろう。

CINRA.NETでは、2回にわたって対談をお届けする。まずは、コエの代表である関と、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文。すでに何度かタッグを組んで作品を作り上げてきた2人は同い歳ということもあり、作品作りへのこだわりはもちろん、次世代に期待すること、そして日本社会について思うことなど、話は尽きなかった。

基本的に文化というのは「川の流れ」みたいなものだと思ってる。(後藤)

─以前CINRA.NETでは、コエのオーディションが開始するタイミングで記事を書かせていただきました(関和亮のコエが採用オーディションを開催。どんな作家を求める?)。その後、反応はいかがでしたか?

:とてもよかったです。「人材募集」とするのではなく、「オーディション」という名目にしたことで、それを面白がってくれる人も結構いたみたいで。応募してくださった方がたくさんいらっしゃいました。

─6人が最終選考に残ったそうですが、関さんはどんな基準で応募者を選んでいったのでしょうか?

:最も重視したのは「熱意があるかどうか」ですかね。たとえば「『コエ』をテーマに企画を作ってきてください」とお題を出したとき、ぶっちゃけ、僕にとって企画の内容はどうでもよくて。その企画のなかにどれだけ「熱意」を詰め込んでいるかを見たいんですよ。

きっと僕なら10個くらい企画を出すと思う(笑)。だって、自分の想いを伝えるチャンスは、そこにしかないわけだから。そこで2、3行しか書いてこない人とかは、その内容がいい悪い以前に「違うな」って思っちゃいますよね。どれだけアピールしてくるかはとても大事にしました。

関和亮
関和亮

─選ばれた6人のなかから3人ずつ、ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)とKANA-BOONのミュージックビデオ(以下、MV)を撮影するそうですね。新人クリエイターたちがさっそくプロのバンドのMVを作るって、すごいことだと思います。

:いやあ、本当ですよ!

後藤:関さんのことは、俺、すごく信用していますからね。それに、若手をフックアップしようというコエの精神は本当に素晴らしいと思ったんです。

俺も関さんも今年で42歳。40代ってまだまだ自分で勉強しなきゃいけないこともたくさんあるわけですが、そろそろ次の世代のことも考えて、バックアップしていくべき年代だと思うんですよね。だからやることがとにかく多い。それでも、今自分が持っているものはできるだけパスしていきたくて。

左から:後藤正文、関和亮

左から:後藤正文、関和亮
左から:後藤正文、関和亮(特設サイトを見る

─後藤さんはそれこそ『NANO-MUGEN FES.』というイベントで洋楽を紹介したり、若手のミュージシャンをフックアップしたり、以前からそういう活動に意識的でしたよね。

後藤:基本的に文化というのは「川の流れ」みたいなもので、俺たちはそのなかにいるだけだと思ってるというか。バケツリレーのように、俺たち自身が持っているものを手渡ししながら「流れを作っていく」ものなんじゃないかなと。だって、一切合切、自分のリソースだけでやっているわけじゃないですからね。いろんな知識やら経験は、必ずどこからか学んだりしてきたわけで。

─後藤さんのそういう考え方は、いつ頃から芽生えたのですか?

後藤:この世界に入ったときから、「なんか流れが淀んでるな」っていう問題意識を持っていたかな。「このままじゃ細まっていく一方じゃない?」って。

今でこそ日本にはめちゃくちゃたくさんバンドがいて、いろんな音楽があって、すごく豊かだと思うけど、俺らがデビューした頃はそうでもなかった。ジャンルを横断しているバンドもほとんどいなかったし、どんどん小さなコミュニティへと細分化していくような感じがありました。『NANO-MUGEN FES.』はまさに、そういう状況を打開して「水のめぐりをよくしよう」という気持ちから始めたところがあったんですよね。だから最近、若いバンドに会って「『NANO-MUGEN FES.』によく行ってました」なんて言われると、本当に嬉しくて。

後藤正文

─水のめぐりをよくすることで、結果、自分たちの活動もよりしやすくなることも見据えていたわけですよね。

後藤:もちろん。決して利他主義だけで動いていたわけではないです。でも、パイの奪い合いに終始していたら、真ん中の棒が倒れて自分も大損しますからね。

取り合いじゃなくて、お互いにシェアし合う空間というか。俺たちはプレイヤーであると同時にリスナーでもあるわけで、そういう意識の人がどんどん増えていけば、きっと豊かな空間になるだろうって考えていたわけです。

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リリース情報

ASIAN KUNG-FU GENERATION『ホームタウン』初回生産限定盤
ASIAN KUNG-FU GENERATION
『ホームタウン』初回生産限定盤(2CD+DVD)

2018年12月5日(水)発売
価格:4,968円(税込)
KSCL-3121~3123

[CD1]
1. クロックワーク
2. ホームタウン
3. レインボーフラッグ
4. サーカス
5. 荒野を歩け
6. UCLA
7. モータープール
8. ダンシングガール
9. さようならソルジャー
10. ボーイズ&ガールズ
[CD2]
『Can't Sleep EP』
1. スリープ
2. 廃墟の記憶
3. イエロー
4. はじまりの季節
5. 生者のマーチ
[DVD]
『ASIAN KUNG-FU GENERATION America Tour Documentary Pt.2 (Latin America)』
※CD2、DVDは初回生産限定盤に付属

ASIAN KUNG-FU GENERATION『ホームタウン』通常盤
ASIAN KUNG-FU GENERATION
『ホームタウン』通常盤(CD)

2018年12月5日(水)発売
価格:3,146円(税込)
KSCL-3124

1. クロックワーク
2. ホームタウン
3. レインボーフラッグ
4. サーカス
5. 荒野を歩け
6. UCLA
7. モータープール
8. ダンシングガール
9. さようならソルジャー
10. ボーイズ&ガールズ

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  • プロフィール

    ASIAN KUNG-FU GENERATION
    ASIAN KUNG-FU GENERATION(あじあん かんふー じぇねれーしょん)

    1996年、大学の音楽サークルにて結成。2002年、インディーズレーベルより『崩壊アンプリファー』をリリース。2003年4月、同作がキューンミュージックより異例の再リリースとなり、メジャーデビュー。同年より新宿LOFTにて『NANO-MUGEN FES.』を立ち上げ、2004年からは洋楽アーティストも加わり、会場も日本武道館、横浜アリーナと年々規模を拡大し、2012年の夏には横浜アリーナ2DAYSにて10回目となるフェスを開催した。これまでに8枚のオリジナルフルアルバムをリリースし、2018年12月5日には、最新アルバム『ホームタウン』をリリースする。後藤が描くリアルな焦燥感、絶望さえ推進力に昇華する圧倒的なエモーション、勢いだけにとどまらない「日本語で鳴らすロック」でミュージックシーンを牽引し続け、世代を超えた絶大な支持を得ている。

    関和亮(せき かずあき)

    1976年生まれ、長野県小布施町出身。音楽CDなどのアートディレクション、ミュージックビデオ、TVCM、TVドラマのディレクションを数多く手がける一方でフォトグラファーとしても活動。サカナクション『アルクアラウンド』、OK Go『I Won't Let You Down』、星野源やPerfumeのミュージックビデオなどを手がける。『第14回文化庁メディア芸術祭』エンターテインメント部門優秀賞、『2015 55th ACC CM FESTIVAL』総務大臣賞/ACCグランプリ、『MTV VMAJ』や『SPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDS』等、受賞多数。

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